令和3年度施政方針

施政方針とは、市長の市政運営の基本方針として、翌年度の主要事業や予算について方向性を示すものです。 
令和3年3月2日開会の南陽市議会令和3年3月定例会において、白岩市長が令和3年度施政方針を述べました。(関連ファイルからPDF版をダウンロードできます。)

令和3年度施政方針

1 はじめに

 令和3年度予算案をはじめとする重要な議案をご審議いただく南陽市議会3月定例会の開会にあたり、市政運営に臨む所信の一端と施策の大要を申し上げます。
 はじめに、今般の新型コロナウイルス感染症により、市民の皆様、事業者の皆様には、感染症拡大防止に向けて、御尽力いただいていることに感謝を申し上げます。また、ウイルスとの闘いの最前線に立ち続ける関係者の皆様に深い敬意とともに、心からの感謝の意を表します。
 昨年を振り返りますと、中国武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症が世界中に広がり、人々の生命や暮らし、経済に甚大な影響を及ぼしました。国内においても全国的に感染拡大が進み、2度にわたる緊急事態宣言がなされるなど、予断を許さない状況が続いております。
 本市においては、初期の段階から感染症に関する情報収集とSNS等を活用した積極的な情報発信に努めるとともに、学校、子育て、介護など、各施設における感染症対策、さらには、プレミアムクーポン券や事業持続化給付金、緊急経済対策利子補給金など、種々の緊急経済対策にスピード感を持って取り組んでまいりました。
 1月に観光庁が発表した主要旅行業者の旅行取扱状況速報及びGoToトラベル事業の利用実績によれば、GoToトラベルを利用した宿泊者は昨年12月15日までに約8282万人、地域共通クーポンを合わせた支援額は約4842億円と観光需要を大きく牽引したものと考えられ、本市におきましても、同様に回復傾向にあると分析しておりました。しかしながら、昨年末からのGoToトラベルの停止、1月からの首都圏を中心とした緊急事態宣言により、地域経済にとってはまた一段と厳しい局面を迎えています。
歴史を振り返れば、コロナ禍と同じようにペストや天然痘、大正時代に大流行したスペイン風邪など、世界規模で疫病が蔓延した時代がありました。地震、水害など様々な苦難にも見舞われました。しかしながら、その時代に生きる人々は英知を結集し、利他の精神で助け合い、つながりを大切にしながら幾多の危機を乗り越えてきました。現代に生きる我々も、このコロナ禍を必ず乗り越えられるものと信じています。
 新年度から第6次南陽市総合計画がスタートいたします。
 「つながり つどう 縁結ぶまち 南陽」を将来都市像に掲げ、多様な「縁」によって新たな付加価値が生み出されていくまちを目指してまいります。コロナ禍にあってもお互いに助け合い、励まし合いながら生きる南陽市民の姿に、これまで築き上げてきたつながりの強さを再認識いたしました。新しい未来を切り開くため、つながり、つどい、地域活力を創造し、皆様とともに持続可能な社会を作り上げてまいります。
 新しい総合計画では、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの理念を取り込んだまちづくりを進めてまいります。SDGsは、2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された17のゴールと169のターゲットであります。アジェンダの冒頭の文章には「我々の世界を変革する」と書かれています。
 昨年7月に、熊本県球磨川流域をはじめとした豪雨による水害が発生し、県内にも最上川の大規模な氾濫により甚大な被害をもたらしました。本市においても、道路、河川、農林業施設等を合わせると5億円を超える被害があり、住宅では11軒の床上床下浸水被害が発生しました。新型コロナウイルス感染症や大規模な自然災害、貧困、ジェンダー、人口問題、エネルギー、自然破壊、海洋ごみ等、我々の住む世界は、様々な課題を抱えています。一つ一つは独立した課題に見えても、それらは環境、社会、経済が複雑に絡み合って目に見えるものとして表れています。こうした現状を認識し、世界を持続可能な形で未来につないでいくには現状の世界を変えていく必要があり、SDGsはそのためのツールであります。1人の100歩より100人の1歩が実現への近道となります。市民一人一人の取組が住みよいまち、心地よい暮らしを実現するきっかけとなり、企業活動においても、SDGsへの取組がビジネスにおける売上げの増加や企業価値の向上につながります。
 変わらずに守るべきものは守る、ピンチをチャンスに変える、そして、未来に向けて変えるべきは大胆に変えていく。そうした取組を市民の皆様と一緒に形にしながら、誰一人取り残さない公正で持続可能な社会を実現してまいります。

