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板垣 致江子 議員 質問
○議長  次に、7番板垣致江子議員。
〔7番 板垣致江子議員 登壇〕
○板垣致江子議員  おはようございます。7番板垣致江子でございます。
  さきに通告してあります内容について質問させていただきます。
  昨年末からの景気の悪化により、4月現在、完全失業者数は346万人で、前年度比71万人増の
過去最大の増加幅となり、求人倍率も0.46倍、正社員のみの有効求人倍率も0.27倍と、過去最悪を
更新したと発表されました。地域経済は、ますます厳しくなっている状況です。
  しかし、暗いニュースが多い中ではありますが、南陽市では、子供の声がにぎわっております。
雪が少なく、暖かい冬だったことで、中央花公園のドリームランドには3月から子供たちが訪れ、
4月には、5,000人を上回る利用者があったようです。5月の連休中もかなりのにぎわいだったよ
うです。
  しかし、反面、駐車場での子供の飛び出しなどもあるようで、事故にならなければと心配され、
体育館側でも大変苦慮しているようですので、利用者みんなが気をつけていかなければと考えてお
ります。とにかく、子供たちの明るい笑い声が響いていることは、何より幸せなことと思います。
  それでは、1点目の生きる力と喜びに満ちた生涯教育のまちづくり、教育と文化について質問
させていただきます。
  子供たちにとって、本とのかかわり、読書をすることは、心の教育としてふだんの生活では体
験することができない冒険や感動、それら一つの体験学習にもなり、多くのことを文字から創造し、
夢を膨らませたり、感性や創造性をはぐくむ大切な教育の一環と考えます。
  本が好きな子は、どちらかといえば、語彙も豊かになり、表現力も豊かなのではないでしょう
か。また、学校の図書室は、子供たちにとって授業での緊張をほぐしたり、友人と本などを介し楽
しむ時間だったりと、いやしの場になるところだと思います。
  現在、小・中学校の図書室は、どこも図書司書が配置されていません。そのような状況で、図
書室の本来の利活用がうまくなされているのでしょうか。子供たちが行きたくなる楽しい図書室に
なっているのでしょうか。
  私の記憶にある小学校の図書室は、扉をあけると、司書の先生の笑顔があり、ほっとする空間
でした。その奥に並んでいる本も、なぜか温かく迎えてくれているようで、本を選ぶのが楽しく、
いつも行きたくなる場所でした。
  これから新築になる宮内中学校は、図書室も大変よくなるようですが、形ばかりでない、生徒
や先生がしっかり活用できる環境にしていただきたいと思います。本の整理や管理ばかりでなく、
いろいろな面からも図書司書の配置を必要と考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
  次に、平成22年の中学校統合により、使用されなくなる中学校には、先輩方の残した栄光の足
跡や伝統の文化など、さまざまなものが数多くあると思います。大事に大事にされてつながれてき
た中学生にとっても、地元の人にとっても、大事な宝物です。保存や展示はどうされるのか、お伺
いいたします。
  次に、南陽市子育て支援都市宣言がなされてから、子供を産み育てるなら南陽市、教育するの
も南陽市と、さまざまな事業がなされ、市立図書館でも、えくぼ子育てルームが開催されたり、お
話ボランティアサークルによりおはなし会などが行われ、乳幼児期でも本と出会う機会が増え、大
変喜ばしいこととと喜んでおります。
  しかし、それらを利用できているのは、ほんの少しの一部の子供だけと考えます。南陽市で生
まれたすべての赤ちゃんが温かく育てられるよう、地域の皆さんにお手伝いいただきながら、赤ち
ゃんと保護者が絵本を介してゆっくりと心触れ合うひとときを持つためのきっかけづくりになるブ
ックスタートの取り組みをぜひ行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたしま
す。
  次に、2点目の安心でやさしいまちづくりについて質問いたします。
  さきに申し上げたとおり、景気はますます悪化するばかりで、さまざまな格差が拡大され、リ
ストラや派遣切りばかりでなく、仕事が週に3日か4日しかないというところも多く、先の見えな
い不安が渦巻いております。そのような状況でストレスを抱えた人も多く、児童虐待などの悲劇も
相次いでおります。
  山形県では、人権侵犯事件は4年連続で減少したものの、夫から妻への暴行、虐待に関する事
案は、昨年比85.7%増の52件に達したと報告されました。救済を求める女性が声を上げられ活動が
進み、明るみに出なかった問題も数字としてあらわれてきたと見られていますが、身近な人や行政
機関などに気軽に相談できる環境の整備など、予防、対策の必要性が叫ばれています。
  そこで、南陽市における児童虐待や高齢者への虐待、さきのようなDV被害はあるのでしょう
