令和元年12月定例会

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午後 1時00分  再  開
○議長  再開いたします。
  休憩前に引き続き一般質問を行います。
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島 津 善衞門 議員 質 問
○議長  次に、2番島津善衞門議員。
〔2番 島津善衞門議員 登壇〕
○島津善衞門議員  2番、保守・公明クラブ、島津善衞門です。
  私は、平成28年4月の議員就任時より、文教厚生常任委員会と議会報編集委員会に所属となり、市政運営を確認してまいりました。この間の文教厚生分野における本市の努力を高く評価するものであります。
  本年5月に老人福祉施設こぶし荘の増床棟がオープンし、6月には腎不全医療専門の南陽矢吹クリニックと市民念願の公立置賜南陽病院が新築開院いたしました。今後も、県内初となる内容の障害児者施設の整備を計画されております。また、沖郷・赤湯の学童保育施設の整備や放課後子供教室の充実・拡充がなされており、現在は沖郷双葉保育園が建設中であります。小・中学校のエアコン整備についても、他の市町村に先駆けて導入されました。医療・福祉・子育てに着実な実績を上げられ、福祉・子育ての南陽市を構築されております。
  市政全般における当局の今後ますますの御努力を期待し、さきに通告しております各項目について質問いたします。
  初めに、令和2年度予算編成について質問いたします。
  本年、平成という時代が幕を閉じました。この時代が幕を開けた31年前、日経平均株価は最高値を記録し、世界企業の時価総額ランキングデは日本企業が上位を独占するなど、我が国の経済は栄華のきわみを謳歌しました。しかし、後にバブルと呼ばれる好景気が崩壊し、負の遺産処理に失われた20年と呼ばれる長い時間を要した結果、デジタル革命という新たなステージにおいて産業構造の転換を果たした各国の後塵を拝し、その状況は現在も打破できていません。
  アベノミクスにより経済の回復がなされたと言われる中においても、一極集中により、南陽市民の多くは景気回復を実感できず、その効果は波及していません。さらに、この間、戦後一貫して増え続けていた人口が減少し始め、合計特殊出生率も1.5を下回る水準が続いています。
  令和という新たな時代を迎えた今、既に顕在化している課題はもちろんのこと、近い将来のさまざまな課題を予測し、その本質を十分見極めた上で解決に挑み、持続可能で活力あふれる南陽市の新時代を築いていくことが私たちに課された使命です。
  そこで、次の3点について市長のお考えを質問いたします。
  (1)新たな時代の課題への挑戦について。
  持続可能で活力あふれる南陽市の新時代を築くには、将来を見据え、早目に対応すべき課題に着実に取り組んでいかなければなりません。具体的には、AIやIoT、ロボットなど、新たな技術をさまざまな分野で活用し、スマート社会やスマート行政を実現することです。さらに、平成27年に国連で採択されたSDGsにもあるように、持続可能は現代社会において最も大切なキーワードの一つです。改めて、この視点を再確認し、持続可能で豊かな未来を切り開く取り組みをさらに加速化させていく必要があります。
  そして、これらの取り組みの検討に当たっては、着実な実効性に加え、柔軟な発想で議論を重ね、本市はもとより、県内外に対しても発信力を持つおもしろさも追求していくべきと考えます。市長の御見解を伺います。
  (2)「こどもを産み育てやすいまち・年をとっても安心して暮らせるまち・人が集まり賑わうまち」の更なる推進について。
  現在、社会情勢の変化に対応した施策を展開するため、住民参画による第6次総合計画の策定に取り組まれています。人口減少、少子高齢化、世帯数の増加による市民ニーズの多様化など、急激な社会情勢の変化とともに、新たな地域課題や行政課題が顕在化する中で、それらのニーズに応じた施策の展開と効果的で効率的な行政運営を総合的、組織横断的に推進する必要があります。
  市長は、平成31年度施政方針において、「今は人生100年時代であり、これから生まれてくる赤ちゃんは22世紀を見ることになる。子供たちこそこの国の未来そのものであり、そのときにも安心して暮らせる南陽市にするため、主役である市民の皆様とともに、新たな時代の幕開けとなる本年を全力で邁進する」と発言なされております。私も、孫という宝に出会い、「現在は未来からの預かり物」という考えが判断基準の一つになっています。
  市の将来の健全な発展を促進するために策定する総合計画は、第5次総合計画の最終年度となり、将来にわたる持続的発展を実現するための第6次総合計画につながる重要な年度です。市長の取り組み姿勢をお尋ねします。
