P16-17 巻末連載 第33回(令和元年度) 須藤克三賞 最優秀作品紹介 [創作童話の部] 小学校低学年の部 最優秀作品 沖郷小学校3年(現4年) 加藤 全(ぜん)さん 「メッセンジャー」 まさるは、自分がにくたらしくてたまらなかった。それは、自分が何もかも不とくいだからだ。たとえば、算数の時間にコンパスを使うと、あともう少しのところでずれてしまう。漢字を書くとマス目からはみ出すし、音楽の時間に歌うと変な声を出してみんなの注目をあびてしまう。自まんできることと言えば、すばしっこさと体力くらいのものだ。そんな風なので、まさるはいつもふきげんだったのだが、ある事件があってからは、すっかり変わってしまった。何事にもあきらめない、がんばりやになったのだ。ただ一つ、鏡だけは絶対に見ようとしない。では、なぜこうなったのかをお話することにしよう。 あれは、一週間前のこと。まさるのクラスにてん校生がやってきた。その子は「上野まさお」と名乗った。実は、まさるの名字も「上野」。つまり、まさるとまさおは、たった一字ちがいなのだ。しかも顔もそっくりだ。でも、頭の回転のはやさと人なつっこい性格は全ぜんちがう。まさおは、あっという間にクラスの人気者になった。もちろん、そんなまさおのことをまさるがすきになれるはずもなかった。しかも気になることがあった。それは一日に何回も鏡を見ながら、 「もうすぐ、もうすぐ、もうすぐだ。」とつぶやいてぶきみに笑うのだ。まさるは、それが気になってしかたがなかった。 ある日、その真相をあばくために、放課後のグラウンドにまさおをよび出した。 「なぜ、ぼくをよんだの?」まさおは不安そうに聞いた。 「お前が鏡を見ながらぶつぶつ言っているのが気になって。何がもうすぐなんだよ。」 まさるがおこったように答えたそのしゅん間ふしぎなことがおこった。なんと、まさおの体が変化して、せん国じだいの人みたいになった。名札のようなものが見えた。「上野代守水晶万兆間差小」と書いてある。多分、間差小は「まさお」と読むのだろう。 「わが子孫よ。わしは、お前の様子が心配でしかたがなかった。このままでは、わが一族はほろびるだろう。わしがお前になる。いれかわるのじゃ。」 まさおとはちがう低い声だった。ご先祖様ということか…しかも自分といれかわるだと? 「しかし、すぐに入れかわるのはつまらん。お前にもチャンスをやろう。わしと勝負をして、わしに勝つことができれば、入れかわりの話は無しじゃ。」 まさるはふるえる声で「うん」とうなずくしかなかった。勝負はぶしょうらしく刀をつかった戦いだとつげられた。向き合ってかまえ、おたがい目を閉じてカッと見開くと、それが戦いの合図となった。ご先祖様は、せん場でたたかっているだけあって、その強いこと、強いこと。だけど、まさるは持ち前のすばしっこさでひらりとかわし、ご先祖様の体力のしょうもうをまった。一進一たいのたたかいは三時間つづいた。そのとき、 一しゅん、ご先祖様にすきが出来た。「今だ!」まさるは、ご先祖様のはらにこぶしを入れた。いくらたたかう相手だとしても、ご先祖様に刀をむけることはできなかったからだ。どさりとたおれる音を聞くと、まさるも気を失った。 「まさる君、まさる君…。」友達のよびかける声に目をさました。ご先祖様の姿はない。頭がぼんやりする。 「まさお君は?」友達に聞いても、そんな子は知らないという。ぼくが今ここにいるということは…ぼくは勝ったんだ。ご先祖様にみとめてもらえた。ふとし線をかんじ前の鏡に目をやった。鏡のおくにいる「まさお」と目があった。 「しょうじんせよ。お前はやればできる。ここから見ておるぞ。」まさお、いやご先祖様の声がまさるの心にひびいた。まさるは大きくうなずいた。 ※今月の「南陽想い出グラフィティ」はお休みです。 市長の自然体コラム No.21 南陽市長 白岩孝夫 全国と縁を結ぶ この度、全国青年市長会の会長に就任することとなりました。 この会は会員同士の研鑽と地方自治の発展に寄与することを目的として、49歳までに当選した全国84人の市長が加入しています。会員の市長は非常に優秀で、しかも情熱にあふれたエネルギッシュな方ばかりで、初めは恐る恐る参加していました。 平成28年に当時会長だった沖縄県石垣市の中山市長から思いがけず役員に推挙され、30年からは副会長を仰せつかっていました。 今年の5月、令和元年度会長の鎌倉市の松尾市長から電話があり、次期会長就任を要請されました。あまりの職責の重さに、初めは辞退しようと思いました。 しかしコロナ禍で8割接触削減が叫ばれていた5月の連休中、鎌倉の海に押し寄せる人波に苦慮する鎌倉市長のニュースが思い浮かび、逡巡に時を費やす状況ではないと思い定め、お引き受けしました。 南陽市と全国を結ぶ縁となるよう、精一杯務めます。 図書館にようこそ 南陽市立図書館(☎㊸-2219) ■開館時間 火~日曜 10時~18時 土・日曜、13日㈭ 10時~17時(13時~14時の間は休止) ■8月の休館日 3日㈪、11日㈪、17日㈪、24日㈪、31日㈪ ※掲載内容は5月22日時点のものです。新型コロナウイルス感染症の影響で、情報が変更となる場合があります。 ※おはなし会・おたのしみ会は当面の間中止します。 おススメの一冊「えくぼの本棚」 『座り仕事の疲れがぜんぶとれるコリほぐしストレッチ』なぁさん/著 ダイヤモンド社/出版 座り仕事で肩こり等に悩んでいませんか?その原因は、筋肉が固くなるため。筋肉をほぐすストレッチで疲れにくい体になります。イラストでわかりやすく紹介した一冊。 新着図書紹介 一般書 ■漣のゆくえ/梶よう子 ■カビの取扱説明書/浜田信夫■コロナウイルスなどに負けない「生き方・働き方」/三村正夫 児童書 ■ファーブル先生の昆虫教室4/奥本大三郎 ■十年屋4/廣嶋玲子 ■妖怪のど自慢/広瀬克也 ※他にも多数の新着図書を取りそろえています。 おうちで簡単クッキング 今月は中川地区食改メニューです きゅうりのパリパリ佃煮  材料(作りやすい分量) きゅうり1kg 砂糖(赤ザラメ)50g しょうゆ50cc 酢60cc みりん15㏄ 鷹の爪適宜 生姜適宜 塩昆布適宜  作り方 ①きゅうりを薄い輪切りにする(スライサーを使ってもよい)。塩(分量外)をふり、1時間くらいおく。水分が出たら、しっかりと固く絞る。 ②生姜はせん切り、鷹の爪は種を取り輪切りにする。 ③鍋に砂糖、しょうゆ、酢、みりん、生姜、鷹の爪を入れ、きゅうりも入れて強火で炒り煮にする。 ④水分がなくなったら味をみながら塩昆布を入れて、冷ます。うちわなどで冷ますと食感がよりパリッとする。     中川食改からのワンポイント  お好みで調味料を加減してください。きゅうりがたくさん取れた時に、作ってみてください。 ソーシャルディスタンスをとりましょう! 市食生活改善(母子保健)推進員連絡協議会 ◆事務局・すこやか子育て課 すこやか係(☎㊵-1691)