か。どのように把握されている状況か、また、それらに対する予防や対策についてお伺いいたしま
す。
  以上、誠意ある御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長  ただいま、7番板垣致江子議員の質問のさなかでありますが、ここで暫時休憩といたし
ます。
  再開は11時5分といたします。
午前10時52分  休  憩
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午前11時05分  再  開
○議長  再開いたします。
  答弁を求めます。
  市長。
〔塩田秀雄市長 登壇〕
○市長  7番板垣致江子議員の御質問にお答え申し上げます。
  なお、生きる力と喜びに満ちた生涯教育のまちづくりについては、教育長より答弁をいたさせ
ますので、御了承を願います。
  初めに、安心でやさしいまちづくりについて、本市における児童及び高齢者虐待並びにドメス
ティック・バイオレンス、DV被害の状況と、その予防、対策についてでございますが、市で相談
受け付け、あるいは把握しております平成20年度の数値で申し上げますと、児童虐待につきまして
は、通告件数1件でありましたが、虐待の事実は確認できませんでした。高齢者虐待につきまして
は1件であります。また、DVの相談は23件となっております。
  その予防、対策でございますが、児童虐待防止対策につきましては、平成20年度から家庭児童
相談員を2人体制として充実を図ったところであります。また、平成17年度に児童福祉法に基づく
要保護児童対策地域協議会を設置し、実務者による具体的事例の検討を行うなど、児童相談所初め
学校、警察等の関係機関との連携を図っております。
  高齢者虐待防止対策につきましては、被害者の多くは要介護者であると言われており、地域包
括支援センターが中心となり、個別的に対応することといたしております。
  なお、今年度の早い段階で居宅介護支援事業者等からなるネッワーク化に取り組み、虐待防止
の啓発を含めた総合的な対策を図ってまいりたいと考えております。
  DV被害対策につきましては、緊急時の場合は一時保護という手段はございますが、最近の措
置事例はなく、助言指導、見守り等で対応をいたしております。
  これらの問題の背景として、生活困窮や障害と複雑に結びついていることがありますので、関
係者、関係機関等の連携を密にして取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りた
いと存じます。
  私からは、以上でございます。
○議長  三ケ山教育長。
○教育長  7番板垣致江子議員の御質問にお答え申し上げます。
  初めに、生きる力と喜びに満ちた生涯教育のまちづくりの教育と文化についての1点目、図書
室の利活用状況と司書の配置の必要性についてでございますが、議員より御指摘ありましたとおり、
読書は児童・生徒の豊かな感性を磨き、表現力、想像力を高め、人生をより深く、豊かに生き抜く
力をつける上で欠くことのできない活動であります。
  したがいまして、児童・生徒が読書に親しめる環境を整備し、豊かな心をはぐくむ読書活動の
推進に努めなければなりません。
  現在、学校図書館法により12学級以上設置の学校には、学校図書館の専門的職務を担当させる
ため、司書教諭が配置されております。学校図書室におきましては、この司書教諭の資格を持つ教
員が中心となり、環境整備が進められております。
  しかし、その司書教諭は学級担任等と兼務している教員がほとんどであります。図書室整備専
門職のみを遂行しているわけでございませんが、校内体制の連携を十分図りながら、図書環境整備
と子供たちの教育に当たっているところでございます。
  次に、司書の配置についてでありますが、議員御指摘のとおり、専門司書の配置はなされてお
りません。しかしながら、学級担任やその他の校務を兼務する司書教諭や図書館担当教諭との日常
的な学校生活へのかかわり合いや心の触れ合いを生かした読書指導の推進は、深い児童・生徒理解
に裏づけられた教育に密接につながっていることも御理解いただければと思います。
  各小・中学校における具体的な取り組みとして、朝読書を含めた全校一斉読書や読書週間や読
書月間を教育課程に位置づけ、全校体制での意図的、計画的な指導が展開されております。
  また、PTAや関係団体と連携を図った図書の読み聞かせ、推薦図書コーナーの設置や親子読
書による読書活動の啓蒙等を行っております。また、本市教育におきましては、南陽市の教育の中
の方針にもありますとおり、自立した社会人を育成することが大きな目標であり、図書室の利活用
だけでなく、読書活動の推進におきましても、児童・生徒の主体的な活動をはぐくみ、その中で読
書に親しみ、感性や表現力、想像力を培う指導に力を入れておるところでございます。