  (3)「賢く」「省く」事業の重点化と財政健全性の堅持について。
  積極果敢に新たな課題に挑戦していくには、真に市が行うべき事業に財源を集中させ、十分な効果を賢く生み出す必要があり、全ての歳出を総点検し、必要性・緊急性の低い事業は思い切って省くことで財源を生み出し、本当に必要な事業に重点化を図る必要があります。
  また、市税収入の一層の確保に努めるなど、あらゆる財源の確保に全力で取り組むとともに、市債については、返済だけを優先することなく、残高を適切に管理し、後年度の財政運営を縛ることのない範囲を考慮すべきです。
  市長の御見解を伺います。
  2点目として、森林の保全と利活用について質問いたします。
  昭和20~30年代に、戦後の復興等のため、国は拡大造林政策を行い、伐採跡地への造林を始め、里山の雑木林、さらに奥の天然林などを伐採し、かわりに杉やヒノキ、カラマツ、アカマツなど、成長が早く、価値の高い針葉樹の人工林に置きかえました。この杉やヒノキの価格は需要増加に伴い急騰し、造林ブームが起きました。しかし、燃料革命や昭和39年の全面自由化などにより、昭和30年の木材自給率が9割以上であったものが、今では2割まで落ち込み、供給されている木材の8割は外国からの輸入に頼っているといういびつな現状です。
  国内の拡大造林政策は見直されることなく続けられ、平成8年にようやく終止符が打たれましたが、膨大な人工林が残りました。森林の手入れや収穫の伐採を行っても採算がとれず赤字になってしまい、林業はすっかり衰退しています。林業以外に目立った産業のない山村地域では、林業の衰退とともに地域の活力も低下し、林業離れによる後継者不足、林業就業者の高齢化、山村問題、限界集落と呼ばれる問題まで起こっています。
  現在、森林は十分な手入れがなされず、荒廃が目立っています。荒廃した森林は、台風や地震、大雨等によって土砂災害を起こしやすくなり、さらに、二酸化炭素を吸収する働きも低下し、温暖化防止機能も低下します。
  収穫期を迎えた森林を伐採し、植えて、育てる、そして伐採するというサイクルを回す必要があります。このサイクルを円滑に回すためには、国産材を積極的に利用し、需要を高め、資金を山に還元するという、森林を活かすべき時代となったのです。
  山林が面積の2分の1を占める私たちの南陽市も例外ではありません。平成27年国勢調査の産業大分類別構成表を見ても、従事者20名、構成比率は0.12%です。事前防災・減災対策としての治山事業を推進し、機能が低下した保安林の整備も喫緊の課題と思います。
  以上を踏まえ、以下の点について市長の御見解を伺います。
  (1)森林の現在の状況をどのように捉えていらっしゃるか。
  (2)森林の多面的機能とはどのようなものか。
  (3)望ましい森林の姿への今後の対応手順は整っているか。
  以上の御答弁をお願いし、壇上からの質問とさせていただきます。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
〔白石孝夫市長 登壇〕
○市長  2番島津善衞門議員の御質問にお答え申し上げます。
  初めに、令和2年度予算編成についての1点目、新たな時代の課題への挑戦についてでございますが、最近は、身近なところでも、人工知能、いわゆるAI技術やIoTの活用が始まっており、例を挙げれば、AI技術は、囲碁、将棋などで名人と呼ばれるプロに勝るとも劣らないたたかいを繰り広げていたり、声で操作するスマートスピーカーなどは、日常生活をより便利にしています。
  このような情報技術は今後も飛躍的に発展していくことが期待され、近い将来、夢だったことが現実のものとなり、大きな社会環境の変化を迎えることだろうと思います。このような先進技術を行政の現場や市民生活に柔軟に活用を進めることは、日本総人口が減少していく中で、これまでの社会基盤を持続させ、さらに発展を遂げるためには必要不可欠であると思いますし、さまざまな産業分野でも、将来を見据えた導入が進むことを期待するものであります。
  しかし、実際に活用につなげていくためには、さまざまな情報技術を検証し、いい面だけではなく課題もあることを踏まえた研究を進めなければならないと考えております。今後、民間企業との実証実験等を実施しながら、着実に取り組みを進めてまいります。
  次に、2点目の「子どもを産み育てやすいまち・年をとっても安心して暮らせるまち・人が集まり賑わうまち」の更なる推進についてでございますが、議員からの御質問のとおり、全国的に人口減少及び少子高齢化が進む中で、市民と行政が手をとり合いながら、多様化する地域課題に立ち向かい、持続可能で活力あふれる地域社会を築いていく必要がございます。
  今年度から第6次南陽市総合計画の策定に取り組んでおりますが、現行計画の効果検証及び人口、産業の現況分析を行い、本市の魅力を高める施策展開について、人口減少の抑制策と人口減少にも柔軟に対応できる施策の両面から検討しているところでございます。
