平成24年12月定例会

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午後 1時00分  再  開
○議長  再開いたします。
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吉田 美枝 議員 質 問
○議長  次に、7番吉田美枝議員。
〔7番 吉田美枝議員 登壇〕
○吉田美枝議員  7番吉田美枝でございます。
  さきに通告してあります内容について、前置きをせず、すぐに質問させていただきたいと思います。
  項目1、子どもの教育環境の更なる充実を求めて。
  まず1点目、要保護・準要保護児童生徒の就学援助についてであります。
  日本国憲法第26条は、教育を受ける権利を定め、保護者に対して子供に教育を受けさせる義務を課すとともに、義務教育はこれを無償とすると規定しています。これを受け、義務教育においては、現在公立小中学校における授業料及び教科書代が無償となっております。しかし、公立学校といえども、子供が学校に通うと、このほかさまざまな費用がかかるのが現実であります。
  文部科学省が行った子供の学習費調査によると、子供1人に学校教育を受けさせるために保護者が支出した年間の経費は、学習塾費などの学校外活動費を除いても、学校給食費、制服等の通学関係費、クラブ活動費、修学旅行費、図書・学用品・実習教材費など、学級費・PTA会費等の学校納付金などを合わせると、公立小学校で約10万円、公立中学校で約17万円になるという結果が出されております。
  学校教育法第19条は、経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対し、市町村は必要な援助を与えなければならないと規定しております。この市町村が行う就学援助に対して、国は義務教育を円滑に実施する制度として、学校で必要な経費の一部を援助しております。いわゆる要・準要保護児童生徒就学援助制度です。
  しかし、2005年、三位一体改革の一環として、国からの補助が要保護者に限定され、それまで国庫補助の対象となっていた準要保護者に対する就学援助費の国庫補助がすべて廃止され、一般財源化となってしまいました。私は、一般財源化されたことによって各自治体間に運用格差が生じているのではないかと危惧し、この問題を取り上げさせていただきました。
  そこで、就学援助についての1点目、当市の全児童生徒に占める準要保護児童生徒の援助率はどのくらいかお伺いいたします。
  第2点目、当市の援助率を県内自治体と比べた場合、その運用状況はどのようになっているのかお伺いいたします。
  第3点目、就学援助制度を広く保護者に周知させるため、どのような対策をとっておられるのかお伺いいたします。
  次に、子供の貧困問題についてであります。
  国連児童基金、ユニセフは、日本の子供の貧困率は14.9%で、先進35カ国のうち悪いほうから9番目と報告しております。また、厚生労働省が経済協力開発機構、OECDの作成基準に基づいて算出した数字によっても、17歳以下の子供の貧困率は2006年の14.2%に対し、2009年には15.7%と悪化しております。実に7人に1人以上の割合で子供の貧困が広がっていることになります。
  子供がいる現役世帯の貧困率も同様に広がっている中で、ひとり親世帯、とりわけ母子世帯の貧困率が突出して高いことが数字の上でも明らかであります。日本のひとり親世帯の貧困率は、OECD諸国平均の約2倍の59%に達しており、ひとり親家庭の過半数が貧困に陥っていることになります。
  親の収入が少ないと、十分な教育費を捻出できなかったり、親が仕事で忙しく子供にかかわる時間もなかったりすると、子供は勉強に対する意欲がわかなくなり、進学、就職への夢や希望を抱けなくなってしまうことにもなりかねません。そのため、将来的に低所得であったり、収入が安定しないことにもつながってしまいます。その影響がまた同じように次の世代に受け継がれてしまう貧困の負の連鎖と呼ばれる現象を懸念する声が全国的に聞かれますが、当市の状況はどうでしょうか、お伺いいたします。
  次に、3番目、食農・食育の実践としての弁当の日への取り組みについてであります。
  2001年、香川県の小学校で、当時の竹下和男先生が始めた弁当の日。年に数回、小学5、6年生を対象に、子供が自分の食べる弁当の献立つくり、買い出し、調理、弁当箱詰め、片づけのすべてを1人で行うことを原則に、親が手伝わないことで、一人前になりたいという子供が本来持っている生きる力を育てようという取り組みです。
  家庭科で教える栄養の知識や調理の基本、食育で教える食べ物のありがたさは、子供たちの日常へ根づいてこそ本来の目的を果たせます。弁当の日という実践を通し、子供につくる人への感謝が芽生え、給食の食べ残しが激減した学校もあるそうです。
