平成27年12月定例会

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午前11時10分  再  開
○議長  再開いたします。
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舩 山 利 美 議員 質 問
○議長  次に、3番舩山利美議員。
〔3番 舩山利美議員 登壇〕
○舩山利美議員  おはようございます。3番政風会の舩山利美です。
  今年も雪の季節となりましたが、昨年は12月3日からの根雪となり、雪の中からの収穫となった作物もあるなどで、農家の方々は大変苦労された年でありました。さらに、降雪量も多く、議会としても、たびたび道路除雪に対する議題を取り上げ、市民生活への不安解消に取り組んでまいりました。これからも定住環境のイメージダウンにならないよう、配慮をお願いするところであります。
  それでは、さきに通告しております項目について質問いたします。
  初めに、環太平洋経済連携協定、いわゆるTPPによる地域経済に及ぼす影響とメリット、デメリットについてであります。
  このTPP交渉は、秘密交渉ということもあり、ほとんど内容が明かされないまま交渉が続けられてきました。
  10月初めに大筋合意となり、全容が公表され、新聞等で連日、詳細を報道されるにつれ、日本にとって大きな変革をもたらすものであることを改めて感じました。
  この協定発効により、農業分野においても影響は甚大で、食の安全や地域経済をも脅かされる懸念があるのではないかと考えております。
  当初、否定的と言われた交渉参加は、2013年3月に国民的議論が浸透しないままに安倍首相が表明いたしました。政府・与党内でも、国民生活に大きな影響を与えることが懸念されるとして、翌月、4月19日に衆議院農林水産委員会において、TPP交渉参加に関する8項目の決議がなされ、決議事項の実現を強く求めております。
  決議の中には、米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、甘味資源作物、いわゆる重要5品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすることとしておりました。
  このたびの大筋合意について、政府はコア部分、いわゆる核部分は守ることができたと強調しております。しかし、その約3割が関税撤廃、そして輸入枠の拡大や関税引き下げなども事実であります。
  さて、本市への影響についてでありますが、本市は農村都市であり、農業は基幹産業としての位置づけであることを市長も言われております。経営形態は複合経営の農家が多く、本市で生産される農産物は、米、果樹、畜産、野菜など、幅広い分野になっており、特産のブドウ、さくらんぼ、リンゴ、ラ・フランスなども経営の柱になっております。その特産であるブドウ、ラ・フランスは、協定発効後、関税が即時撤廃、さくらんぼ、リンゴなども段階的に撤廃されます。
  政府は、現時点で影響は限定的としておりますが、農林水産省は、長期的には国産価格の下落が懸念されるとしており、さらに、マスコミ報道等によりますと、日本の食料自給率は20%台まで下がることや耕作放棄地の拡大など、農業の分野から見れば、このTPP発効によって、農村地域の崩壊をも危惧されるほど、その影響は大きいと考えられます。
  一方で、一部にこの協定は農業にもチャンスだと捉える方や工業製品などは自由貿易によって輸出が増大し、メリットがあると捉える方もおり、国民世論は二極に分かれていることも現実であります。
  そういう状況を鑑み、何点か質問いたします。
  1点目といたしまして、このTPPが地域経済、ひいては本市に及ぼす影響をどのように捉えておられるのか、市長の見解をお伺いします。
  2点目として、この協定による本市にとってのメリット、デメリットについてはどのようにお考えかお伺いします。
  3点目として、県は関税が撤廃されたことを想定し、2013年に本県農林水産業への影響を試算しており、算出額の約3割に当たる668億円の減少で、そのうち米が469億円と、約7割になっております。今回公表された内容を適用し、ほかの生産物の影響も含めれば、まだまだ減少額が増大すると考えられますが、本市の農林業への影響について、試算などはされておられるのか、また、今後、各方面への対策として、協定発効後のシミュレーションや試算も必要ではないかと考えますが、見解をお伺いします。
  次に、6次産業化・地産地消法の推進と物産販売拠点施設についてであります。