  令和2年度の予算編成においても、これまで取り組んでまいりました各施策のさらなる推進により、50年後、100年後も持続的な発展を遂げられるよう注力してまいりますので、議員におかれましても、引き続き御支援、御協力をお願いいたします。
  次に、3点目の「賢く」「省く」事業の重点化と財政健全性の堅持についてでございますが、議員御指摘のとおり、これらは市政を運営していく上で非常に重要なものと認識しております。
  現在、平成30年度からの3年間を取り組み期間とする南陽市行政経営指針により行財政改革を推し進めておりますが、引き続き、効率的・効果的な財政運営に努めるとともに、財源につきましても、税収の確保を初めとし、国、県の動向を注視しながら、適切な受益者負担の導入などに積極的に取り組んでまいります。
  また、市債については、後年度の財政負担を伴いますが、歳入・歳出の年度間調整や世代間公平のための調整といった調整機能が備わるため、適切に発行されれば、住民への安定的な行政サービスの提供に大きく役立つものとされています。これまでの取り組みにより、市債残高が大きく減少しておりますが、財政指標である将来負担比率や実質公債費比率、あるいは、統一的な基準による財務書類を使用した詳細な分析を行いながら、本市の現状を正確に把握し、適正な発行額となるよう努めてまいります。
  次に、森林の保全と利活用についての1点目、森林の現在の状況についてでございますが、平成29年3月に策定いたしました南陽市森林整備計画を取りまとめる際に把握いたしました現状について申し上げますと、市の総面積1万6,052ヘクタールのうち、森林面積は9,613ヘクタールで、総面積の59.9%を占めております。
  森林面積のうち、民有林面積は9,330ヘクタールで、そのうち杉を主体とした人工林の面積は3,995ヘクタールとなっております。中でも、主伐期を迎える50年生以上の人工林が2,670ヘクタールで66.8%を占め、人工林の多くが木材としての活用できる適齢期を迎えている状況です。
  長期的な林業の低迷や世代交代等による森林への関心の薄れなどから、林業生産活動が全般にわたって停滞し、植栽・保育・間伐等の森林の経営や管理が適切に行われていない森林が増加傾向にあると捉えているところでございます。
  次に、2点目の森林の多面的機能についてでございますが、国では、森林のさまざまな働きを通じて国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与する働きを森林の有する多面的機能と呼んでおります。具体的には、土砂災害防止や土壌保全等の国土保全機能、水資源の貯留や水質浄化等の水源涵養機能、地球温暖化の緩和等の地球環境保全機能、健康の維持増進や保養の場を提供する保健レクリエーション機能、文化的価値のある景観や自然との触れ合いの場としての文化機能、生態系の保全等の生物多様性保全機能、気候緩和や大気の浄化を図る快適環境形成機能、木材や山菜等の林産物を産出する木材等生産機能といった幅広い機能のことでございます。
  次に、3点目の望ましい森林の姿への今後の対応手順についてでございますが、南陽市森林整備計画をにおきまして、適正な森林施業が行われ、森林の有する多面的機能が発揮される森林を望ましい森林の姿と定めておりますので、まずは、南陽市森林整備計画に基づき、森林所有者一人一人が森林の経営管理を確実に行っていただき、適正な森林環境を整えていくことが重要と考えております。
  しかしながら、平成27年の農林水産省の森林資源の循環利用に関する意識・意向調査によれば、国内の8割の森林所有者が森林の経営意欲が低く、そのうちの7割が主伐の意向すらない状況となっております。
  資源として活用期を迎えた森林資源を有効活用し、林業の持続的かつ健全な発展につながる林業の成長産業化と、森林の有する多面的な機能の発揮につながる森林資源の適切な管理の両立を図る森林経営管理法が平成31年4月から施行されております。
  森林経営管理法においては、その役割を市町村が担うことになるため、必要な財源に充てるための森林環境譲与税も創設されましたが、制度が運用されたばかりでもございますので、改めて現状や課題を整理し、南陽市森林整備計画、森林経営管理法における多様で健全な森林への誘導も踏まえ、本市の現状に即した制度全体の進め方を検討してまいります。
  以上でございます。
○議長  再質問に入ります。
  2番島津善衞門議員。
○島津善衞門議員  それでは、再質問させていただきますが、私が考えてきた再質問の内容が、あす質問なされる佐藤 明議員と大きくかぶっておりますので、その辺、かぶらない範囲だと思われる分野で質問させていただきたいと思います。
