P18-19 第38回(令和6年度) 須藤克三賞 最優秀作品紹介[読書感想文の部]中学校の部 最優秀作品 沖郷中学校3年(現高校1年)橋本 結さん「「普通」になるために」 あなたの考える「普通」とは何ですか。私はこの本を読み、「普通」という言葉の本当の意味について知ることが出来ました。 この物語の主人公である髙橋啓太は、物心がついた頃から吃音に悩まされていました。幼稚園にも保育園にも通うことはなく祖母の家で育てられた彼にとって、小学校に入るまでは、スムーズに話せなくとも何も問題は起こりませんでした。しかし、小学校に入学してすぐに、問題が露になります。いつも通りに話し始めた彼の「普通」とは違った話し方を同級生みなが笑い、馬鹿にしたのです。 このとき彼は、心の中で何を感じていたのでしょうか。彼にとってのいつも通りを只々笑う周囲の声を、小学生の彼に受け止めることは出来ませんでした。そうして小学校六年間、啓太自身を理解しようとする人は誰一人として現れませんでした。私はこの状況に酷く違和感を覚えました。言いたいことが言葉に出来ず、上手く相手に伝えられないことの辛さやもどかしさは、きっと見ている人にも伝わってきたと思います。それでも、自分では何とも出来ないこの症状を理解しようともせず、まるで社会から見放すように接したクラスメートにとっての「昔通」は、正しいとは言い難いものだと思いました。 啓太のこの症状は、中学校、高校と学年が上がるにつれて重くなっていき、高校二年生の頃には、声を出すことさえ難しいほどになりました。そして、誰にも理解してもらえない苦しい日々の連続に耐えられず、啓太は高校を中退しました。それからというもの、啓太は自分の殻に閉じこもり、一人暗い日々を送り続けました。 なぜ吃音は起こるのか。そのメカニズムは分かっておらず、病院で診てもらえば対処法が見つかるというわけでもありません。しかし、吃音の症状を完全に治すことは出来なくとも、症状を改善することは出来ます。彼は自身を長年苦しませてきた吃音という壁を乗りこえられると知ったことをきっかけに、この症状と改めて向き合い、完治を目指すのではなく、彼自身の「普通」を一歩ずつ成長させていく道を選びました。努力して得た先の未来に待っている「普通」の自分は、同じ症状に悩まされている人々だけではなく、自分に自信が持てない人々にも必ず勇気を与えられると信じ、彼は病院でコミュニケーションを鍛える発話訓練を始めます。特に重い症状を抱える彼にとって、それは想像を絶するほどの努力が必要でした。しかし、彼にとっての「普通」になるために、啓太は決して諦めませんでした。 私は、相手に自分の意志を伝えることが苦手です。相手にどう思われるか気になり出すと、上手く言葉が出てこなくなり、その場から逃げ出したくなります。時には、緊張も相まって言葉の途中で音がつまってしまうこともありました。こういった症状が啓太の持つ吃音の症状と似ているため、彼の抱えていた不安や恐怖に深く共感できる部分がありました。しかし、啓太には変わろうとする勇気があります。私も前に進んでいけるように、日頃から努力と挑戦の心を持ち続けていきたいと思います。そして、ありのままの自分と向き合うことで、互いを認め合える心を育んでいきたいと思います。 あなたの考える「普通」と、私の考える「音通」は、多少なりとも意味が異なっていると思います。なぜなら、ものの考え方や感じ方は一人一人違っているからです。しかし、世間で使われる「普通」は、多数派の意見を指し、少数派の意見は「普通ではないもの」として、軽蔑や差別の対象になってしまう場合が多いと感じます。それが怖くて前に進められない人は沢山います。そんな人達の心を救うのは、啓太のような男気を持って乗りこえることができる人だと、私は信じています。 私は、自分の住む地域の未来をより良いものにするために政策立案や討議を経て「理想の町」を造っていく「南陽みらい議会」の議員として活動してきました。そこでの討議を重ねていくごとに、自分の考えを大勢の人に伝えることが苦ではなくなってきました。