  昨年12月の一般質問でも6次産業化への取り組みについて触れさせていただきました。予算特別委員会などでも機会を捉えて質問しておりますが、国は6次産業化・地産地消法という法律を平成23年から施行して、農林業の振興や食料自給率の向上等に寄与することを目的として推進しております。さらに、TPPの大筋合意も相まって、農林水産業対策の一環としても加速するものと推察されるところであります。
  一方、融資やサポート体制は充実されてきましたが、資金面、衛生面や施設などを考慮すれば、個人で取り組むには少しハードルが高く、法人化が必要になってくるのではないかと思います。また、販売環境も大きなポイントで、直売施設などが整えば、それなりに6次産業化の道も開けてくるのではないでしょうか。
  以上のようなことから、何点か質問いたします。
  1点目といたしまして、施政方針でも6次産業化を支援すると言っておられますが、今年度の状況はどのようになっているのかお伺いします。
  2点目として、昨年12月定例会の一般質問で、26年3月に6次産業化ネットワーク協議会を立ち上げ、2次、3次事業者との連携を図りながら支援制度の周知、啓蒙を図っていくとの答弁をいただきました。協議会の現在の活動状況についてお伺いします。
  3点目として、市長公約の物産販売拠点整備をどのように考えておられるのかお伺いします。
  4点目として、今後6次産業化をどのような目標を持ってどのように推進していくのか見解をお伺いします。
  以上、壇上からの質問といたします。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
〔白岩孝夫市長 登壇〕
○市長  3番舩山利美議員の御質問にお答え申し上げます。
  初めに、環太平洋経済連携協定、TPPによる地域経済に及ぼす影響及びメリット、デメリットについての1点目、TPPが地域経済、ひいては本市に及ぼす影響についてでございますが、TPPは広範にわたっておりますので、農業分野についての見解を申し上げます。
  議員御承知のとおり、TPPの大筋合意による農林水産物の関税撤廃率は、最終的に81%となり、政府が関税撤廃の例外を目指し、聖域と位置づけた米や牛肉など、重要5品目については、対象の586品目のうち、70.3%に当たる412品目は関税撤廃の例外となったものの、29.7%に当たる174品目で関税を撤廃する内容となっております。
  本市の主要生産物である果樹につきましても、ブドウが即時撤廃、さくらんぼが段階的に削減され、6年目に撤廃、リンゴも段階的に削減され、11年目に撤廃という内容となっており、期間の違いはありますが、最終的には撤廃という内容になっております。
  この3品目への影響について、国は、品質や生産時期の違いから、国内産とは基本的に住み分けがされており、直ちに大きな影響があるとは考えられないが、関税が撤廃されることで、安価な果物の輸入が増え、全体価格が押し下げられる懸念や輸入農産物の品質の向上による国内産との競合も将来懸念されるとしております。
  一方、影響が懸念される米については、備蓄米を増やす対策、畜産については、価格安定対策の法制化など、その対応策も徐々に示されているところでございます。
  また、食品の安全基準につきましては、協定発効後も各国が独自の基準を定めることができると理解をしておりますが、なお注視をしてまいりたいと存じます。
  TPPによる実際の影響は、これまで関税で守られてきたものが撤廃されるわけでございますので、少なからず影響は出てくるものと考えておりますが、農家の皆さんの不安を払拭し、地域農業が持続的に発展できるしっかりとした対策を国に求めてまいりたいと存じますし、市といたしましても、国・県と歩調を合わせて取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  次に2点目、この協定による本市にとってのメリット、デメリットについて及び3点目、本市農林業への影響の試算等についてでございますが、今回の大筋合意を反映した試算につきましては、国においてもまだ示されていないことから、本市におきましても影響の試算ができておりません。
  今後、国・県で影響額等の試算がされるものと思われますので、本市でも試算等を行い、対策に役立ててまいりたいと考えております。
  また、メリットを最大限に引き出し、デメリットは極力抑えるような総合的な対策が必要と考えておりますので、国や県と連携をしながら、その方策を探ってまいりたいと考えております。
  次に、6次産業化・地産地消法の推進と物産販売拠点施設についての1点目、6次産業化の今年度の状況についてでございますが、生産者や加工業者からの相談に応じて、県や関係機関と連携しながら取り組んでいるところであります。