  最初に、1番目の質問で、新たな時代の課題への挑戦ということなんですが、市長から、課題を検討しながら進めてまいるというふうなことで回答をもらいましたが、今、時代がちょっと進んでいまして、流れはさらに一歩進んで、ソサエティ5.0というふうな考え方になっているんです。これは何かというと、狩猟社会から農耕社会に移り、工業社会になって、今は情報社会だと。今度は、それらを融合したソサエティ5.0という社会に入っていくということです。
  私は、先ほどAIとかIoTと申し上げましたが、もうとっくに進めなければならない課題で、日本全体としてはその先に行っているんだというふうなことなので、地方自治においても、やはり、その辺の最先端をしっかり理解して取り組んで、どうやったら対応可能なのかということを進めるべき時代。それが地方にあってもできることなので、都会でないとできないということではないので、地方でも十分取り組めるような対応、措置なので、ぜひ、そこまで進んで考えていただきたい。
  その件に関しては、予算とはちょっとかけ離れますが、第6次総合計画を計画中のみらい戦略課長に一言その辺も踏まえて答弁いただければと思うんですが、どのようなお考えで進めてまいりますか。
○議長  答弁を求めます。
  山口みらい戦略課長。
○みらい戦略課長  ただいまの質問にお答えをいたします。
  議員御質問、あるいは御指導いただいておりますソサエティ5.0、こちらについては、今までの4.0に加えまして、IoT、AI、それから、技術革新でありますイノベーション、ロボット、こういったものを複合化させて5.0の新しい社会を築いていくというような内容を指しているものかと存じております。
  御指摘いただいていますとおり、こちらについては、南陽市もおくれることなく、また、教育環境においても整備を進めていることは当然のことでありますけれども、行政の中においても先駆的に取り組めることがないかということで、内部で検討しているところでございますので、まずは、そういった民間との協調を進めながら実証実験を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長  2番島津善衞門議員。
○島津善衞門議員  ありがとうございます。
  個別的に進めるということではなくて、複合的に前進していかなければならないんだということで、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
  それから、今回私が新たな時代の課題ということでテーマを挙げさせていただきましたが、この考え方の一つにあるのが、高度成長期において、行政サービスという名のもとに、市民はお客様ですということで行政サービスを徹底しましょうという考え方が広く伝わったことがありました。これからの人口減少、経済が縮小する中で、生き残るためには何をすべきか、そういうところの考え方の視点を変えなくてはならないのではないかという考え方を私は持っています。
  具体的に申し上げますと、行政サービスで使われた、市民はお客様ということではなくて、市民は仲間だという捉え方が必要なのかと。市民ニーズとか行政課題が多様化・専門化している。一方で、市の予算は厳しさを増して、職員数も徐々に減っている。こういう中で対応していくには、市内の事業者や専門家やNPOや市民などにもお願いすべきだろうと。お願いできる方も非常に増えているのではないかと思っています。そういう人たちをうまく活用するというか、一緒に市政に入っていただいて、お客様扱いではなくて、まちづくりに参加してもらうということが非常に大切になってくる。要するに、行政とパートナーになってくれる方々をいかに取り込むかということだと思います。
  第一線をリタイアされた方とか、女性の地域に貢献してくださっている方とか、学生等、地域活動へ関心の高い方々がたくさんいらっしゃいますので、そういう方を一緒に市政運営に協力してもらうという考え方が必要だと思うんですが、こういう仲間づくりの考え方ということに対して、市長の考え方をお尋ねしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  南陽市では、従来から市民の皆さんとの協働のまちづくりということを掲げております。島津議員がおっしゃっている仲間づくりというのがそれに当たろうかというふうに思っております。
  御指摘のあった高度経済成長期に市民サービスを拡充していくんだという流れと現在の違いのことがございましたけれども、確かに、おっしゃるように、経済が拡大し、人口も拡大していく中にあっては、そういったサービスをどんどん拡充するということも選択の一つとしてあったと思いますけれども、人口が減少していく中にあって、どういう形で、行政に市民の皆さんが、何をどれだけさせるかというということについては、市役所だけではなく、当然ながら、主役である市民の皆さんが主体的に考えて、これはさせるけれども、これは自分たちでできるといったような、みんなで市を運営していくんだと、そういう考え方が必要だというふうに思っています。