今でも、自分の意志を相手に伝えることは緊張しますし、思うように伝えきれないこともありますが、それも自分の「個性」なのだと受けとめ、ありのままの自分を一歩ずつ成長させていきたいと思います。 「普通」という言葉の本当の意味は、「個性の集合体」であると私は考えます。個性の違いを互いに尊重し合って生きていくことで個性を認め合える世の中にしていきたいです。 書 名 「「吃音」伝えられないもどかしさ」  著者名 近藤雄生   発行所 株式会社新潮 市長の自然体コラム№50 南陽市長 白岩孝夫 紙の本 「昔はこうだった」という言い方をするのは気が引けるのですが、私が子どもの頃、「テレビや漫画ばかり見るな」と叱られていました。今はネットニュースやユーチューブで事足りる時代。私の5人の子のうち、進学で一人暮らししている2人はテレビを持っておらず、本など紙離れの傾向も強くなっていると感じます。だからという訳ではありませんが、毎年、市内全ての小学校で絵本の読み聞かせを続けています。必ず読むのが『うんちっち』という絵本です。4月、幼稚園や児童館の入園式で、市長のお祝いの言葉に代えて『うんちっち』を読み聞かせしました。子ども達は楽しそうに笑ってくれましたが、ふと見ると園長先生が泣いています。この春に初めて園長になったその先生は、15年くらい前、私にその絵本を勧めてくれた先生です。式のあと、涙の訳を尋ねると、「あの絵本を大事にしてくれているんだな、新任園長の自分を励ましてくれているみたいだな」と感激されたそうです。時を超えて人の感情を動かす紙の本。子ども達にも好きになってほしいです。 図書館にようこそ 南陽市立図書館(☎43-2219) 【6月】 開館時間 火~金 10時~20時、土、日 10時~17時 休館日 2日㈪、9日㈪、16日㈪~24日㈫、30日㈪ 6/16㈪~24㈫は蔵書点検のため特別休館です ※特別休館中・開館時間以外の図書の返却はえくぼプラザ正面玄関脇のブックポスト(24時間対応)をご利用ください。 ※特別休館中は、図書館入口前のリサイクルブックコーナーをご利用ください。 おすすめの一冊「えくぼの本棚」「大ピンチずかん3」 鈴木のりたけ/作 小学館/発行 世の中には、思いもよらない大ピンチがまだまだいっぱい!それらをレベルの大きさと今回初登場した「うっかりメーター」で表して紹介。大ベストセラー「大ピンチずかん」シリーズの第3弾です。 新着図書紹介 ※他にも多数の新着図書を取りそろえています。 一般書  ■闇をわたる セレブ・ケース/堂場瞬一 ■口出し屋お貫/中島要 ■ああうれしい/畠中恵■はじめましての旬レシピ/白央篤司(編・著) 児童書 ■アリーチェと魔法の書/長谷川まりる■ライオンのあしたのいちにち/あべ弘士■ほんやくすると/斉藤倫 うきまる(文)、くのまり(絵) おはなし会(児童コーナー) ■おばあちゃんのおはなし会(更生保護女性会)6/7㈯ 11時 ■どんぐりおはなし会(どんぐりお話会)6/14 ㈯11時 ■しんちゃんおはなし会(しんちゃんおはなし会 )6/28㈯11時 ※市立図書館おたのしみ会は特別休館中のためお休みです。 食改さんのおすすめレシピ 野菜を使った主菜編 おかひじき鶏つくね 材料(4人分)おかひじき 80g、鶏ひき肉 400g、しょうが 2かけ、こめ油 大さじ1、片栗粉 大さじ2、酒 大さじ2、しょうゆ 小さじ1、塩 ひとつまみ 作り方 ①おかひじきは水でよく洗い1cm程度に細かく刻み、キッチンペーパーで水分をきっちり切っておく。しょうがはみじん切りにする。 ②ボウルに鶏ひき肉、しょうがを入れてよく練り混ぜる。塩、酒、片栗粉、しょうゆの順に加え、都度練り混ぜる。最後におかひじきを加えてよく混ぜる。 ③②をボウルの底に数回たたきつけ空気を抜き、12~14個分にして小判型にまとめる。 ④フライパンにこめ油を入れ中火で熱し、③を並べ入れこんがり焼き色がつくように3分程度焼く。上下を返し、さらに3分焼く。 1人分当たり栄養価 エネルギー224kcal /たんぱく質15.0g /脂質13.9g /塩分0.7g ワンポイント からしを添えたり、オーロラソース(マヨネーズとケチャップを1対1であわせる)添えたりと色々とアレンジしてください。