  弁当の日がもたらすさまざまな成果がメディア等で伝わると、共感の輪が拡大、自分たちの現場に合ったやり方を工夫しながら、全国の小中学校、高校、大学、そして地域へと弁当の日の取り組みが広がっていき、今年4月現在で実施校が全国で1,000校を超えるまでになっております。
  高畠町では、弁当の日の発案者である竹下先生を昨年と今年と2年続けてお呼びし、町内各所で講演会を開催、学校、保護者、地域に賛同の輪が広がり、既に小学校4校、中学校2校で弁当の日の実施に踏み切ったということであります。
  食農・食育教育の実践として、当市では弁当の日の取り組みについてどう考えているかお伺いいたします。
  次に、項目の2番であります。子育て支援の更なる充実を求めて。
  産後ヘルパー派遣事業についてであります。
  核家族化に晩産化、さまざまな要因の影響で、出産後間もない最も助けが必要な時期にも実家を頼れない母親が増えていると言われております。全国の児童虐待死の約6割が生後1年未満、その半数が生後1カ月以内の乳児であり、また虐待者で一番多いのが、育児にふなれな10代、20代の若い実母であるという状況からしても、社会や地域から孤立し、1人でなれない子育てを強いられる母親の相談相手や育児不安を解消するためにも、家事や育児のお手伝いをする産後ヘルパーは大切な役割を担うと思われます。
  当市では、産後ヘルパー派遣事業についてどう考えるかお伺いいたします。
  以上、誠意ある御答弁をお願いいたしまして、私の壇上からの質問とさせていただきます。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
〔塩田秀雄市長 登壇〕
○市長  7番吉田美枝議員の御質問にお答え申し上げます。
  なお、子どもの教育環境の更なる充実を求めてについては、教育長より答弁をいたさせますので御了承願います。
  子育て支援の更なる充実を求めての産後ヘルパー派遣事業についてでございますが、御提案のとおり、社会環境や家族形態の変化により、育児において家庭内の支援や連携が十分にとれなく、子育てに対する不安や悩みを抱えている方も増えてきております。
  本市での状況を見た場合、家事や育児援助としてヘルパー派遣の要望が強いとの状況が強いとの状況には至っていないととらえておりますが、核家族の進展や里帰り出産をしない方も含めて、今後需要の高まりも想定されますので、ヘルパー派遣事業者との協議や受け皿づくりに向けて検討してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  私からは以上であります。
○議長  答弁を求めます。
  猪野教育長。
○教育長  7番吉田美枝議員の御質問にお答え申し上げます。
  初めに、要保護・準要保護児童生徒の就学援助についての1点目、全児童生徒に占める準要保護児童の援助率についてでございますが、平成24年10月末現在で、小学校児童総数1,772名のうち5.9%、中学校生徒総数926名中、6.3%となっております。なお、この数字には福島県からの避難児童生徒も含まれております。
  2点目の県内自治体と比べた場合の運用状況についてでございますが、就学援助は自治体ごとに予算の範囲内において就学に要する費用を支給する制度であり、本市における準要保護児童生徒における補助対象項目は、給食費、学用品費、通学用品、修学旅行費、校外活動費、新入学用品、体育実技用品、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費、医療費となっており、国の援助項目と同様でございます。
  議員御質問の他自治体との比較でございますが、平成22年度から新たに援助項目に加わったクラブ活動費、PTA会費、生徒会費といった3項目に関して、13市での実施は南陽市を含め3市であり、置賜管内では川西町が本市と同様の補助を行っていると伺っております。
  3点目の就学援助制度の保護者への周知についてでございますが、各小中学校では新入学者を対象とした説明会や入学の際の保護者説明会等の折に説明を行うとともに、学校によってはチラシ等を配布して周知を図っているところでございます。
  次に、貧困の負の連鎖を懸念する声についてでございますが、貧困率は所得から税金などを差し引いた可処分所得をもとに算出し、貧困の状態にある人の割合を示したもので、率が高いほど貧困の状態にある人が多いことをあらわすとされています。
  議員御指摘のとおり、厚生労働省が公表しております国民生活基礎調査の概況を示す統計数値は、子供がいる世帯の貧困率は年々高くなっており、各世帯の収入も減少している状態を示しております。