  そうした考えに基づいて、6次総の策定作業に当たっては、若い人、あるいは市民の皆さんに幅広く集まっていただいて、この計画策定のためのワークショップ等を行っているところでございますので、今後ともそういった形で進めてまいりたいと思います。
○議長  2番島津善衞門議員。
○島津善衞門議員  そのようなことでお願いしたいということで、もう一つ付け加えさせていただきますが、やはり、今、南陽市というか、地方自治の中でやるべきことの一つとしては、スピード感。とにかく早くやることというのが大事だと思います。行政としてやらなくてはならないことはスピード感を持ってやる。
  それから、もう一つ、南陽市の課題というものに関しては、みんなで市民とともに解決するという考え方が非常に大切なのかと。市民に積極的に、先ほど申し上げた専門家とかNPO、市民の方々に参加していただいて解決して、行動していくというふうなことが非常に必要なんだろうと。行政に足りない専門性などをそういう方々の知恵をかりながら実現に向けていくということが大事だろうと。
  やはり、まちづくりにそういう人たちが必要だということだけではなくて、そういう方々がまちづくりに参加したということが、もっと大きな意味合いがあるのではないか。自分たちの市政に私たちもかかわって、携わって、こういうことができたということは、市に対する信頼感なり、愛着とか、そういうものが大きく膨らむのではないか。そういうふうに、ぜひ、市民に対して何かを依頼するとか、何かのときには市民がやってよかった、私はここに住んでよかった、市のためにもっと頑張りたい、そういう結果が出るようなかかわり方を持っていただきたい。そういうふうに思います。
  そのためには、市民のアイデアを捨てることなく、どうやったら実現できるのかということに行政として頭で汗をかいてほしい。これは今までの事例だったらできないよね。こういう文書、通達は来ていないよね。そういうことではないと思うんです。市民が要望しているのだから、それを達成するためには何をすればいいのか、とことん行政には汗をかいてほしい。そういうふうなことで、こういう方法でやろうといったことに対して、市民とともに行動に移せる。私の提案が実ったね、行政は頑張ってやってくれたね、私はこの市が好きだ、このまちにずっと住みたい、そういうふうな複合的なものにぜひしていただきたいと思いますので、その辺のことを、まず市長に要望することになるのか、それとも、みんなの課題はみんなで解決というふうな今の考えについて市長はどのようにお考えか伺います。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  いつの間にか、まちの課題についてどこかの誰かが解決してくれていたという状況と、自分たちも一緒に考えて解決したということでは、全くまちに対する愛着は違うんだろうというふうに思います。自分事にしていただけるように、行政としては、今、市にこんな課題があるというようなことを隠さずにお話しをして、一緒になって考えていけるような情報発信であるとか、そういった広報広聴作業、広報活動といったものを通して、みんなでつくり上げる市にしていきたいというふうに思います。
○議長  2番島津善衞門議員。
○島津善衞門議員  そのような中で、具体的に一つだけお尋ねしますが、今、各地区に元気が出る交付金が出ております。これは、地区の方々が非常にありがたい、いいねと。自分たちでこういうところに使いたい、こうしたいと思ったことができるというふうなことで、大変喜んでいる状況かと思います。そういうふうなことを考えますと、地域コミュニティのこれからの考え方、そういうものに合わせた場合に、こういうお金をもっと増額することが、もっと地域にとって大事なことなのかと思いますが、そういうことに対するお考えはいかがですか。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  各地域ごとに、何が課題で、どういった方面で財源が必要かというのは、それぞれ異なってくるものと思っております。そうした意味で、この交付金については、地区が使い道を考えていただいて、それぞれに合わせた適正な使い方をしていただいているものというふうに思って、大変有意義なものだと思っております。
  この拡充については、できれば大変いいことでありますけれども、予算編成にあっては、全体の総合的な計画の中で予算の算定に当たらせていただきたいと思っております。
○議長  2番島津善衞門議員。
○島津善衞門議員  財政課長、よろしくお願いします。