  学級担任や地域ボランティアによる図書の読み聞かせをさらに生かし、上級生による下級生へ
の読み聞かせや図書の紹介、さまざまな本に対する興味、関心を高めるブックトーク活動等、児童
・生徒の自治活動に場を保障し、子供たち自身に主体的な本とのかかわりを持たせながら、読書の
すばらしさをさらに感得させ、指導していきたいと考えているところでございます。
  2点目の統合により使われなくなる中学校の伝統・文化、先輩方の足跡の保存等についてでご
ざいますが、中学校統合のねらいは、統合される2校、あるいは3校がこれまで築き上げてきた62
年、63年にわたる輝かしい歴史や伝統、そして、すばらしい校風や学校の特色を教育の大綱という
形で整理、統合しながら、それを土台として南陽中学校教育の伸張、発展を図り、教育の質を向上
させることを基本にするものであります。
  したがいまして、校名が残る、残らないにかかわらず、多くの先輩方が築き上げてこられたお
のおのの歴史、伝統のあかしを常に生徒の目に触れ、肌で感じられるような展示コーナーを統合中
学校内に設置する予定でおります。生徒一人一人がこうした伝統・文化に触れ、理解することで、
学校や地域を愛する心がより一層広がっていくものと期待しているところでございます。
  なお、7つの中学校の資料の一部を1カ所に集め、保存・展示することについても、現在、検
討を進めております。
  3点目のブックスタートの取り組みについてでございますが、この事業は絵本を介して家族で
心触れ合うひとときが持たれることを願い、赤ちゃんにふさわしい絵本をプレゼントするものでご
ざいます。
  現在、本市における絵本を使っての子育て支援策につきましては、1歳児健康相談時に図書館
が推薦する絵本のパンフレットを配布して、その絵本の貸し出しを促進する取り組みを行っている
ところでございます。また、毎週水曜日と金曜日には、えくぼ子育てルームでの専任相談員による
読み聞かせや児童相談及び毎週土曜日には、市民ボランティアによる読み聞かせなどを開催しなが
ら、絵本を介しての子育て支援を行っておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  以上でございます。
○議長  再質問に入ります。
  板垣議員。
○板垣致江子議員  御答弁ありがとうございます。何点か質問させていただきます。
  小・中学校において、いろいろな利活用を含め、先生方が頑張っていらっしゃるということで
すが、やはり専門の先生がいないということで、図書の本の管理などは図書教諭の方たちだけでう
まくなされているのでしょうか、お伺いいたします。
○議長  長濱学校教育課長。
○学校教育課長  それでは、お答え申し上げます。
  今、管理がなされているかというようなことの御質問かというふうに思いますけれども、これ
は当然、先ほど教育長の答弁でも申し上げましたとおり、現在、司書教諭という制度がございまし
て、該当する学校には、当然これを配置をしているところでございます。南陽市内で申し上げます
と、合計で13名の先生方が配置されている状況でございます。
  したがいまして、ほかの学級担任、あるいは部活の指導というようなことも兼務しておられる
こともあるわけですけれども、主体的に校務分掌の中で担当職員だけでなく、全職員でそういった
ことに取り組み、管理を徹底しているところでございます。
  また、いわゆる司書が配置されていないというような、これはマイナス面になるわけですけれ
ども、逆にそのマイナス面をプラスに生かせないかというようなことで、いわゆる読書活動そのも
のは子供たちの自主性、あるいは創造性を十分育成する場であるわけですけれども、さらに自分た
ちで管理できるところはないのかというような、特に専門委員会活動とか、学級での取り組みなど
において、そういったところも徹底しているわけでございますし、管理上、不備がないのかという
ことの御質問に対しては、現在のところは、そういったところを極力排除しながら、読書活動に努
めているというふうにお答え申し上げたいというふうに思います。
○議長  板垣議員。
○板垣致江子議員  職員みんなで取り組んでいるということで、管理はうまくいっているという
ことですが、赤湯小学校がデータベース化になっているということで、その辺のところで、なって
いないところとなっているところの管理体制の違いはないのでしょうか。
○議長  長濱学校教育課長。
○学校教育課長  いわゆる貸し出しの部分でデータベース化の有無にかかわって、やはり作業が
ちょっとかかるのかなというところはございますけれども、管理の部分に関しては、新規図書購入
した場合にデータベース化する場合でも、いずれデータの打ち込みという作業が必要になりますの
で、そういったことを勘案すれば、特に大きな支障はないというふうには認識をしております。
  なお、今、データベース化のお話がございましたので、これは補足ですけれども、今後、改築