  現在、国の6次産業化・地産地消法に基づく事業計画の認定を受け取り組んでいる事業につきましては、自家製ブドウを使用したジェラート製造事業があり、そのほか、県の6次産業関連の補助事業を活用しながら、産直を目指し事業展開している団体もございます。
  また、ほかには南陽市雇用創造協議会におきましても、お土産品等の商品開発やお菓子のレシピを提供するなど、6次産業化の取り組みを行っております。
  次に2点目、現在の6次産業化ネットワーク協議会の活動状況についてでございますが、平成26年3月に生産者、加工者並びに販売者が情報交換や共有することで6次産業を推進していく目的で、各組織の代表者による南陽市6次産業化ネットワーク推進協議会を設立しております。
  今年度も市内の農家で農産加工品の販売を考えている方を対象とした研修会を来年2月に開催する予定でございます。また、現状把握と情報収集を図りながら、6次産業化に取り組みやすい環境整備、消費者ニーズに合った魅力ある商品開発、新たな地域ビジネスの創出など、支援のあり方や将来的な方向性についての検討を進めてまいります。
  次に3点目、物産販売拠点整備はどのように考えているかについてでございますが、平成30年度に東北中央自動車道の南陽・上山間が供用開始予定となっており、南陽高畠インターチェンジが南陽市の高速道路の玄関口となることから、インターチェンジ付近の物産販売拠点整備につきましては、引き続き関係機関への働きかけと検討を行ってまいりたいと考えております。
  次に4点目、どのような目標を持って6次産業化を推進していくかについてでございますが、本市は観光農園や消費者への直接販売など、6次産業的な取り組みが盛んなところであります。所得の拡大につなげるためには、品質のよいものをつくって高く売るということが基本になると思いますが、さらに効果を高めるために、地域の2次、3次産業とともに、売れる農産物づくりを構築していくことが必要だと考えております。
  それを実行していくためには、農業者の積極的な取り組みが不可欠であるため、有利な情報を随時提供し、2次、3次業者との連携や情報交換により6次産業化を推進し、計画、実施にあっては、国・県等の各種支援制度を最大限に活用できるよう推進してまいります。
  そのためには、6次産業化に向け、前向きで意欲のある農業経営体を支援することによって成功事例を積み上げ、全体の底上げを図る必要があると考えております。
  今後、6次産業化及び地産地消を地域ぐるみで推進するため、南陽市6次産業化ネットワーク推進協議会において、南陽市6次産業化・地産地消推進計画の策定を検討し、その計画に沿って、南陽市の特徴ある地域資源を活用した商品の開発や販売等を進められるよう推進してまいりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  以上でございます。
○議長  再質問に入ります。
  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  それでは、再質問させていただきます。
  初めに、環太平洋経済連携協定、いわゆるTPPについてでありますが、本市議会でも、これまでに幾度となくTPPに関する請願がありまして、政府への意見書提出を全会一致で採択をしてきました。前回の9月定例会でも、TPP交渉に係る国会決議の実現に関する意見書を採択しまして提出をしましたけれども、残念ながら、国会決議どおりの大筋合意とはなりませんでした。
  私は、本市にとって相当大きな影響があるんだろうなと考えております。そんな懸念を感じているところでありますが、先月11月15日の山形新聞に、私にしてみればちょっとショッキングな記事がありまして、ごらんになった方も多いと思いますけれども、TPPの賛否を問う全国地方自治体首長へのアンケート結果をまとめたものであります。今回の私の質問で本市に及ぼす影響の答弁のようにも受け取れるような市長のアンケート回答でありまして、その記事をごらんになった農家の方とか農協関係者の方から私にまで怒りの電話などをいただきまして、憤慨されている方もおられました。議会は全会一致で請願や採択とか意見書提出をしているのに、市長が賛成というのはおかしいのではないかといったようなもので、議会としても真意を問うべきではないかといったような御意見もいただきました。
  私の考えとも大分乖離しているなと思ったところでありますので、最初にその辺の真意について、市長の見解をお伺いしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  舩山議員の御質問にお答え申し上げます。
  その新聞記事についてでありますが、新聞記事については、私もちょっと本意としない出方をしたなというふうに思ったところでございます。