  本市のここ5年間の準要保護児童生徒の援助者数を見る限り、増加傾向にあり、貧困率は国勢調査区から無作為抽出した区域から算出するために南陽市単独の数値でございませんが、全国的な傾向とほぼ一致するものと考えております。本市では、平成22年度の国の援助項目増設にもいち早く対応するなど、他市町村と比較しても、生活に困っている世帯に対しできる限りの支援を行わせていただいておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  なお、子供の養育や就学、進学に関する相談は、各学校や市の教育相談室で随時受け付けさせていただいておりますので、御利用いただければと考えているところでございます。
  次に、弁当の日の取り組みについてでございますが、本市学校教育においては、激動の21世紀社会をたくましく生き抜く力の基礎となる自力解決の力を育てることを大事に考えております。
  議員御提案の弁当の日でございますが、多くの反響があり、全国的にも広がりを見せていると伺っております。
  弁当の日のねらいとして、食材となった命への感謝と、給食をつくってくださっている方々への感謝の2つが上げられております。本市では、これら2つの感謝の心を、食育教育と食農教育を通して子供たちが実感できるように学ぶ機会を充実しております。本市の基幹産業の一つである農業と、命の根源をなす食の問題に真正面から向き合い、そして主体的に取り組む本市ならではの食農教育については、各学校にゆだねられておりますが、今年も各学校では収穫祭や感謝祭などを行い、地域の方々や保護者、先生方とともに学習を進めてきたと各校より報告をいただいております。
  なお、弁当の日はすばらしい実践でありますので、その趣旨を十分に生かし、例えば仮称家族感謝の日など、家族に感謝を伝える日として、子供たちが心を込めて食事をつくったり、あるいはふだんできないお手伝いをしたりするなど、一人一人が自分でできることを考え、それを実践することなど、南陽市ならではの教育実践の機会を検討してまいりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  私からは以上でございます。
○議長  再質問に入ります。
  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  それでは、ただいまの御答弁を受け、さらに何点か再質問させていただきたいと思います。
  先ほど教育長からお伺いいたしました準要保護児童生徒の援助率ですが、これもさることながら、年々児童生徒数が減っているにもかかわらず、就学援助を受ける子供の数が増えております。不安定な雇用と厳しい経済状況の中で、ひとり親家庭の相対的貧困率は50%を優に超えていると言われております。子育てと仕事を両立させようとすると、残業があって当然という正社員は無理で、収入の低いパートや派遣等の非正規労働とならざるを得ないといった事情なども増え続ける原因の一つかなと考えられるわけですけれども、要保護・準要保護世帯におけるひとり親家庭はどれくらいを占めているのでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  淀野学校教育課長。
○学校教育課長  それでは、議員の質問にお答えをいたしますが、学校教育課として要保護の数、それから準要保護の数はきちっと精査してとらえておりますが、家庭状況について、それがひとり親世帯であるとか、それから祖父母の世帯であるとかという部分に関しては公表をいたしておりません。御了解をお願いをいたしたいと思います。
○議長  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  わかりました。ただ、ひとり親が子供を抱えながら本当に正社員として雇用されて、十分に暮らしていけるような社会になっていくのが一番望ましいことで、そうしなければやっぱり貧困からの脱出というのはなかなか難しいのかなというふうに思います。わかりました。
  では、生活保護世帯に対しては全国一律の認定基準があって、学用品、通学費、給食費等の支給がされておるわけでありますけれども、準要保護世帯は生活保護世帯に準ずる程度に困窮している世帯ということで、市の認定基準を決める上で、教育委員会と福祉課との横断的な話し合いというのはなされているんでしょうか。例えば、生活保護水準の所得額の例えば1.5倍までの範囲とかというふうに、数字的なものだけでの基準で決められているのか、認定基準設定の際に心がけておられること、考慮されている点などあればお伺いしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  淀野学校教育課長。