2 市政運営の基本方針

 令和3年度施策の骨格を申し上げます。
 まずは、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症の危機を乗り越え、ポストコロナ時代に向けて持続可能な社会を構築していかなければなりません。その強い決意として、第6次総合計画前期基本計画には、「新たな日常(ニューノーマル)の構築」を全分野共通の横断的目標として掲げました。市民の総力を結集し、感染症拡大防止と社会経済活動を両立した、危機に強い地域経済の構築とニューノーマル社会の実現を目指してまいります。
 少子高齢化、人口減少社会の克服は戦略的に取り組むべき課題です。
 総合計画の7つの基本目標及び総合戦略に地方創生に資する施策をまとめるとともに、引き続き市政の柱に「子どもを産み育てやすいまち」・「年をとっても安心して暮らせるまち」・「人が集まり賑わうまち」を掲げ、最少の経費で最大の効果を発揮する施策展開により、「身の丈に合った対話のある市政」を基本として、市民が主役となり、何事にもチャレンジする気概に満ちた南陽市を牽引し、市民が幸せを実感できる豊かな社会を目指してまいります。
 今後の南陽市の五十年、百年先の姿に責任を持つことを常に念頭におき、市民ニーズの的確な把握に努め、新たな行政課題や行政需要に対応するため、引き続き効率的・効果的な行財政運営に、厳しい姿勢で取り組んでまいります。
 また、行政組織につきましても、市民ニーズに合わせて組織の見直しを行い、政策課題に的確に対応できる組織体制の整備と人員配置に努めてまいります。

3 令和3年度予算の編成方針と概況

 令和3年度予算の概況について申し上げます。
 国の地方財政対策では、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税等が大幅な減収となる中、地方が行政サービスを安定的に提供しつつ、防災・減災、国土強靱化の推進などの重要課題に取り組めるよう、地方交付税等の一般財源総額について、前年度とほぼ同水準の63兆1千億円が確保されました。
 その内訳を見ますと、地方税が減収となる中で地方交付税総額について前年度を0.9兆円上回る17.4兆円を確保するとともに、臨時財政対策債についても発行を可能な限り抑制しつつ前年度を2.3兆円上回る5.5兆円が確保されました。本市におきましても、国の施策を注視しつつ、社会情勢の変化と新たな行政需要にも柔軟に対応していかなければなりません。
 令和3年度予算編成におきましては、市税の大幅減少により、歳入面でかつて無い程の厳しい編成となりましたが、将来にわたって持続可能な行財政運営を基本方針として、市民生活に直結する事業に重点的に予算措置を行ったところでございます。
 一般会計では、時勢に合わせた費目への重点配分を行い、スピード感を持って諸課題に対応することを重視し、前年比9.2%増、当初予算としては過去最大となる161億9千万円を計上いたしました。特別会計では、前年比1.7%減の74億8,741万円を計上したところであります。