  あのアンケートの回答の方法は、5段階の回答の方法でありました。私が選択しましたのは、どちらかと言えば賛成ということでありましたが、新聞記事においては賛成の一くくりで表現されたことについては、遺憾な思いを持っているところであります。
  農業が本市の基幹産業であると、そして、このTPPによる農業への影響については、私も同じ思いを持っているところであります。そうした意味で、その対策はしっかりと国に求めていかなければいけないというふうに思っております。しかし一方で、この大筋合意を見た後、この大筋合意以降については、これは国全体として見れば、今後の人口減少やアジアの成長等を取り込む、そういったことを考えれば、全体として見れば、これは今からこれを白紙に戻すということはプラスではないのではないかというふうに感じて、どちらかと言えば賛成というふうにしたところでございます。
  しかし、農業については、しっかりとした対策が求められるということは基本でありますので、そこについては、農家の皆さんの不安、そして懸念、そういったものが払拭されるように、国に対してもしっかり求めていきたいと思いますし、本市でもどのようなことができるのか、皆さんと一緒に考えてまいりたいというふうに思っております。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  本意としないといようなことでしたが、どちらかと言えば賛成、どちらかと言うとといっても、これは賛成は賛成と見ます。どちらとも言えないと回答された自治体は、どちらかと言えば賛成と思っても、影響を受ける方々への配慮というようなことを思えば、これは自分勝手で思っているんですが、そういうふうな回答をしたのではないかなと私なりに思っています。
  関係団体からの抗議とか真意を確かめる声があったということも伺っております。これは民意とは違いますけれども、全国的に、比較的農村地帯が多いところは反対だと、地域経済への影響を憂慮する首長が多かったのかなというふうに思います。
  山形県は、35市町村全てで回答しておりまして、当然1次産業が多いわけでありますから、反対が多数を占めております。賛成としたのは、御承知のとおり、本市を含めて3市町だけでありました。報道では、輸出拡大が期待でき、国内総生産、いわゆるGDPの拡大につながるとしたとありますが、これはアンケートの設問の2番目に賛成の理由というのがありまして、6項目の中から選択するんですが、その中には輸入食品とか農業関係の選択項目もあります。
  あえてそれを選択したということは、市長は南陽市の産業構造を意識した回答ではないというふうに私には見えるんですね。そういうことだとすれば、白岩市長としては、このTPPによって本市は多少の悪い影響があったとしても、むしろ農業を含めて地域経済は好転するというふうに考えているということでしょうか。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  農業に悪い影響があったとしてもというお話でありましたが、その悪い影響が出ないように、デメリットを極力抑えることが、これは行政、あるいは政治にとって必要なことではないかというふうに思っております。
  そしてまた、全体として見ればというのは、本市にとってでもありますけれども、国にとっても、あるいは県にとっても、本市にとっても、このアジアの成長を取り込んでいくという意味では、この合意はプラスになるというよりも、むしろこれをプラスにしていかなければいけないと、プラスにしていく方策を探っていかなければいけないというふうに思っております。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  私と器が違うのかなと感じますけれども、農業分野については、政府もしっかり対策をとると言っております。私には言いわけにしか聞こえないんですが、政府とすれば、そういうのは当然でありますけれども、県内で最も影響が予想される生産物としたのは、ほとんどの自治体が米とありました。
  先日、TPPについて、国会議員との意見交換会に参加をさせていただきまして、行政報告を拝聴してきたんですが、米については備蓄米などを調整するなどして米価下落の対策をとって、守るものは守るということでありました。