される宮内中学校にも、そういったシステムを導入する予定でございますし、市内全体の小・中学
校の蔵書のデータベース化を図るというようなことも、現在、検討しながら進めているところでご
ざいます。
○議長  板垣議員。
○板垣致江子議員  データベース化が全部の小・中学校でなれば、子供たちが読みたい本がすぐ
どこにあるかわかるということで、大変いいことだとは思いますが、まず今、先生方が感じていら
っしゃるという、私の受けた印象から見ますと、どこの小・中学校も生徒の数から見ると、本の数
が全然少ない。人数が多いだけ、それだけ本もそじるということで、やはり子供たちは、どうして
も少ない本の中から選んでいるのかなというところで考えております。
  また、小・中学校、いろいろな読書の時間や読書の週間など取り組みが以前よりずっと多くあ
るようですが、そのときの本の選び方なんですけれども、中学生などは特に図書館から借りている
状況なのか、私の子供のときは、いつも読書する本を持っていかなければいけない。図書館はどう
なのというと、図書館にはない。図書館から選んでも、読みたいような本はない。そのようなこと
を常に申しておりました。やはりいろいろな学校の先生からお話を聞きますと、南陽市の中学校は
総体的に図書の本が少ないと、皆さん口々におっしゃいますが、その辺は、市長、どのようにお考
えでしょうか。
○議長  市長。
○市長  残念ながら、余りよく理解していませんでしたので、あとでよく聞いておきます。
○議長  学校教育課長。
○学校教育課長  やはりたくさん本があれば、それだけいろいろな本に触れて、さまざまな部分
で心の教育が推進されるというふうに思います。
  しかしながら、現在、限られた蔵書の中でも、子供たちは同じ本を例えば2度、3度読んでも、
そのときの印象がまた変わってきて、新たな発見があるというふうな確かに事例もございますし、
そういった中で、一生懸命子供たちも読書活動に励んでいるんだなというふうに思います。
  予算的な部分に関していえば、やはり限られた予算ということになりますので、すべて新しく
というようなこと、なかなかできないわけですけれども、そういったところで、例えば読書ボラン
ティアの方による読み聞かせとか、そういった機会も設けながら、市全体として読書活動を推進し
ておりますし、これからもそういった形で推進をしていきたいなというふうに考えているところで
ございます。
○議長  板垣議員。
○板垣致江子議員  本が多いからいいとか悪いとかということではないと思うんですが、やはり
以前もっと生徒が多かったころ、やはり図書室の中にそんなに図書の本が多くあったわけではあり
ませんが、そのとき古い本を私たちは借りて、一生懸命読みました。
  そのころのことを考えますと、古いことを出すかもしれませんけれども、まず子供たちが返し
た本は必ず司書の方が目を通してくださいました。そじているところを少しずつでも補修していた
だきました。本当にまるっきり作り直すぐらいに手をかけてくださった本もたくさんありました。
それらの本を子供たちは手にとると、やはり物は大事にしなければいけない。本のありがたさ、そ
ういうものを身をもって感じて生きてきたように思います。
  そんなことを大事にしながら、図書室というのはあってきたんだなとは思いますが、今の司書
教諭さんたちは、そういうところまでは手は回るのでしょうか。
  また、本の整理をするときに、やはり南陽市の文化的な古い本などもたくさんあると思います
が、前に、もうこれは絶版になっていて、絶対手に入らないものなんだけれども、捨てる本のほう
に入っていた。もう本当に今にも捨てられそうになっていて、こんなことがあっていいものかとい
うお話を聞いたことがありました。その辺のところは、司書教諭の方たちは、やはりその町の文化
まで勉強する暇があるのでしょうか、お聞きしたいと思います。
○議長  学校教育課長。
○学校教育課長  繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、司書教諭の業務
の中に、やはり本の修理・修繕等ということも含まれるわけですが、すべて専任の教諭がとり行う
ということは、これは物理的にも不可能だというふうに思います。
  ですから、先ほど申し上げましたとおり、子供たちの自主的、自発的な活動も含めてそういっ
た管理、あるいは修理というようなところ、学期に1回とか、そういった形で行っているところで
ございます。
  また、廃棄にかかわる部分の御質問かというふうには思ったんですけれども、まちの文化財を
学習する機会があるのかという御質問でよろしいんですか。
  それで、まちの文化財といいますか、新しく南陽市に赴任をされた先生方には、年度初めに市
内のさまざまな文化施設等を見学する機会を設けておりまして、そういった中で、市の伝統・文化、
そういったものを研修しているという機会がございます。
  以上でございます。