4 令和3年度の主要施策

 令和3年度主要施策を総合計画の大綱に沿ってご説明申し上げます。
(1)新たな日常(ニューノーマル)を構築する
 最初に横断的目標「新たな日常(ニューノーマル)を構築する」について申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症は、社会に様々な変化をもたらしました。東京一極集中から転出超過への転換、GIGAスクール構想の実現に向けた学校での1人1台端末と高速大容量の通信ネットワーク整備の前倒し、テレワーク、リモート会議の普及も加速しました。さらには、マイナンバーカードと免許証との一体化に向けた議論や国と地方自治体の情報システムの統一化が進み、市民サービスは今後オンライン化していくことが予想されます。社会全体が大転換期にあることを認識し、市民の行動や意識の変化をとらえながら、これまで当たり前としていた常識を変え、多様な「縁」をつないでいく新たな日常を構築していかなければなりません。
 まずは、感染症拡大防止と市内経済回復に全力で取り組み、市民が安全、安心な生活を送り、幸せを実感できる社会と危機に強い地域経済を構築してまいります。
 行政のデジタル化に向けて、ICT、AI、RPA等を活用しながら将来も持続可能な、より便利で市民に寄り添った市役所を作り上げてまいります。
 また、UIJターンなど、山形に関心を寄せる方々のニーズをとらえながら、オンラインを活用した相談会や移住体験ツアー等を開催するとともに、県外に住む学生とのつながりを構築するオンラインワークショップ等を開催し、若者のふるさと南陽への回帰を目指してまいります。
 さらには、結婚に伴う経済的負担の軽減を図るため、新たに「結婚新生活支援事業」に取り組み、妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない支援を強化してまいります。
 誰一人取り残さない持続可能な社会の実現に向けて、SDGsの目標を自分のこととしてとらえ行動に移していくSDGsチャレンジ事業を立ち上げ、子どもからお年寄りまで、市民一人一人へのSDGsの浸透を図ってまいります。
(2)健やかで安心な暮らし・子育てを実現する
 次に、基本目標「健やかで安心な暮らし・子育てを実現する」について申し上げます。
 子育て支援について、沖郷地区初となる保育園と幼稚園の機能を併せ持つ「幼保連携型認定こども園」の令和4年度開設に向けて建設を支援し、子育て環境の更なる向上を図ってまいります。また、ひとり親家庭の相談体制を充実させ、仕事と子育てにより様々な困難に直面している家庭と支援メニューをつなげ、生活安定と自立の促進を図ってまいります。引き続き、放課後子供教室を市内全小学校区で運営し、放課後における児童の安全な居場所づくりと多様な体験を通した人材育成を地域社会全体で推進してまいります。
 市民の健康づくりについて、データに基づく効果的な健康プログラムや気軽に参加できる運動の機会を提供し、市民の主体的な取組を促進してまいります。
 保健・医療について、新型コロナウイルス感染症との闘いは今が正念場を迎えています。これからワクチン接種が本格的にはじまりますが、接種を望む市民に対し、正しい情報を提示し、しっかり供給できるようにすることが基礎自治体の大きな責務でありますので、すこやか子育て課内に設置したワクチン接種対策室が核となり推進体制を構築し、市民一人一人の確実な接種に努めてまいります。
 障がい児・者の支援について、幼児期から就学期を経て就労に至るまで、地域の中でいきいきと暮らせるよう、発達支援室を新たに福祉課に設置し、発達障がい等に係る相談体制の充実を図ってまいります。また、障がいの有無に関わらず、子ども達が集団での保育を通し成長できる体制づくりを推進するため、保育所等が行う保育士の加配を支援してまいります。また、障害者差別解消条例に基づき、障がい及び障がいのある人に対する理解の推進のため広報・啓発活動や特別支援学校への通学費用の助成等を実施し、障がいのある人もない人も共に生きるまちづくりを推進してまいります。
 高齢者支援について、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの更なる充実を図ってまいります。
(3)地域に根ざした人材を育てる
 次に、基本目標「地域に根ざした人材を育てる」について申し上げます。
 新年度は、本市の教育振興に関する基本的な計画である第五次南陽市教育振興計画の最終年度となるため、教育施策の基本方針及び教育目標、教育施策をまとめた第六次南陽市教育振興計画を策定してまいります。社会教育、学校教育という領域を超えた「社学融合」の理念のもと、地域総合型教育をさらに進め、市民一人一人の可能性を引き出す市民総ぐるみの教育を推進してまいります。すべての学校に新たに学校運営協議会を設置し、地域との連携を更に強めながら学校づくりを進めてまいります。GIGAスクール整備事業により全学校に導入したICT環境を活用しながら確かな学力をはぐくむとともに、国際的な視野を持ち、創造性豊かな人材を育成してまいります。若者が夢と希望をもって地域活動ができるよう青年教育推進事業を継続し、将来の地域のリーダーを育成してまいります。