○学校教育課長  南陽市の準要保護世帯に関する支給に関する部分については基準がございます。議員御存じのとおり、昨年度より福島から区域外等に含めまして本市に生活していらっしゃる世帯、合計現在29家庭でございますが、その場合等については南陽市の基準と、加えて二重生活であるというふうな部分も加味しながら、先ほど教育長がお答えいたしました数の準要保護の手だてを行っているところでございます。基準は南陽市のほう、教育委員会のほうで定めております。
○議長  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  その基準というのが、先ほど質問したように、例えば生活保護給付水準の所得額の何倍とかといった数字的なものプラス加味されているわけでしょうか。
○議長  答弁を求めます。
  淀野学校教育課長。
○学校教育課長 議員おっしゃるとおり、生活保護の基準をもとにした数値になっております。具体的に1.5倍そのほかという形ではございませんが、それに基づく数値で行わせていただいておりますので、御了解をお願いをいたします。
○議長  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  子供たちが本当に安心して教育を受けることができますように、学習機会の均衡を図っていただくよう、これからもよろしくお願いいたしたいと思います。
  三位一体改革で平成17年から準要保護者に対する国庫補助が一般財源化されたわけですけれども、手元に平成19年の、5年前の数字ですけれども、県内市町村の要保護及び準要保護児童生徒の数を掲載した資料があります。これを見ると、村山地域の各市における保護児童生徒数が多いんですね。置賜では米沢がぬきんでて多く、高畠も結構多いようです。5年前の数字だからもちろんその後の変化はあると思いますけれども、準要保護者に対する国庫補助が一般財源化されたことによって、各市町村の人口規模とか財政規模とかそういったことによって、また政策取り組みに積極的かどうかなどもあるのかなと思うんですけれども、そういったことによって違いが出てくるように思うわけです。
  先ほどの質問と重複するとは思いますけれども、当市の現在の認定状況や支給額をどのように検証されておられるのかお伺いいたしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  淀野学校教育課長。
○学校教育課長 先ほど教育長が申し上げましたとおり、過去5年間を検証いたしまして、ここ2年ほど増加傾向にございます。
  内訳に関しては、福島の被災、罹災の家庭につきましては、先ほど申し上げましたとおり29家庭、それを除きますと、10月末現在では、平成23年度に比べて増加傾向に依然あるというふうに考えております。
  支給内容等の割合の差でございますが、県の担当の課の情報によりますと、小学校につきましては県平均6.3%、それから中学校は7.6%です。本市は約1%低くはなっておりますが、要保護家庭が少ないというふうな点をかんがみますと、県平均以上に手だては進んでいるものというふうに考えております。
○議長  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  教育日本一を標榜している南陽市なわけでありますから、本当に教育委員会、学校、そしてまた福祉事務所等が連絡を取り合って、本当に家庭の経済的困窮によって子供の発達や成長が阻害されることがないように、子供たちが円滑に教育が受けられますよう適切な運営を望みたいと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。
  当市では、就学援助の支給月が年2回、10月と2月となっているようでありますけれども、学用品等の購入でお金が必要な新学期に支給してほしいとの要望があります。小学校、中学校の入学時に必要な保護者負担金と就学援助金との開きというのはどのくらいあるのでしょうか。せめて新入学のときぐらい、みんなと同じような晴れやかな気持ちで子供の門出を祝ってやりたいというのが親の気持ちだと思います。
  これは前年度の所得を確認した上での決定なので、本当に難しいとは思いますけれども、新学期から10月というと半年以上もたってからの支給では何とも遅いように思います。その辺も保護者の負担を考えて、申請から認定までほかの他県のあれですけれども、就学援助費を立てかえて仮に支給している自治体もあるようです。何とかその辺、策を講じることはできないものでしょうか。その辺、学校教育課のほうではどうとらえておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  淀野学校教育課長。
○学校教育課長 小学校の入学時の学用品等については、上限額は1万9,900円と。中学校につきましては2万2,900円でございます。
