P18-19 第33回(令和元年度) 須藤克三賞 最優秀作品紹介 [読書感想文の部] 中学校の部 最優秀作品 沖郷中学校3年(現高校1年)櫻田 結羽さん 「一人の男の情熱を感じて」 「広島の原爆がどんだけおそろしいもんじゃったかを、世界中の人に、あとの時代の人に、わからせるためには、誰かがやらんといけん仕事なのじゃ。」 今から七十四年前の一九四五年八月六日、午前八時十五分。広島に一発の原子爆弾が投下されました。爆風と強烈な熱線とで、一瞬にして市街地が焼け落ちたのです。死者は十四万といわれています。その悲惨さを伝えるために作られた平和記念資料館。実はこの場所は、一人の男の信念によって誕生した場所でした。その人物の名前は、長岡省吾といい、その資料館への熱い思いが描かれたこの作品を、引き込まれるように読み進めました。 私は、この作品を読むまで資料館ができた理由や、様々な品が展示されることになった背景を知りませんでした。長岡省吾という名前も初めて聞きました。どうしてこの長岡は、人々が傷ついている写真や品を展示するのだろうかと疑問に思いました。しかし、その疑問は本を読みながら、ゆっくりと解けていきました。 一九四九年に市の中央公民館の一室に「原爆参考資料陳列室」として開設されたのが、資料室の始まりです。長岡自身が、何年もかけて集めてきた、原爆をあびた瓦や石、衣類、そして被害にあった人々の写真などが陳列されていたそうです。しかし、お金がなくケースに入れることができなかったため、虫がつくなど、破損するものが続出しました。長岡は、この現状に納得できなかったのでしょう。理想とする施設をつくるために、時間が必要だと考え始めます。 しかし、そう上手くはいかなかったのです。そんな中でも、「後世に原爆の恐ろしさを伝えたい」という一心で、夢を諦めませんでした。もちろん、批判する人や反対する人も多くいたはずです。もしも、私が長岡と同じ立場だったら、どうすることもできず、こんなに努力しても叶わない夢なら諦めたほうが早い、そう考えたでしょう。長岡は、なぜめげずに、夢を追い続けてきたのでしょうか。それは、多くの人の命を一瞬で奪う恐ろしさ、自分が目の当たりにした人々が苦しむ光景を、自分から発信したいという強い思いがあったからだと思います。そんな強い思いが通じたのか、平和記念館が広島のシンボルとして建てられることが決まり、私は、長岡と一緒にほっとしました。一部ができあがったところで、資金難のために、建設が滞ってしまうという事態にも見舞われましたが、長岡はそれでも建設を訴え続けました。四年後、新しい資料館が完成したのです。一人の情熱から始まったことが本当に実現するなんて、驚き以外の何物でもありませんでした。長岡の情熱の根底には、執念深さがあったと思います。だからこそ、じわりじわりと氷が中心から溶けていくように、長い年月をかけて多くの人の心を動かせたのだ思いました。 私は、今年沖縄県の平和記念資料館に行きました。そこには、目を背けたくなる写真や資料がたくさんありました。私は、戦争の恐ろしさを自分の目で感じてほしいという思いが、この資料館にはつまっていると感じました。長岡は、私が感じたように、戦争の恐ろしさを自分の目で感じてほしいと言う一心で、何があっても諦めなかったのだとこの広島の出来事と、沖縄の出来事が自分の中でリンクしました。 今では、世界各地から様々な人が訪れる人がいる広島の資料館。平成二十八年には、当時のオバマ米大統領が訪れました。その際、こんな言葉を残したそうです。「ヒロシマとナガサキは、『核戦争の夜明け』ではなく、我々自身の道徳的な目覚めの始まりであるべきだ。」この言葉を長岡が聞いたら、自分の夢が叶い、喜びで満ちあふれていたでしょう。長岡の努力があったからこそ、広島から世界に、平和の尊さを訴えることができたに違いありません。 戦争から七十四年という年月がたった今日。私達の次の世代が戦争という過去を忘れるのではなく、語り継いでいく必要があるはずです。