○議長  板垣議員。
○板垣致江子議員  また、繰り返しになるようですが、図書館の司書さんについての質問は、何
年か前に佐藤議員もなさっていたようなんですが、そのときのお答えも子供たちがみずから調べ、
みずから探求する場として学校図書館の重要性はこれから一層増してくるというに考えております。
専門的な立場である図書館司書について、今後、財政当局と相談しながら進めていくというお答え
だったそうです。
  そのころから考えますと、やはり今現在、図書司書の方がいらっしゃらないということは、そ
のときに財政的にもそうかもしれませんけれども、本当に必要ないから、学校側だけで頑張ってい
こうというふうなことになったわけだったのでしょうか。
○議長  猪野教育次長。
○教育次長  ただいまの板垣議員の御指摘に対して私のほうから、3月まで現場にいたというこ
とで一番状況を的確に、恐縮ではございますけれども、把握しているということでお答え申し上げ
ます。
  南陽市は、言語教育をベースにしながら、ここ10年来教育を推進してまいりました。その言語
教育の中で特に音声表現力と文字表現力を高めていく、そういうことを通しながらつけ焼き刃の学
力ではない、いわゆる論理、思考力、創造力、そういう大もとの学力を高めていくことをねらいと
しながら、全市挙げて教育を推進してまいりました。そのよりどころがいわゆる読書教育でありま
す。
  長い間、教員していますと、子供たちに押しつけの読書指導をしても長続きしません。子供た
ちが、みずから読書の意義や価値が判断できて、それが行動化されて初めて読書の質も上がり、読
書に親しむ力がついてまいります。南陽市は、非常にどんくさいんですけれども、形じゃなく子供
たちの意識、意欲を高める指導をしてまいりました。
  そういうことで、今日においてその言語教育の成果が、いわゆる基礎・基本の力や転用・応用
力の力で、県トップレベルの学力を保持しています。
  それから、読書そのものが人間のいわゆる人生を切り開く根本の力にもなるということを先ほ
ど板垣議員さんからお聞きしました。まさに、そのとおりであります。やはり子供たちがさまざま
な本と触れ合ったり、多くの大人の方や同世代の子供たちとの触れ合いの中で、少しずつ自分で考
えて判断する判断力、規範意識、社会性、皆培養されます。
  そういう意味で、私は南陽市の読書教育は、非常に県でも先進的な働きをやってきたと、この
ようにとらえているところでございます。
  ただ、今、赤湯小・中学校区において文部科学省の学校支援本部事業というものを3カ年計画
で文科省の指定で行っております。そこに学習ボランティア、これ前田みゆきコーディネーターを
中心としながら、いかに地域の方々が学校に物心両面にわたってかかわっていただけるかというよ
うな事業であります。
  その中に、細々ながら多くの市民の方の同意を得まして、例えば夏休みの学習会、それから学
校図書館の整理、こういうものを教職員や子供たちの手にだけゆだねるんじゃなくて、多くの市民
の方がかかわっていただくように、今展開しているところでございます。
  この経過につきましては、9月議会、12月議会等でどのように推進されているか、私も追跡し
ながら、議員さんの期待にこたえられるように、そのように対応してまいりたいと思いますので、
御理解よろしくお願いしたいと思います。
  以上でございます。
○議長  板垣議員。
○板垣致江子議員  非常に詳しく、熱く語っていただきまして、ありがとうございました。
  なかなか私も、そういう思い言えないところもあったもんですから、同じ思いで頑張っていた
だいているなというところもありまして、地域の方も一生懸命やってくださっているということで、
いい状況になるといいなと考えております。
  やはり学校図書の充実と読書教育の充実は学力の向上、また今年度の施政方針に市長が書かれ
ておりました人づくりの中核となる青年教育への基礎づくりにもなると思いますので、今後ともぜ
ひ力を入れていただきたいと要望いたします。
  次に、移らさせていただきます。
  統合により使われなくなる中学校の文化的遺産や先輩たちの足跡をどのように残すかとの質問
に対して、学校に常に子供たちの目に触れるところにまず飾っていただける。やはり統合になった
からといって、先輩たちのものがなくなったというのは、子供たちには絶対納得できないと思いま
すので、そのような形で展示をしていただければ、大変ありがたいことかなと思います。
  また、伝統的な文化もいいところは、どんどん学校に取り入れていただけるということで、私
たち地区の住民としても、そのようなことを望んでおります。
  また、7つの中学校の資料を1カ所に飾っていただく、1カ所にまとめていただけるというこ
とも大変ありがたいなと思っています。文化的なものは、どうしてもしまい込んでしまうと忘れら
れてしまう。
  私、前にも申しましたが、宮内の芳武茂介さんの展示品、あれがなかなか目に触れることがで