  議員仰せのとおり、新入学時に非常にお金がかかるというふうなことでもございますので、学校教育課といたしましてもこの準要保護の制度の運用にかかわって、支給時期を何とか早くできないかどうか、昨年度から検討を始めているところでございます。基礎資料として3カ月間の収入状況、そのほか書類が要る関係で、なかなか入学時すぐというわけにはいきませんが、何とか検討してその方向で進めてまいりたいというふうには考えております。
  以上でございます。
○議長  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  これというのは、学校教育課のほうでそう望んでいたとしても、市当局、行政側でどうも難しいと言われれば何ともならないことなんでありましょうが、その辺教育日本一を標榜している南陽市でありますから、市長の考えをちょっとお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  技術的に可能であれば、そのように進めてよろしいのではないかというふうに思っております。
○議長  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  ありがとうございます。前向きに検討していただきたいと思います。本当に保護者の方から大変だというような声が聞かれますので、そういった要望にできるだけ答えていただきたいと思います。
  次に、平成22年4月から追加されたクラブ活動費、生徒会費、PTA会費等につきましては、13市のうちの3市、置賜では川西と南陽だけだというようなことで、取り組みを前向きに一生懸命にやってくださっている教育委員会のほうに敬意を表したいと思います。
  次に、子供の貧困問題についてでありますけれども、現実問題として生活に困窮する家庭があって、そこに育つ子供がおる一方で、塾通いやピアノとか水泳、スポーツクラブ等の学校外の活動に時間とお金を費やしている子供も、こういった地方でも珍しくはなくなっております。等しく教育を受ける権利を有すると憲法第26条に明記されておりますけれども、保護者の所得や生活水準によって子供の教育水準に格差が生まれているのが事実であると思います。
  所得が高い家庭ほど、子供に対しても高い学歴を求めており、大学を卒業するまでの基本的な教育費は1人に3,000万円ぐらいかかると言われている時代です。貧しい家庭に生まれた子供には、親は本当に長時間働かざるを得なくて、子供と過ごす時間も少ししかない、塾の費用も払えないから、能力の有無にかかわらず挑戦する機会すら与えられず、やる気も損なわれてしまうといった可能性も大きく、教育機会の平等というのは果たしてどうなのかな、確保されていないと言えるんじゃないかななんていう思いです。
  本当はあってはならないことなんでしょうけれども、教育の格差について教育長はどのようにとらえ、それをどう克服していく心構えというか、お聞かせいただきたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  猪野教育長。
○教育長  吉田議員のお話を総合的にとらえますと、すべて平等と。果たして平等観念の中から教育が成立するのかなと私は考えているんです。
  日本の戦後復興が行われました。そのときに、やっぱり貧困からの脱出というふうなことで、これはすべての国民が戦争の放棄とともに民主主義、そして貧困からの脱出ということで頑張って成果があるわけですね。すべてすばらしい条件を整えることが果たして人間の育成になるか、これはならない場合のほうが大きい。議員の論法ですと、貧乏人は、私貧乏人だったですから、貧困家庭に育ちましたから、貧乏人はすべて教育の機会が与えられる。与えられるんじゃなくて、獲得するという、そういう思想がないとやっぱり子供は育たないと思うんですよね。
  ですから、我々はできるだけ教育の機会均等の原則で努力をします。ただ、これは学校教育の枠の中であります。塾とかスポ少とか、これは家庭の責任できちっとやっていただく、これが一番大前提だと思います。ですけれども、総合的に判断して、できるだけ子供たちが夢や希望を膨らませながら、あしたのために勉強する環境整備を整えますので、御理解のほどお願いしたいと、このように思います。
  以上です。
○議長  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  ただいまの教育長の御答弁をお伺いしながら、次に私が述べようとしている弁当の日への取り組みにつながるのかななんていうふうなことを思いながら拝聴しておりましたけれども、実は最近なんですけれども、ある市民の方から相談を持ちかけられました。