長岡は、「これからの時代を担う子どもたちにこそ原爆の悲劇を見て欲しい」と願いを残しています。戦争を体験していない私達にできることは、戦争について学び、戦争の悲劇を語りついでいくことだと思います。 一人の男が貫いた情熱が受け継がれているとともに、ずっと平和が続いて欲しいという願いも、受け継がれてきていると思います。今ある幸せと平和に感謝し、私たちが第二の長岡省吾になっていかなければならないと思わずにはいられませんでした。長岡省吾という一人の男の情熱を感じて。 書名 「ヒロシマをのこす 平和記念資料館をつくった人・長岡省吾」 著者名 佐藤 真澄 発行所 汐文社 ※南陽想い出グラフィティはお休みです。 市長の自然体コラム No.20 南陽市長 白岩孝夫 上手に予防して日常生活を おかげさまで新型コロナウイルスの感染はだいぶ収まっています。感染予防のご協力に心より感謝申し上げます。 しかし、コロナウイルスは根絶された訳ではありません。コロナ以前と同じ生活を取り戻すには、ワクチンができて広く国民が接種するまで、ある程度の時間がかかります。それまでは、コロナに感染しないようにしながら、工夫して生活することが必要です。 感染拡大の第2波を抑えるための基本は3つです。 第1はマスク着用。外に出るとき、人と会うときは必ずマスクを着けましょう。第二は手洗い。コロナは石鹸で洗えば感染力がなくなります。第三は人との間隔をあけること。1m以内で15分以上接触すると「濃厚接触」ですが、マスクをしっかり着けていたり、手を消毒したり、周囲に感染させない対策をとっていた場合は、原則として濃厚接触になりません。 私たちは、必ず乗り越えることができます。感染予防に努めながら、上手に工夫して暮らしを守って行きましょう。 図書館にようこそ 南陽市立図書館 (☎㊸-2219) ■開館時間 火~日曜 10時~17時 ■6月の休館日 1日㈮、8日㈪、15日㈪、25日㈪ ※掲載内容は5月22日時点のものです。新型コロナウイルス感染症の影響で、情報が変更となる場合があります。 ※6月のおはなし会・おたのしみ会は中止となりました。 おススメの一冊「えくぼの本棚」 『じごくのさんりんしゃ』(絵本) あさおよう/作・絵 フレーベル館/ 出版 新しく買ってもらった不思議な三輪車に乗って公園までお出かけすることに。すると急に三輪車の目がピカッと光って、町も公園も地獄に早変わり!でもぼくは怖がるどころか、楽しんでいるようで…。 新着図書紹介 一般書 ■空の声/堂場俊一 ■老いてこそ生き甲斐/石原慎太郎 ■図解新型コロナウイルス職場の対策マニュアル/亀田高志 児童書 ■うんこドリル空想科学読本/柳田理科雄(編) ■本能寺の敵/加部鈴子 ■おひさまでるよ/齋藤槙 ※他にも多数の新着図書を取りそろえています。 おうちで簡単クッキング 今月は赤湯地区食改メニューです キャベツとあさりのパスタ 材料(4人分) パスタ1.5mm 320g キャベツ 400g パプリカ 1個 にんにく 2かけ あさり(砂抜き) 200g 調味料等 酒(白ワイン)70cc バター20g オリーブ油大さじ3 塩・こしょう 適宜 作り方 ①にんにくをみじん切りにする。②キャベツはざく切り、パプリカは細切りにする。③フライパンにオリーブ油を入れ、にんにくを香りが立つまで炒め、アサリと酒を入れふたをして蒸し焼きにする。あさりの口が開いたら取り出し、キャベツとパプリカを入れふたをして蒸し煮にする。④③に茹でたパスタの水分をきって入れ軽く混ぜ合わせ、バターと塩こしょうで味を調える。⑤皿に盛り付け、あさりをのせる。 赤湯食改からのワンポイント パスタの茹で上がりと具の準備がタイミングよくできるように時間を合わせてください。水分が少ないときは、パスタの茹で汁を加えてください。 市食生活改善(母子保健)推進員連絡協議会◆事務局・すこやか子育て課 すこやか係(☎㊵-1691)