きない。あのままで大丈夫なんだろうかという危機感がちょっとあります。やはり外に出していた
だける機会などあれば違うのかなと思っていたところですので、中学校が統合になりまして、そう
いうふうな状況にならなければいいなと思っていたところで、今後ともその辺は、よろしくお願い
いたしたいと思います。
  それから、ブックスタートの取り組みですが、なかなかブックスタートという言葉自体が、皆
さん耳に触れない方もいらっしゃると思いますが、やはり赤ちゃんがお母さんからおひざの上で絵
本をゆっくり読んでもらって、ゆっくり心が触れ合う時間を家庭で持っていただきたいという、そ
のきっかけをつくるのがブックスタートだと思います。
  やはり南陽市でも、児童健診などで読み聞かせや本の貸し出しなどをしていただいているとい
うことですが、なかなか今、自分から本屋さんに飛び込んだり、図書館に行ったりできないお母さ
んたちが多いと思います。それらのお母さんたちのためにきっかけづくり、やはり高価な本を上げ
たからどうとかというのではないんですけれども、やはりそういう健診のときにお話を読んでいた
だける、そういう地区のボランティアの方たちに読んでいただけることによって、お母さんたちが
そのようなことをおうちでもやれば、子供たちが生き生きした表情をするんだなというところなど
で、やはり取り組んでいただけることが、私としては望みですが、市長はこの辺、どのようにお考
えでしょうか。
○議長  市長。
○市長  大変結構なことだとは思いますが、現実的に可能なのかどうかについては、担当課のほ
うでお答えすると思いますので、聞いてください。
○議長  齋藤社会教育課長。
○社会教育課長  ブックスタート事業で、全国といいますか、県内の状況などを申し上げますと、
山形県内では、現在7市町村が取り組んでいるという状況であります。議員おっしゃったとおり、
ゼロ歳児健診ですとか、4カ月児健診ですとか、赤ちゃんの早い時期に、本の数にしますと、例え
ば2冊程度というふうなことで、絵本を差し上げながら、同時にゼロ歳児の健診時等で読み聞かせ
などもしながら、実際にお母さん方がスムーズにブックスタートができるような状況をつくってい
るという事業になります。
  南陽市の場合、先ほど御答弁申し上げましたが、現在ですと、このような形で、1歳に贈る10
冊ということで、こういった絵本がいいのではないかというふうな紹介、またあわせて、先ほど答
弁の中にもありましたが、図書館、あるいはボランティアのおはなし会の皆さん方がこういう機会
で、毎週図書館などで実施をしております。
  こういった形で、ブックスタートをぜひ始めてほしいと、こういうふうな意識啓発、あるいは
具体的にその場においでになれば、同時にブックスタートができるという状況にありますので、こ
ういったかかわり方の中で、絵本を介した、いわゆるブックスタートの子育て支援というものを従
来どおりというか、こういった形で進めさせていただきたいというふうに思っております。
○議長  伊藤保健課長。
○保健課長  市長答弁の中にもありましたように、乳児健診等に私どもも図書館のほうからつく
っていただいた、こういったパンフレットなんですが、紹介をしております。
  もちろん、このブックスタート、絵本を読み聞かせるということは大事なことなんであります
が、押しつけになっても困ると、なぜ必要なのかというようなことの必要性、効能などを保健師の
ほうで、子育て支援の一環として乳児健診等で、奇数月でございますが、2カ月に1遍になります
が、そういった形で実施をしております。
  そういった部分では、もう7年以上、こういったことを続けておりますが、議員おっしゃるよ
うな意味での早目の対応をしていくということが、情緒の面とか、そういった部分では、大人にな
ったときに違うというようなことも言われておりますので、継続しながら、またさらにいい方法が
あれば、改良を加えていきたいというふうに考えてございます。
○議長  板垣議員。
○板垣致江子議員  子育て支援の一環として必要なところでの本の読み聞かせだということは、
皆さんやはり考えていただいて、いろいろなことをやっていただいているようですので、ありがた
いと思います。
  ただ、やはり幼児期からの読み聞かせというのは、今、小学校のほうで朝読み、それから、お
母さんたちのボランティアの読み聞かせ、いろいろなことが始められておりますが、やはり小学校
に行って本に親しむときに、小さいときから家族の中で本を読んできたというのは全然違ってくる
と思うんです。小学校に入ったときの本への関心、そういうものをしっかり育てていく、それから
親子の関係が希薄になっている今現在、そういうことをしっかりと家庭の中で人間関係をつくって
いくというところで、大事な役割じゃないかなと思っています。
  昔は、お母さんたちが忙しいときは、おばあちゃんたちが本はなくても、昔話を一生懸命子供