  ひとり親家庭のお母さんなんですけれども、兄弟が3人いらっしゃって、一番下の子供さんが何とか高校に進ませることができたと。でも、経済的にも本当に大変で、どうしたらいいものかと。奨学金でも借りて何とか学校を続けさせたいものだが、どうしたらといったような相談内容だったんですけれども、そのときの話に、奨学金は利息がつかない借金だというようなことを言われました。卒業後に返還しなくちゃならないというようなことで、奨学金を利用し、学校を卒業して社会人になった場合、その人生のスタートから既に負債を負っていることになるんじゃないかなんていうような、そんな切実なというか、お母さんも自分も貸してやることができないし、上のお子さんも何とかそれこそ大変なんだそうです。そんな中で下の子供さんをどうやってというふうなことを言われたときに、奨学金のあり方もそうなんですけれども、私はそれをどう教育長ならお答えというか、アドバイスをしてあげるのかなというか、私本当に困ったんです。
  上の子供さんもそのような本当に大変な状況に置かれていると。下の子供も就職を考えると高校ぐらいは卒業させてあげたいんだけれども、大変だと。そんな中でどうしていったらいいのかなと。本当に貧困の再生産というか、そんな状況を切実に訴えられまして、本当に困ったんですけれども、未来を担うべき世代が本当に物心両面に豊かにならなければ、やっぱり未来ある社会なんてつくれないと思うんですけれども、将来的に損失になるとも思うわけですね。
  よく市長が、教育への本当に財政支出が未来への投資である的な、人材育成というふうなことを述べられていらっしゃいますけれども、本当にそうだとは思うんですけれども、現実問題としてそういった相談内容を寄せられたときにどう答えるか、本当に私自身考えてしまいましたので、その辺アドバイスをいただければと思います。
○議長  答弁をお願いいたします。
  猪野教育長。
○教育長  進学を進めていく上で、本当に困っている家庭のお子さんは数限りなくあると思うんですよね。その中の一握りのお子さんが奨学金をいただくと。それも利息のない奨学金もあれば、利息のつく奨学金もあるし、無償で、いわゆる返還することのないような奨学金もあります。さまざまあります。ですけれども、必要とする人は、このような社会情勢ですから年々増えてくると思います。
  ですから、これは一つの契約社会ですから、借りた以上はやはり返すことが原則です、これは。それは自分の意思で、ある程度の少年期においても判別ができる状況ですから、当然返していただく。その根拠は、これから続く借りたい人が借りられない社会は絶対作れない。心ある浄財をもとに育英の事業が行われているわけですから、浄財をくださった方々の気持ちも思いやっていただきたいし、これから続く自分の後輩に対しても、自分が助かったわけですから、先輩としての責任として返すということは必要だと思います。
  やはり自立の前提には、さまざまな障害がある。それを押しのけ払いのけて前に進むことが私はこれからのときに大事なことだと思います。そういう意味で、単なる人情論だとか甘えでクリアすべき問題じゃないと。ここは厳しく、契約社会において契約履行ということを前提にして対応を図っていただきたい。私の個人的な考えです。
○議長  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  ありがとうございます。すなわち、生きる力をつけるのが教育ということでとらえさせていただいてよろしいでしょうか、大きく言えば。そのように私自身とらえさせていただきます。
  食農・食育教育の実践としての弁当の日の取り組みでありますけれども、これは今年度の取り組みで青年団米部と子供たちが一緒においしい米づくりに情熱を傾けて、収穫、そしてそれに感謝しながらみんなで味わって食した、一連の本当に食農・食育の体験学習、それは本当に子供たちが楽しそうに生き生きとした表情で行動していたということを伺っております。
  また、かぼちゃプロジェクトと梨郷小学校の子供たちにしても、若い青年層とのかかわりによって、子供たちは農業の楽しさとか魅力を、ともに若い方々と一緒に行動することによって感じて、身近な先輩にあこがれとか夢なんかも感じたのじゃないかななんて思います。南陽市独自の食農教育として、ほかに誇れるすばらしい取り組みであったなと思います。
  でも、ここに弁当を組み合わせたらと。子供たちは自分と食の間にたくさんの人が関わっていることに気づいて、食べ物をつくることが本当に簡単じゃないんだよということを知ったり、農業体験の厳しさとか自然、人、暮らしとのつながりを自分のこととして実感できるようになるんじゃないかななんて思ったわけです。