  一方で、アンケートの自由記述のところでも、市長のコメントとして、攻めの農業に切りかえるチャンスだと言っておられます。これは多分、メリットになる部分だということだと思いますけれども、攻めの農業というのは、具体的にどういうことを言っておられるのかお聞きしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  具体的にはでありますけれども、けさの地方紙にも載っておりましたが、本市の農産品の輸出が大変伸びているというようなこともありました。そういった意味では、一つは輸出というものになろうかというふうに思っております。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  攻めにもいろいろあると思うんですが、さまざまなある中に、確かにある面では農産物の輸出も攻めの一つだとは思いますけれども、先日の意見交換会での国会議員の先生も話しておられたんですが、輸出は検疫の問題や輸送の問題、そのほかにクリアしなければならないことがさまざまあるので、そう簡単なものではないし、ものをつくったらすぐに輸出できるというようなものではなくて、すごくハードルが高いというようなことも話しておられました。やっぱりしっかり守ることも大事だというようなことも話しておられました。
  要するに、守る城が落城したら、攻めもできないわけで、やっぱり守るものは守りを固めて攻めに向かうことだと私は思うんですね。
  一方で、農林水産省でTPPによる食料自給率と多面的機能への影響というのを試算しておりまして、それによりますと、食料自給率は現在、カロリーベースで39%なんですが、27%程度まで下がるだろうとしております。また、多面的機能の創出額は1兆6,000億円程度と試算しておりまして、こういうものを総合すれば、南陽市は1次産業が多いわけでありますから、経済が疲弊する可能性もあるわけです。
  本議会としても、そういうことを総合的に判断をしてTPPに関する請願を全会一致で採択したというふうに私は理解しております。
  アンケートについては、市長個人的な回答だったかもしれませんけれども、私のあくまで個人的な意見として申し上げるならば、議会と反対のスタンスというのは、大変不適切ではなかったのかなと感じるんですが、その辺について再度見解をお伺いしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  舩山議員の御指摘のことも大変理解するところでありますけれども、一つには、大筋合意の前と後とで状況が変わってきたということがありまして、その点については総合的に判断したということで御理解を賜りたいというふうに思います。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  前と後で違うというふうなことでありますけれども、アンケートについて抗議した団体などにいろいろな弁解をされておられますけれども、そういう気持ちの中で撤回したいというようなお気持ちはおありでしょうか。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  全体としての考えは冒頭申し上げたとおりでございますので、そのような現時点で持っておりません。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  地方として私の思いとは大分乖離しているなというふうに感じたところであります。
  このTPPは、後戻りできないと言われておりまして、農林業への影響の試算については、農林課でも試算されていたということでありますけれども、大筋合意を見ますと、以前に試算されたものは余り参考にならないような内容でありますので、やっぱり新たな試算とかシミュレーションをして、身近な対策に当たるべきだというふうに思います。
  国は対策の一つとして、大規模化を進めようとしております。昨年から中間管理機構を創設して農地を担い手に集約するという制度でありますが、全国的に当初予想したよりも進んでいない状況だと聞いております。本市も例外ではないようで、ある程度条件がそろわないと、非担い手から担い手への集積が少ないようであります。担い手のほうにも多少課題があるのかなというふうに思っております。
  市長にちょっとお聞きいたしますが、この担い手と言われる方はどういう方がなっておられるか御存じでしょうか。
○議長  答弁を求めます。
  嵐田農林課長。
○農林課長  ただいま質問にお答えを申し上げます。
  一つは、認定農業者制度というものがございまして、本市の場合ですと、今現在で296の経営体が認定農業者というふうに認定をされております。そのほかに市内各8地区で人・農地プランがございまして、その中でその地域をこれから担っていくという皆さん、その方々を中心経営体というふうに定めておりますけれども、それも同じような数、認定農業者と同じような数ということでなっておりますので、300弱の方を南陽市の場合は担い手というふうに見ております。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  農林関係の大事なところでありますので、市長にもぜひ勉強していただきたいというふうに思います。