たちにやってくださいました。それが、やはり今、希薄になっているということで、ブックスター
トがいろいろなところで始められているのだと思います。
  山形県内も7市町村で始められているということですが、ブックスタートという形で、高額と
いったらおかしいですけれども、2冊程度の本を上げたり、きちんとした形でやっているところが
7市町村で、小さいものでもいいから最初は1冊からとか、ブックスタートという名前じゃなくて
いろいろな形でというやり方は、いろいろな市町村が取り組んでいると思いますので、この辺も財
政的には厳しいのかもしれませんが、もしできることなら、せめて1冊ぐらいは子育て支援の年で
すので、プレゼントしてあげてもいいのではないかと思います。
  やはりこれは、1歳、ゼロ歳児とかだけでなくて、やはり健診のたびにいろいろな方にかかわ
っていただけるということで、お母さんたちのストレス解消にもなると思いますので、ぜひ取り組
んでいただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
  教育・文化面で最後になりますが、私、議員にならせていただいて一番最初、ここに立たせて
いただきました質問のときに、南陽市で多くの市民が協力してつくり上げた映画「おにぎり」を子
供たちに見せてほしい、命の大切さ、人間の思いやり、米づくりの心など、いろいろなことを教え
てくれる作品なのでということでお願いしたところでしたが、見せていただけるんじゃないかとい
う声がちょっと聞こえてきましたので、その辺、もしわかるようでしたら、よろしくお願いしたい
と思います。
○議長  齋藤社会教育課長。
○社会教育課長  ただいまの御質問にありました南陽市の中で撮影が進められた「おにぎり」の
上映会でありますが、今年度、文化庁のほうの子供の映画鑑賞普及事業というふうな事業がござい
まして、文部科学省の選定映画にもなっておりますので、中学生を中心に今年の秋に上映会を現在、
計画をしているところであります。
  当然、学校側の協力もいただくことになりますが、いわゆる「おにぎり」という映画の食育と
いう面、あるいは米がどのようにつくられているのか、そういったものを地元南陽市において撮影
された作品でありますから、市民の方にも多数御出演をいただいておりますので、やはり郷土につ
いて、子供たちにも深い興味と関心を持っていただきたいということを考えております。
  11月ごろというふうに計画をしておりますが、今後、関係機関等と詰めながら、上映会を実施
したいと考えているところであります。
  以上でございます。
○議長  板垣議員。
○板垣致江子議員  ありがとうございます。本当にうれしいことと思います。
  やはり子供たちの心の育成や置賜文化のすばらしさを伝えるには、本当にいい映画だと思って
おりますので、ぜひ大人の方も見られるような機会をつくっていただければ、うれしいかなと思い
ます。
  では、次に、進ませていただきます。
  次に、児童虐待や高齢者虐待の状況を先ほど聞かせていただきました。児童虐待は通告が1件
ということで、非常にいい状況になってきているのかなと思いますが、やはり子供は訴えるすべを
知りませんので、その辺のところ、もう少し見えないところにあったりすると困るなというところ
はあります。また、高齢者虐待も1件ということですが、高齢者虐待、それからまた介護者の抱え
ているストレスなどは、なかなか今、見えてきていないのではないかというふうに感じています。
  先ほども要介護の方が多く、包括支援センターの方たちがいろいろな対策を練っているという
ことでしたが、どうしても今、縦割りで動いていらっしゃるのでないかなというところで、保健師
たち、そういう方たちが家庭の中に入ったり、介護のヘルパーの方が時間的にそのときだけ介護を
なさって出てくるんだけれども、おうちの中の様子がやはりわかると、本当はストレスを抱えた介
護の方が何かしらSOSを発信しているのではないかとか、そういうところが非常に見えにくくな
っているということを聞いていますので、その辺はどのようにお考えでしょうか。
○議長  斉藤福祉課長。
○福祉課長  最初、児童についてなんですが、児童については、月1度施設長会議でそういった
点については確認をしております。
  なお、先ほどお話にあったように、例えばちっちゃい乳幼児センターのお子さんが、ちょっと
見えない部分に傷、あざがあるというふうな、例えばそういう報告を受けた場合は、直ちに確認の
義務がございますので、立入調査等をやるというふうな体制になっております。
  次、老人虐待なんですが、これについては1件というのは、情報は寄せられ、これも法に基づ
いて立入調査をした結果、暴力の内容が確認できなかったということで、見守りというふうな状況
であります。特に、高齢者の虐待については、痴呆性との絡みもあってなかなか確認が難しい、こ
れについても市の地域包括支援センター、あとそれぞれ施設でお持ちの支援センター、それと十分
