佐 藤   明 議員 質 問
〇議長  それでは次に、12番佐藤明議員、一般質問をお願いします。
  [12番 佐藤 明議員 登壇]
〇佐藤 明議員  通告してあります有事法制について、3点ほど質問いたします。
  政府は、有事法制関連3法案を国会に提出し、今国会で成立をしようとしております。政府は、有事法制が日本を外国の武力攻撃から守るための備えであるかのように言っておりますが、国会での論戦や防衛庁長官自身が日本が武力攻撃される現実的な危機はないと明確に述べております。有事法制の最大のねらいは、アメリカの戦争に日本が参戦し、初めて海外での武力行使に踏み切ろうとすることにあると思います。問題は、国と地方自治体の関係であります。自治体が国の道具となった戦前の教訓を踏まえ、戦後の日本では新しい憲法のもとで、国と自治体はそれぞれ独立した性格を持つものとなりました。国が自治体に関与する場合も、勧告や要請など、非権力的なものが基本であるとされてきました。実際、現行の自衛隊法でも、国が自治体を使って戦時に土地の収用などができますが、それは国が自治体に要請するものであります。ところが、有事法制では、国が自治体に対し指示する権限を持つことができるのです。自治体が指示に従わなければ、国が乗り出して権限を行使するというものであります。これでは、自治の名に値しないと言わざるを得ないのであります。地方自治体の責任者として、市長の御見解をお尋ねするものであります。
  地方自治体の首長は、今国会で押し通そうとしている有事法案に対しまして、保守、革新、思想、信条は問わず、地方自治体の責務から考えても問題は多過ぎる、また新しい時代に愚かな戦争をする法律をつくることはおかしい、なぜ今なのか、少子高齢化、不況、失業を何と考えているのか等々、声が挙がっております。先月の28日の東京都で開催されました全国知事会の政策審議会で、内閣官房、防衛庁、総務省、消防庁による有事3法案の説明に対し、出席しました知事や副知事から疑問の声が相次ぎ、知事会として早急に全国の知事の意見を取りまとめ、政府に対し緊急に要望を行うことで一致したと報道されております。また、6日の全国市長会においても、国に対する87項目の要求を決め、その中で有事法案に対して、自治体にとってさまざまな影響が予測される、市民生活に重大な影響を及ぼしかねない、こういうことで、自治体としても十分な説明を果たすことが必要ではないのかと、こういう意見もあったようであります。国会においても、十分かつ審議されるよう要望したと、こういうお話も聞いております。有事法案は、首長に権限がなく、すべて総理大臣への権限集中であります。これでは、憲法で規定された地方自治権を侵害することにほかなりません。だから、多くの自治体首長は、反対の立場や国会での審議を十分やるように求めているのは当然ではないでしょうか。市長の御見解を求めるものであります。
  3番目には、地方自治体は地域住民の安全の確保、財産を守る使命があります。国が押しつける責務を拒絶し、この見地を貫くことが地方自治体に求められております。改めて市長の見解をお尋ねをして、質問を終わります。
〇議長  ただいまの12番佐藤明議員の一般質問に対し答弁を求めます。
  市長。
  [荒井幸昭市長 登壇]
〇市長  12番佐藤議員の御質問にお答え申し上げます。
  初めに、有事法制の関連3法案についてですが、同3法案は、議員御案内のとおり、外部からの武力攻撃事態に対処するため、国の意思決定の枠組みや首相の権限強化、自衛隊の活動を円滑にするための措置などが想定されておりまして、有事対応の法体系となっております。本案につきましては、地方自治の精神や分権の流れにおける国と地方自治体間の関係法令とは全く異にするものであり、アメリカでの同時多発テロや九州南西海域不審船事案などを考えますと、これら国家レベルの問題として対応すべく、有事法制は基本的には必要かと存じます。しかし、国の指示権や代執行にあわせ、地方自治体が負うべき責務や国民の主権を制限する条項が盛り込まれているにもかかわらず、生命、財産を保護する法案整備は2年以内と先送りされるなど、現段階での関連3法案の整備は十分とはいえない感じを持っておるところでございます。
  第2点目の自治体首長としての反対の立場や国会での審議を十分やるよう求める考えはないかとのことですが、有事法制は世界の情勢からしても、議論すべき時期に来ているのではないかと考えますが、法案整備過程で議論が十分尽くされていないという受け取り方をいたしておるところでございます。国は、早急に地方自治体、国民に対して説明責任を果たすべきであり、また公聴会などを通して地方自治体の意見が反映され、国会論議が十分行われるよう、今後とも注視してまいりたいと考えております。
  第3点目の地方自治体の使命についてですが、市民の生命、財産を守る立場にある首長といたしましても、有事法制は地方自治体が一定の責任を負い、市民の生活や経済に影響を与える可能性のある法案であるため、国は国民的な議論をした上で決定されるべきものであると考えております。したがいまして、国と地方自治体の責務や役割分担ほか、地方公共団体に大きくかかわる事項について具体的に明らかにするよう市長会等を通じて求めてある現況ですので、御理解を賜りようようお願い申し上げたいと存じます。
  以上です。
〇議長  それでは、再質問に入ります。
  12番佐藤明議員。
〇佐藤 明議員  それでは、再質問させていただきます。