  私は、この問題に関しては、昨年の3月議会でも教育委員会にただしました。そのとき、教育長から、メモしてあるんですけれども、子供たちが自立していく過程の中で、子供たちが価値を感じ、その価値を追求していくための取り組みが自発的に出てこないといいものはできないという答弁をいただきました。全くそのとおりであります。強制的にやっても全く意味がありません。ですから、その取り組む価値があるかどうかを子供たちに、そして先生に、そして保護者の方々に判断してもらいたいと思うんです。
  高畠町では、町内の小中学校、そして地域の各所で弁当の日を提唱された竹下先生の講演会を昨年、今年と2年続けて実施し、子供たちがつくる弁当の日の取り組みがもたらす影響とか効果にみんなが共感して、講演会終了後、保護者を交えた反省会を実施し、議論されたそうです。その中で、子供たちから自分たちもやりたい、ぜひ取り組もうよというような自発的な声が上がったということです。保護者は、その子どもたちの姿を温かく見守って賛同の拍手をしたということを聞いております。
  竹下先生は、これまで実践されてきた弁当の日に見せる子供たちの誇らしげなたくさんの笑顔と、これからの社会を支える子供たちが本当に先生、家族、地域社会を巻き込みながら、時には涙を誘うほどけなげにたくましく育っている様子をたくさんの映像に残しておられます。講演会では、必ずその映像を映し出して、視覚的にも訴えかけてきます。
  実は、先月、11月だったんですけれども、竹下先生の置賜リレー講演会がありまして、その長井会場に息子夫婦を、半強制的ではあったんですけれども、ぜひ行って聞いてくるようにと勧めました。最初はあまり乗り気ではなかったんですけれども、行ったら見事にはまりまして、これが。それで、息子たちに変化が起きたんですね。子供たちは喜んで台所に立って、まだ小さいので親と一緒ではありますけれども、いろいろな料理に挑戦して、できることをどんどん増やしていったんです。孫たちの本当にうれしそうな誇らしげな笑顔といったら、本当にすばらしいなと思いました。
  親子がともに成長でき、感動を共感でき、家族のきずなを深める本当にすばらしい実践であるなと、それを実証した出来事かなと思ったわけでありますけれども、弁当の日を取り組むかどうかは別としても、ぜひ南陽市にも竹下先生をお呼びして、子供たちはもとよりも、先生、保護者、より多くの地域の方々に先生の講演を聞いてもらいたいと思うんですけれども、食に対する意識の変化が起きることが受け合いであります。
  この子供がつくる弁当の日というのは、本来は家庭生活の責任においてなされるべきことであると思います。でも、子供たちを取り巻く食環境は本当に一昔前と大きく違っております。食の乱れが心と体の乱れをつくっているなんてよく言われますけれども、弁当の日はそういった意味ですごい効果があるんじゃないかなと。大人たちが成長することができるなと。大人たちが成長することで、子供たちが健やかに育っていく環境をつくっていくことができる取り組みであると私は理解しておりますので、ぜひ来年度あたり、高畠さんでもまた来年も呼びたいとか、長井でも呼びたいなんていうような声も聞いておりますので、ぜひ南陽でも、取り組むかどうかは別としても、講演会を実施していただきたいと思うんですけれども、教育委員会主催でなくてもどこでも結構です。ぜひどういう形であれ取り組んでいただければなと思いますが、どうでしょうか。
○議長  答弁を求めます。
  猪野教育長。
○教育長  御提言ありがとうございました。
  かつて吉田美枝議員さんのほうから、長井の中高生の子供議会の事例を挙げていただきました。私どもは、市長さんの同意も得まして、南陽ならではの子供議会をつくるということを明言しました。その結果、すばらしい子供議会が2年間開かれております。
  南陽市は日本一の教育を目指して、学校教育の領域では幼保小中一貫教育を進めています。これは、全国で幼保小中一貫教育を立ち上げているのは南陽市だけです。小中一貫教育は38あります。その中に南陽市も入っています。子供たちもそういうことを意識して、先生方も意識しながら、やはり輪切り教育ではない、系統的な一貫教育を推進しています。その中で一番つける力が自立の力、いわゆる自力解決の力。幼少のころから自分のことは自分でやるという力づけをしています。そういう意味で弁当の日は効果あります。
  ただ、南陽市の先生方も、子供たちも、地域の方も自負がございます。全国で1,000校ぐらい弁当の日をやっていると。南陽市は1,001校ですよね。南陽市は食農教育の全国的な先駆けをやっています。そういう視点から、弁当の日の精神を生かして南陽ならではの弁当の日、いわゆる家族感謝の日、こういうもののスタイルで検討させてまいりますので、御理解のほどをお願いしたいと、このように思います。
  以上です。