ふるさと文化の伝承について、地域の食と農業をつなげる地産地消の取組や体験学習等を推進するとともに、継承・発展を目的に民話まつりなどの文化イベントを継続開催してまいります。
 スポーツ交流について、南陽さわやかワインマラソン大会の開催とともに、第48回東北総合体育大会の運営を支援し、スポーツを通じた住民相互の交流とスポーツの普及促進を図ってまいります。カリブ海のバルバドス国をパートナーとしたホストタウン交流につきましても、これまで同国の情報発信や国際交流員による学校訪問、市民訪問団派遣など交流を積み重ねてきており、新年度には、新型コロナウイルス感染症の影響により不確定な要素もございますが、状況に応じてできる限りの対応をとってまいります。
 文化芸術について、本市を会場に新年度開催される県民芸術祭開幕式典及び記念公演が開幕にふさわしい華やかなステージとなるよう市芸術文化協会と協力し創り上げるとともに、市民一人一人が主体的に文化芸術に触れる機会を創出し、文化芸術の創造を促進してまいります。
 生涯学習について、魅力ある高校教育への支援事業として、地域と南陽高校、市役所が連携した総合的な探究学習を進めるとともに、昨年12月に高校が主体的に立ち上げた南陽高校市役所部の活動を支援し、地域に定着する人材の育成を図ってまいります。
(4)力強い産業の基盤をつくる
 次に基本目標「力強い産業の基盤をつくる」について申し上げます。
 産業の付加価値向上について、企業立地奨励金により、市外からの企業の誘致や市内既存企業の新たな工場等への投資を促進、雇用の場の確保を図ってまいります。先端技術の活用に向けて、先端設備等導入計画の認定により、生産性向上と付加価値の高い産業開発を推進してまいります。また、企業のニーズを的確に把握し、新たな産業団地の整備やビジネスホテルの誘致を推進してまいります。近年、イノシシをはじめとする有害鳥獣被害が増加傾向にありますので、対策を強化するとともに猟友会と連携を図りながら有害鳥獣の捕獲体制の強化に取り組んでまいります。
 後継者育成について、事業承継、新規創業に関する事業者向けワンストップ窓口により市商工会などの関係機関と連携し取り組んでまいります。6次産業化推進業務及び有害鳥獣対策に従事する地域おこし協力隊員を募集し、持続可能な農業を支援いたします。また、農業担い手の確保に向けて、農業振興計画により国と協調して支援していくとともに、農業研修助成制度等により農業に触れる機会の増加、担い手の掘り起こしに努めてまいります。
 また、地域産業におけるニーズをとらえながら、デジタル化技術の活用や産業間連携など、生産性の向上やイノベーションの創出の実現に向けて必要な支援を検討してまいります。
(5)強くてしなやかなまち・住みよいまちをつくる
 次に基本目標「強くてしなやかなまち・住みよいまちをつくる」について申し上げます。
 防災について、自主防災組織推進事業を実施し、各自主防災組織間の連携を高め地域防災力の充実強化に努めてまいります。消防団を中核とした地域防災力の充実強化のため、消防団活性化対策整備事業や消防団装備整備事業等を実施してまいります。また、未来ある子ども達が災害に関する知識を身につけ、防災意識をはぐくむため、市内全小学校の4年生を対象に引き続き防災学習を実施してまいります。出水期前に全市民を対象とした避難訓練を水防訓練と合わせて実施するとともに、昨年7月豪雨をはじめ風水害等大規模災害の教訓を生かし、更なる充実を図ってまいります。
 河川について、吉野川の災害復旧・復興事業の早期完成に向けて、関係機関と一体となって取り組んでまいります。橋の架け替えにつきましては、残すところ国道13号の大橋のみとなり、令和3年度末に新橋が完成する予定となっておりますが、大橋上流部の護岸や堤防の施行、河川管理用通路等の整備につきましても、早期の完成を要望してまいります。災害の防止・抑制を図る砂防事業、急傾斜事業、土砂災害対策事業等の一層の促進により、市民の安全・安心の確保に努めてまいります。宮内地内の準用河川と郡山地内の雨水幹線事業を計画的に進め、浸水対策に努めるとともに、地区要望を受けて排水路整備事業を実施し、住みよい環境づくりに継続して取り組んでまいります。
 公共交通について、山形新幹線の福島・米沢間のトンネル整備による抜本的な防災対策や運休、遅延を防ぐ対策の充実、通学生の利便性向上に向けた奥羽本線の輸送改善等を強く関係機関に要望していくとともに、フラワー長井線及び市内循環バス3路線の維持と安全運行に努めてまいります。あわせて、沖郷地区の地域公共交通「おきタク」について、持続可能な公共交通となるよう地域へのサポートを引き続き行ってまいります。