  今回の有事法制については、なぜ今回の6月定例議会で質問したかと申しますと、地方自治体と密接な関係があるということで、あえて質問させていただいたわけです。先ほどの答弁ですと、必要だが、十分な国会での議論がまだ足りないと、こういうふうな答弁であったのですけれども、たとえ賛成、反対、あるいは思想、信条は別にして、この問題については多くの自治体の首長さんは心配をされております。これは、せんだっての自治労連ですか、全国自治体労働者の組合だと思いますが、この自治体の調査では全国各地の首長さんにアンケートをとったようであります。このアンケートによりますと、8割近くの人が慎重に議論されるよう、あるいは反対の方もおられるというような報告であったようであります。ちなみに、詳しく申し上げますと、全国の自治体の首長のうち、質問に答えたのが500人中82%の答えがあったようでありますが、この中で、さっき言ったように8割の人が反対や慎重論を言ったようだと、このようにこの記事ではアンケートの結果ということで報告されております。
  それで、このアンケートの中身の問題でありますが、有事法制に反対する首長さんが500人中82%の答えた人のお話ですけれども、40人が反対と、そして賛成は44人、あとはほとんどの方が慎重審議を求めると、こういうふうな結果が出たそうであります。それで、地方自治体の関係としては、こういうことなのかなと私も思ったのですが、地方自治体は例えば自衛隊法では自衛隊の防衛、治安、あるいは災害時のときに出動、行動に対しまして、国の、あるいは関係地方自治体、警察、消防なども含めて、お互いに連絡をとり合いながら密にして対応すると。いわゆる災害時に、こういうことになっているようであります。しかし、有事法制のもとでは、これは地方自治体の知事、あるいは首長さんの件がありますから、こういった人たちの許可を得なければならないと、こうなっているわけですけれども、今度の有事法制はそうではなくて、すべて内閣の責任者の総理大臣が権限を持つと、こういうふうになるわけですから、まさに地方自治体をないがしろにする法律だと言わざるを得ないわけです。しかも、憲法でも明確に述べているように、憲法の規定にも違反すると、こう言わざるを得ないと思います。
  市長も御承知のとおりだと思うのですが、東京都の国立市の市長さん、これは女性の市長さんですが、この市長さんは小泉総理大臣に対しまして、先月の17日、有事3法案について、法案に関するさまざまな疑問点に対しまして質問をしたそうであります。44項目にわたって、同法案の危険性を問いただしたそうであります。こういった地方自治体の首長さんがこれから出てくるのかなと、こういうふうに思っております。そういう点で、先ほど荒井市長は、全国市長会等でももっと慎重に審議するよう要望したいというようなお話がございますが、先ほど申し上げたように、この有事法制の危険性の内容をこういった形で問う、こういう考えはないのかあるのか、お尋ねをしたいと思います。
〇議長  それでは、再質問に対して答弁を求めます。
  市長。
〇市長  いろいろ現在の状況下を含めて意見をいただきました。ただ、問題なのは我々市長会でも3法案の中で武力攻撃事態法、あるいは自衛隊改正法はすぐにやるのだと。しかしながら、一番地方自治体に関係ある国民保護法案、これを2年以内に決着するのだということでは、我々地方自治体を預かる首長として非常に不安なわけであります。この国民保護法案の中で、地方自治体に対する代執行する項目をきちっと定めるということは、市長会の中でも内閣官房の参事官が来て説明をしておったようですが、やはり同時に関連する法案であるならば、しっかりと三つをそろえて私はやるべき課題ではなかろうかと。そういう意味で、慎重に国会で、公聴会も延びておるようでございますし、公聴会を通しながら、そして中身をもう少し地方自治体にも、そして国民にも明らかに開示するよう慎重姿勢で臨んでいただきたいというのが私の偽らざる気持ちでございます。
  以上でございます。
〇議長  再々質問に入ります。
  12番佐藤明議員。
〇佐藤 明議員  私は、戦前から戦後にかけて、あと今日までの世界の流れや日本の流れを見てみますと、私1945年生まれですから、ちょうど戦争の前後なのです。ですから、母や、あるいは親たちが非常に苦労して育ててきたというふうな、これは皆さんそうでしょうが、大変な時代を生きてきたわけです。ですから、こういったことを再び二度と繰り返さないためにも、ぜひ南陽市の首長として、関係者に対しても強く、もっと慎重審議やこういったことをしないような方向で政策を進めていただきたいというふうなことをぜひ要望方を要望したいと思います。
〇議長  市長。
〇市長  佐藤議員が1945年生まれということでありまして、そういう時代であったのかなと、こう思います。私はむしろ1940年生まれでありまして、第2次世界大戦の前、第2次大戦中、非常に東京が空爆等に遭いまして、昭和20年に今の地に疎開をしてきた。大変小さいながら、戦争の恐ろしさ、焼夷弾が落ちてくる、爆弾が落ちてくる、サイレンは鳴る、非常に小さいながらにその戦争の怖さ、恐ろしさはイメージに持ってございます。戦争が起こらないような期待感は人一倍強いものと思います。しかしながら、今現在、世界各地で内戦含めて、そういう武力衝突している国が80カ所ぐらいあるというのもまた事実のようでございまして、私は国のなすべき仕事はまず国防、教育、外交の三つであろうと、このように思っております。しかしながら、我々国民は、そして地方自治体の長としても、できるだけ戦争のない世界を築くような努力は積み重ねていく必要があるだろうと。そういう意味で、佐藤議員の御指摘のように、市長会でも慎重審議を求め、さらに地方自治体、あるいは国民に対しても、この関連する法案をより明らかに開示するよう求めているのが現況でございますし、今後ともそういう姿勢を貫きながら法案の審議を注視していきたいと、かように考えておるところでございます。
  以上です。
〇議長  以上で12番佐藤明議員の一般質問は終了いたしました。御苦労さまでした。