○議長  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  南陽ならではのそういう取り組みを考える上でも、一つの参考例にそういう講演会を実施などしていただけたら、なおありがたいなと思いますので、再度よろしくお願いいたしたいと思います。
  じゃ、子育て支援の産後ヘルパーの件に移りますけれども、市では保健師さんによる新生児訪問指導なんかをやられておりますけれども、その際、ヘルパーさんの派遣を要望される声なんていうのは余りニーズとしては少ないというふうな先ほどの答弁もありましたけれども、県内では、遊佐での産後1年以内の核家族家庭に、町と契約を結んだ事業所からヘルパーを派遣して身の回りの世話や育児等を援助するエンゼルヘルパー事業があります。そのほか、多胎児家庭へのホームヘルパー派遣事業を行っているところが山形とか天童、米沢なども含めて6自治体ありますけれども、いずれも事業実績は低いようです。
  核家族化は進んでも、私もそうだったんですけれども、あまり遠くないところに実家があり、産後の心身共に一番大切な時期は、やはり多少の無理は承知でも親に手伝ってもらう方が多いからなのかなと思います。でも、幾ら親とはいえども、私自身が9月に孫、双子が生まれまして大変だったんですけれども、自分が子育てにかかわったころとは時代も違って、本当に産後の過ごし方とか育児法なども違って、面食らってしまったこともありました。
  介護保険外の部分でのお手伝いをするホームヘルパーのように、ある一定の講習を受ければ、だれでもが産後ヘルパーとして登録して活動できる体制がとれるよう行政としてサポートをしていただければなと思うんです。正しい知識で親身にお世話をする新しい産後サポーター養成講座なるものを企画していただければ、そのサポーターが地域に広がることによって、本当に温かい子育て充実のした南陽市と言えるのではないかなと思うんですけれども、そういう講座の企画などはいかがでしょうか。お願いいたします。
○議長  答弁を求めます。
  大沼福祉課長。
○福祉課長  お答えいたします。
  身近では、先ほど議員からおっしゃられたように、米沢市で多胎児の産後ヘルパーをやっております。その実績はゼロでありますが、実は米沢市の場合、社会福祉協議会のほうで受託をしているんですが、実は社会福祉協議会独自で多胎児にかかわらずにヘルパー事業をしているというふうなことでした。そっちのほうは実績があるというふうなことなので、全く需要がないわけではないんですが、おっしゃるとおり、介護保険のヘルパー事業を行っている事業者の方で、そういった登録ヘルパーを登録していただいて、そういった人をまず養成しないとなかなか出発しないというふうに考えておりますので、今後社会福祉協議会等と相談をしながら、市長の答弁のとおり受け皿づくりからまず始めたいというふうに思っています。
  以上です。
○議長  7番吉田美枝議員。
○吉田美枝議員  ありがとうございます。
  受け皿づくりということからすれば、サポーターというかヘルパー養成の呼びかけですけれども、例えば南陽市食生活改善推進員は母子保健推進員も兼ねております。母子保健推進員としていろいろな研修会で研さんを積むほかに、離乳食実習のお手伝いとか、予防接種の際のお手伝いとか、両親学級へのお手伝いなんかもしております。市内に174名もの会員さんがいらっしゃいます。また、子育て支援者養成講座を受講して、ファミサポ協力会員として登録され活動をされておられるたくさんの方もいらっしゃいます。そういった方々に呼びかけて、本当に安心して子供を産み育てられる環境を行政と市民の協働の力でつくっていけたらと考えます。
  財政支援としては、産後ヘルパー派遣事業に取り組むある自治体の例を参考にしますと、最低限お母さんと赤ちゃんが退院してから2カ月以内に10日までとか、多胎児出産の場合は、これとは別に出産後1年以内に15日までくらいのヘルパーさんの利用補助を出しているなんていう自治体も実際にありますので、そういったところも参考にしながら、南陽市ならではのというか、南陽市の子育て支援体制づくりに、本当に先ほども申しましたとおり協働の力で進めていければなと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。
  これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長  7番吉田美枝議員の一般質問は終了いたしました。大変御苦労さまでございました。
  ただいま一般質問中ではありますが、本日はこれまでとし、日程に従い、あしたに引き続き行いたいと思います。

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散      会
○議長  本日はこれにて散会いたします。
  御一同様、御起立願います。
  どうも御苦労さまでした。
午後 2時02分  散  会