 交通インフラについて、令和5年度中に供用開始が予定されている新潟山形南部連絡道路の梨郷道路や一般県道赤湯停車場線等の整備促進、山形県道路中期計画2028の前期5か年に位置付けられている主要地方道山形南陽線板宮工区の早期完成について、国及び県に強く要望してまいります。東北中央自動車道により、本市と首都圏が結ばれた効果を一層高めるため、本市へのスマートインターチェンジの早期設置実現に向けた検討と関係機関への要望を進めてまいります。また、幹線道路の新設、生活関連道路の整備、通学路の安全対策、橋梁長寿命化修繕計画に基づく補修工事を計画的に進めてまいります。あわせて、市道における舗装個別施設計画を策定し、計画的な舗装補修に取り組んでまいります。
 居住環境について、新たな都市計画マスタープラン及び立地適正化計画により、良好な都市環境を保全するとともに、居住誘導区域と都市機能誘導区域を設定することにより、市民の安全な暮らしを確保し、利便性に優れたまちづくりを進めてまいります。都市公園について、都市公園長寿命化計画に基づき適切な維持管理に努めてまいります。吉野川の湯河原橋下流左岸堤防沿いに、最上川桜回廊事業により新たに桜の植栽を行い、景観整備を進めてまいります。子育て世代定住促進交付金事業及びやまがたの家需要創出事業、暮らそう山形移住・定住促進事業により、子育て世代の住宅取得、リフォームの支援を継続し、安心してゆとりある子育てができる住環境の整備を推進してまいります。空き家対策として、空き家の後片付け費用に対する補助により空き家バンクへの登録を推進するとともに、老朽危険空き家除却支援を継続し、安全安心に暮らすことができる住環境の確保に努めてまいります。雪対策として、気象条件、道路状態を考慮した出動体制を心がけ、効果的な除排雪を実施してまいります。また、除雪技術の向上と若手技術者の育成を図るため、オペレーター技術向上講習会を継続して開催してまいります。
 上下水道について、節水器具の普及や人口減少に伴う水需要の減少、施設の経年による更新など、一段と経営が厳しくなっていくことが予想されます。市民への安全な水の安定的な供給、事業の健全経営のために、新水道ビジョンに基づき、中長期的な視点から南陽市水道事業の目指すべき方向性を定めて経営いたします。また、置賜圏域水道事業広域連携検討会に参加し、水道事業の広域連携の可能性について検討してまいります。
 防犯・交通安全について、通学路や生活道路の防犯対策と交通事故防止を図るため、LED防犯灯への補助を継続してまいります。消費生活の安定と向上を図るため、多種多様化する消費者トラブル等解決のための相談体制を維持し、県消費生活センターや専門家による相談業務と連携した取組を継続してまいります。
(6)自然の豊かさを守る
 次に基本目標「自然の豊かさを守る」について申し上げます。
 自然環境について、豊かな森林資源の将来目指すべき管理形態や基本方針を整理するため、航空レーザ計測による森林資源の調査解析など、森林経営管理制度の礎となる基礎資料の整備を行ってまいります。白竜湖について、引き続き湖面からのヒシの段階的な除去、水質改善により白竜湖周辺の景観を保全するとともに、採取したヒシの農業リサイクルに取り組んでまいります。
 資源リサイクルについて、元気がでるまちづくり交付金事業による地域コミュニティにおける環境意識の向上や、排出ごみの分別収集、使用済小型家電回収事業を継続し再資源化を推進するとともに、関係組織と連携した取組によりごみ総量の減量化を進めてまいります。
 省エネルギーについて、ゼロカーボンシティ宣言に基づき、2050年までに二酸化炭素の排出量実質ゼロに挑戦するとともに、市民への環境保全の啓発、市内公共施設や産業における省エネルギー化の促進、SDGsチャレンジ等により、環境にやさしい脱炭素社会の実現を目指してまいります。省エネルギー化と再生可能エネルギーへの転換対策として、木質バイオマス燃焼器や住宅用太陽光発電装置補助事業等を継続し、環境負荷の少ない地域づくりを推進してまいります。
(7)人がつながりまちを育てる
 次に基本目標「人がつながりまちを育てる」について申し上げます。
 市民のつながる場の創出について、公共施設等総合管理計画の方針に基づき、老朽化している公衆浴場及び温泉事務所並びに老人いこいの家を統合整備いたします。これまでの公衆浴場が持つ懐かしさや心地よさを継承しつつ、新たな赤湯温泉の魅力を発信するための工夫を施すとともに、障がいのある方や介護が必要な方にも温泉を楽しんでいただくためのバリアフリー浴室を備え、地域の中でいきいきと暮らせる環境づくりとニーズが高まっているバリアフリー観光の推進を図ってまいります。また、施設を活用した特産のワインの提供や地産地消の取組など、街あるきの拠点として、近接する料飲食店、旅館、ワイナリー各社と協力しながら周遊観光につながる取組を検討してまいります。6年目を迎えるラーメン課R&Rプロジェクトについては、市内企業からの御提案により、「なんようしのラーメン」をテーマに大人気漫画「ラーメン大好き小泉さん」のイラストも描かれたデザイントラックが静岡・山形間を往復し、南陽市を広くPRしています。また、ラーメン大使の縁により市内での映画製作につながるなど、様々な波及効果を生み出しております。引き続き、南陽市のラーメンを主役にした地域活性化を進めてまいります。