  担い手は大規模農家だけではなくて、若い人だけでもありません。これは先ほど農林課長がおっしゃったとおり、認定農業者を指しておりまして、そんなに大規模でない方もおられますし、60代後半の方とか70代の方も担い手として頑張っておられます。小規模でもすばらしい技術で高品質な果物を生産されて、それで生計を立てておられる方も大勢おられます。
  そういうことを考えると、これからTPPが発効になるわけでありますが、農業分野についてはデメリットしか浮かんできませんけれども、国の政策は、大規模化を最優先として農地中間管理機構を利用した農地の貸し手の固定資産税を減額とか、あるいは耕作放棄地の固定資産税を1.8倍にするといったような政策で、さらには先ほど市長も言ったとおり、ブドウ、ラ・フランスの関税が発効後即時撤廃というようなことで、これはいわばいろいろな網でふるいにかけるようなものでありまして、1次産業が減少していくというのは確実な状況であります。それでやむなく農業を断念する方もおられるでしょう。そういう方の雇用の問題とか、本市の産業構造も徐々に変わってくるのではないかと思いますが、今後想定されるそういう新たな産業構造の構築などについて考えておられるでしょうか。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  農業に携わる方が減少することによる今後の体制については、TPPが大筋合意を見る前からも、後継者不足等、さまざまな問題がありますので、そこについてはできる限り後継者、あるいはそういった方々に引き継いで、しっかりと地域の農業を守っていけるような体制をつくっていかなければいけないという意味での、そういった構造への対応は考えております。
  一方で、農業については、例えば新潟県知事がおっしゃっていたのは、新潟県では試算をされたそうです。その試算では、米の算出額については、92億円減少するとしているものの、輸出によって172億円の収入増となるというような新潟県での算出もございます。そういった意味からも、そういった面への構造の変化、攻めの農業への支援、そういったことがこれから必要かというふうに思っております。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  これは、農業者が減少するというのは、自然減もあると思いますし、そういうようなことからも、比較的若い方でも断念するという方もおられるかと思います。そういう意味では、企業誘致の重要性というようなことも問われてくるのではないかと思いますので、ぜひ企業誘致の面にも力を注いでいただきたいなというふうには思います。
  TPPによる大きな影響の一つとして、農業の多面的機能の創出というのがあります。
  先ほど農水省の試算で1兆6,000億円ほどと申し上げましたけれども、これは国家予算でしか聞いたことのないような額であります。多面的機能というのは、例えば水田は一時的に山水をためて洪水や土砂崩れを防いだりとか、地下水をつくる機能とか、景観を維持する機能などのことを言いますけれども、本市は昨年、一昨年と2年続けて豪雨災害に襲われまして、大きな被害を受けました。そういうようなリスクが限りなく高まってくるということを試算しているわけでありますが、そういうことについての認識は持っておられるんでしょうか。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  そのことにつきましても、昨年、一昨年の豪雨災害の例が、今おっしゃっておられましたけれども、そういった意味からも、この地産、そして多面的機能については、今後とも本市としてしっかりと保持していけるような、そういったことが、対策が必要だというような認識を持っております。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  災害というのは、これは地球温暖化とか、そういうようなことも含めて、さまざまな要因があると思います。
  このTPPの影響については、これから想定外のものも出てくる可能性もあると思いますので、機会があれば、またここに来ることができれば質問させてもらいたいと思います。
  市長も言っておられるように、地方として何ができるかということ、しっかりその辺も考えていただくことをお願いいたしたいと思います。
  次に、6次産業化についてでありますが、これもTPPをにらんで国でもさまざまな支援策を打ち出しております。施政方針でも6次産業化を支援すると言っておられまして、少しは期待するところもあったんですが、予算的にも少ない予算がさらに減額されておりますし、昨年の12月定例会でも質問いたしましたけれども、昨年3月に立ち上げた6次産業化ネットワーク協議会も機能していないというようなことを伺っております。