な連絡をとりながら対応をしている次第であります。
  以上でございます。
○議長  板垣議員。
○板垣致江子議員  わからないで苦しんでいる人がいないように、やはり市として一生懸命その
辺を対策練っていただきたいと思います。
  DV被害、ドメスティック・バイオレンスについてですが、これが23件あったということで、
私もちょっと驚いておりますが、この23件というのは、すごく厳しいなって感じております。いろ
いろな市町村でDV被害というのが、ちょっと表に出てきたのが定額給付金が受け取れなかった、
何とかもらえないかというふうな新聞記事がどんどん出ました。この辺のところで、南陽市はこう
いうお話はあったんでしょうか。
○議長  斉藤福祉課長。
○福祉課長  定額給付金について、そのような話があったのかというのは、一般論ではございま
したが、具体的な話ではありませんでした。
  なお、DV防止法なんですが、DV防止法は詳しくは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の
保護に関する法律ということで、配偶者またはその実態のある夫婦間というふうなことで、非常に
微妙な問題というか、わかりにくい部分がございますので、その辺については専門的な母子相談員
を福祉課に配置しており、先ほど市長が申し上げたとおり、23件、それについても親身になって相
談を受けているというふうな状況でございます。
○議長  板垣議員。
○板垣致江子議員  母子相談員の方たちが一生懸命相談に乗っていただいているということで、
そんなにひどい状況に追い詰められている方たちは、今のところいらっしゃらないのかなと思いつ
つ、やはりこれは夫婦間の問題でありながら、子供たちへの影響が非常に強いと思います。
  そういうことで、やはり両親への憎悪感、不登校、ノイローゼ、いろいろなことが出てくるこ
とが、またそこで心配されますので、行政として身近な人たちに気軽に相談できる体制、行政機関
に相談できる体制、その辺をきちんと整備していただき、また地域の方たちにも協力していただき
ながら、行政としてしっかりした予防対策を今後もお願いしたいと思います。
○議長  斉藤福祉課長。
○福祉課長  今の件については、特にDV関係については、内容について夫婦間のそういった暴
力、精神的な部分、あと経済的な、そういう3種類に分けられるわけなんですが、行政といたしま
しては、その対応の仕方というのは、まず相談をしたいというふうな内容なのか、あと加害者から
逃れたいというふうな内容なのか、あと引き離してほしい、これによって対応しております。
  加害者がいないところに逃れたいというのは一時保護、そういった形をとりますし、加害者か
ら引き離してもらいたいというのは、裁判所に申し立てをして、そして、その決定を受けますと、
夫、逆の場合もあるわけなんですが、何メートル以内に近寄ってはならないとか、そういった法的
なことで規制されるということで対応している次第であります。
○議長  板垣議員。
○板垣致江子議員  ありがとうございます。
  やはりその相談員の方たちの状況はそれぞれに違うと思いますので、そのときそのときで本当
にいい方向になるように、しっかりと相談に乗っていただくということが、まず第一かなと考えま
すので、今後もよろしくお願いしたいと思います。
  私の時間、ちょっと最後残っておりますので、戻らせていただきまして、先日、私たち「太陽
の子供」という南陽市の須藤克三賞の作品集をいただきました。その最後にところに載っていた子
供さんの詩がどうしても頭から離れなかったんです。きょうの質問にすべてつながることかなと思
っておりますので、せっかく時間が残っておりますので、ちょっとだけ読まさせていただきます。
  宮内中学校の女の子が書いた詩です。目をそらさないで、人間の目は常に何かを見ているはず、
なのに見て見ぬふりをしてごまかすことがある。一人で泣きながら戦う友達がいる。彼は一人だ、
だれも助けてはくれない。周りの人間はすべて敵なのだ。それでも彼は戦い続ける。だが、いつか
そのプライドも崩れるときがくるかもしれない。いじめとは失うものが大きい。いじめられる者も
いじめる者も互いに傷つくだけで得るものは何もない。私たちの周りには見逃してはいけないこと
がある。そこから目をそむけてはいけない。助けを求めるその目を見逃してはいけない。こんな詩
でした。
  本当にこのような優しい子供たちが今、南陽市には育っております。今後ともいろいろな面で、
行政側もよろしくお願いしたいと思います。
  これで、私の質問、終わらせていただきます。
○議長  以上で、7番板垣致江子議員の一般質問は終了いたしました。大変御苦労さまでござい
ます。
  ここで暫時休憩をいたします。
  再開を午後1時といたします。
午前11時52分  休憩
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