 行政サービスについて、マイナンバーカードを利用したオンライン申請や電子決済の活用など、市民サービスの向上に努めてまいります。特色ある地域づくり交付金事業については継続し、地域の活性化と住民意識の向上、コミュニティの再生を図ってまいります。宮内公民館については整備に向けて準備を進めてまいります。都市計画図を電子化し、より正確な情報を短時間で提供するとともに、土地に関わる行政活動や経済活動が効率的に進められるよう地籍調査事業の再開を図り、市民サービスの向上に努めてまいります。
 財政運営について、行政サービスと財政健全化のバランスを図りながら中長期的な見通しにより運営を行うとともに、地域活性化にも大きく寄与するふるさと納税や企業版ふるさと納税、地方創生関連予算等の獲得を進めるなど、財源の確保に努めてまいります。あわせて、置賜定住自立圏による広域行政について継続して取り組んでまいります。
(8)発信力のあるまちづくりを進める
 次に基本目標「発信力のあるまちづくりを進める」について申し上げます。
 グローバル化について、新年度もインバウンド観光の準備期間ととらえ、受け入れ態勢の整備や地域気運の醸成を図ってまいります。海外へのプロモーションについては、コロナ禍の状況を分析しながら、台湾を中心に、地域連携DMOなど、広域連携事業と協調し、情報収集及び現地プロモーションに努めてまいります。
 情報発信について、市内外の観光関係団体間の連携を強化し、最新の観光情報について相互に共有しながら、観光の動向や社会情勢、実際の観光客の声を踏まえたマーケティングを基にターゲットを選定し、様々な手段を組み合わせながら効果的なプロモーションを展開してまいります。本年6月には「NHKのど自慢」がシェルターなんようホールで開催される予定であり、こうした機会を生かして本市の魅力発信に努めてまいります。
 観光資源の活用について、コロナ禍の中、観光客が大幅に減少する状況にあって、熊野大社周辺や南陽スカイパークの絶景など、改めて注目を集めた観光スポットもございました。新年度は、4月から9月にかけて東北デスティネーションキャンペーンが展開されることを受け、これら観光資源のブラッシュアップを図るとともに、それぞれの観光資源を結び付け、赤湯温泉を起点とした体験・宿泊型観光コンテンツの作りこみを図ってまいります。また、広域連携事業に取り組む中で、置賜・村山地域を視野に入れた広域観光連携ネットワークづくりを図ってまいります。特に、ワインについては、「ワインの里南陽」としてのブランド力・認知度の向上を目指し、新型コロナウイルス対策を講じた上で、市内6社のワイナリーが一堂に会するイベントや、上山市と連携したワインツーリズムを展開し、首都圏を含む県内外に向けて南陽のワインを発信するとともに、ワインをきっかけとした街中周遊観光の充実を図ってまいります。民間への譲渡を検討しているハイジアパーク南陽も、有効に利活用が図られるよう関係者と協議を重ねてまいります。菊まつりにつきましては、伝統と文化を継承すべく、従来の2会場開催を目指すとともに、周遊観光との連携を意識した事業展開を図ってまいります。あわせて、菊づくり後継者の育成や、菊と触れる機会の創出を図りながら、菊文化の継承と南陽市のブランドとしての菊のまちづくりに努めてまいります。

5 結び

 以上、新年度における市政運営と主要施策の大要を申し述べました。
 論語に「人、遠き慮(おもんぱか)りなければ、必ず近き憂(うれ)いあり」という孔子の教えがあります。将来を思い、将来がどのように変化していくかを予測し、今、何を成すべきかを常に考えておかなければ、必ず身近に問題が起きるという意味です。
 東日本大震災から間もなく10年が経過しようとしています。あの時、お互いに助け合い、励まし合いながら生きてきた我々はより一層絆を強くし、震災からの復興の中で、決して忘れることのない経験と教訓を得ることができました。コロナ禍である今だからこそ、地域の将来を見据え、市民がつながり、つどい、これまで成し得なかったことを成し遂げていかなければなりません。
 すべては五十年、百年後の本市のために、市民生活に直結する自治事務の一つ一つに心を込めて、次の世代には大きな収穫となりますよう、そして、今を生きる南陽市民一人一人にとって、コロナ禍から復活し、力強く希望に満ちた焔(ほむら)を燃やすため、皆様とともに全力で市政を運営してまいります。
 まちづくりの主役である市民の皆様並びに議員各位におかれましては、より一層のお力添えを賜りますよう、心からお願い申し上げます。

(更新日:令和3年3月2日)