  真剣に取り組む姿勢があるのかというようなことを疑問に思ってしまうところでありますが、6次産業化も攻めの農業の一つというふうに言われております。これは待ったなしの状況ではないかと思うんですね。一方で、6次産業化に取り組む側としても、さまざまな課題とか不安があって、なかなか踏み切れなということもあります。大きな要因の一つとしては、流通、販売と、それらをどうしたらいいのかということがあると思うんですね。そういうことから、市長の公約されている物産販売拠点の整備というのは、多くの方が待ち望んでおります。
  以前、高畠の町長さんとも話していると言われてから大分久しくなりますけれども、これからすぐに始めようとしても、2年後、3年後となってしまうわけであります。
  例えば庁内に検討委員会をつくるとか市民も参加した協議会を立ち上げるといったような予定なんかは持っておられるのかお伺いしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  庁内の検討委員会、あるいは市民の皆さんの参加がある、そういった検討の会議、そういったものについては、現時点ではそれを設置しようというところには至っておりません。
  ただ、きのうも近隣の自治体の首長と話す機会がありましたので、そういった機会を捉えて、相手があることでもありますので、詳細にはちょっと申せませんが、そういった機会を捉えて、この取り組みについては、私も当然、熱意を持ってしっかりと実現していきたいというふうに思っているところでございます。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  今、みらいトークライブ、終わったかもしれませんけれども、しておりました。私も梨郷地区のほうに参加をさせていただいたんですが、そのときにも地区の方からこういう販売拠点のような話が出まして、高畠に行ってしまうと、なかなか品物を持っていくことができないと、できれば南陽市内に設置していただきたいというような話も出ております。
  さっき、詳細は余り言われませんでしたけれども、市長の考えとしてはどういうふうな、例えばまだ高畠と一緒にやりたいのかというようなことを思っておられるのか聞きたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  この南陽市内に設置できれば、最も望ましいわけでありますが、第1には設置できることということが最優先だというふうに思いますので、そのことを念頭に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  最後の質問になりますけれども、6次産業化もそうですが、地産地消も農業の活性化というのは、行政も支えていかなければならないというふうに思います。
  昨年の一般質問で県が行ったはえぬきの消費拡大運動に取り組んではどうかと申し上げまして、総務課長から、庁内で検討させていただきますという答弁をいただきました。実施されたのか、最後にお伺いしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  板垣総務課長。
○総務課長  お答え申し上げます。
  確かに昨年の議会で舩山議員のほうからはえぬきの職員に対する半強制的な米の購入拡大というふうなお話がございました。その後すぐ関係課と協議をいたしました。その中では、市内には農産品も多数もちろんありますけれども、商工業品も多数あると、そんな中で米の、しかもはえぬきだけを職員に強制的に購入ということにはいかないのではないかという結論に達しました。
  以上です。
○議長  3番舩山利美議員。
○舩山利美議員  全部をというわけでなく、少しずつ地産地消を進めていくというようなことも必要だと思うんですよ。だから、そういう意味では、消費拡大に協力するということも、私は大事だと思うんですね。これからもそういう意味では庁内としても取り組んでいただきたいというふうに思います。
  かの二宮尊徳先生は、農はあらゆる職業の大もとだと言っております。本市にはその大もとを担う方が大勢おられますので、それを忘れないでいただきたいというようなことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○議長  以上で3番舩山利美議員の一般質問は終了いたしました。
  大変お疲れさまでございました。
  ここで暫時休憩といたします。
  再開は1時といたします。

午前11時53分  休  憩
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