  最後に、市税収入の確保という点で、今、南陽市で中川に工業団地をつくろうと、いろいろなことで市長は頑張っていらっしゃいますが、先日、残念なことに、上山の菓子製造会社が来年閉鎖するという記事が出ておりました。これは、大手菓子会社の100%子会社なんです。私が非常に心配するのは、大きい企業を呼ばれるのはいいんですが、全国的にこういうふうなことがいっぱい出ています。私が引っ張ってきたんだという方も上山市にいらしたようですが、私も上山市に勤務していたことがあるので聞いたのですが、ここで今現在どうなっているかというと、100名の人員をどうするという問題。やはり、大手の企業が地域に張りつくには、この地域に張りつかなければだめだというものが必要なんです。それは、人的なものなのか、それから物的なものなのかは別にして、そういうものがないと、いとも簡単に集約化、経営合理化という簡単な言葉で撤退してしまう。この場合も、老朽化の問題だったようですが、そのようなことにならないような企業育成、事業育成というものが非常に大事なのではないかというふうに思っています。
  そういう観点から見て、市民の人材育成とか、地場資源の見直しとか、そういうものが非常に大事になってきている状況だと思いますが、この辺の今の市の取り組みはどのようになっているかお伺いします。
○議長  答弁を求めます。
  長沢商工観光課長。
○商工観光課長  お答え申し上げます。
  今現在、商工観光課のほうで南陽市雇用創造協議会の事務局をしておりまして、構成員といたしましては、山形県の方、さらには、商工会、観光協会、あとは市商工観光課、農林課などが主な事業をやっておりますけれども、その中で、人材育成の部分、例えば、企業側でのいろいろな育成については、商工会さんのほうで担当していただきまして、セミナー等を実施してございます。また、求職者の部分については、南陽市商工観光課でセミナーを実施しておりまして、そういった人材育成についてもいろいろさせていただいているという状況でございます。
○議長  2番島津善衞門議員。
○島津善衞門議員  保守・公明クラブで、おととし宮崎県都農町に会派として視察に行きました。ワイン工場の視察に行ったんですが、市の説明の中で、別個に非常におもしろい取り組みをお聞きしました。それは何かというと、中間管理会社をつくって、そこで意欲のある人にリースをするという考え方です。
  例えば、今回で言いますと、6つ目のワイナリーができましたが、恐らく1億円以上の設備投資がかかります。ところが、あの方はプロですから、今までなさってきたので、そういうことが当たり前として受け入れて事業計画を練っていらっしゃるわけですが、私もこれからやりたいと言った方が、2年、3年そういう場所で修業して、ワインがつくれるようになった。では、私がやりましょうかと言うと、では、1億円をどこから調達して、どういう事業を計画して、どうやるんだと、非常にハイリスクになってくると思います。
  そういうことを避けようということでやっていました。都農町がやったのは、キウイフルーツの生産です。キウイフルーツに必要な畑を中間管理会社が買い上げて、キウイフルーツの苗を植えられる状態までその中間管理会社が全部設備投資を行う。それをキウイフルーツ農園をやりたい方にリースしますと。通常の工場であれば、半年据え置きとかあるかと思いますが、農業の場合はもうちょっと考えなくてはならないのかと思いますが、そういう形でリース事業的な考え方をもって回収しようというふうなことで取り組んでいらっしゃいました。
  このような考え方も非常に大事なことなのかというふうに思います。そういうことによって、事業がうまく回って、多くの方が働いていただいて、市税を上げていくというふうな考え方をぜひ南陽市も取り入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  先ほど来申し上げましたが、とにかく、市民が求めていること、一番大事なことは、スピード感だと。できるだけ早くやっていただきたい。それから、検討すべき課題については、市民に見える化という形で、きちんと市民に向かって、市民とともに、改善、課題を解決していくという姿勢を、ぜひ市民がわかるような形であらわしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  次に、森林の保全と利活用なんですが、今、細かに現在の状況を教えていただきました。多面的機能も教えていただきました。それから、こういう形で頑張っているということでも答弁いただきました。実際、これだけの主伐期を迎えている森林があるということに対して、私は情報をつかめなかったものですから、非常に比率が大きいんだなということで感心したところです。
  私が、今回の問題に当たって、森林の所有者とか、地域の方とか、いろいろな方にお尋ねしたときに、根本的なお話をして、悩んでいらっしゃる森林所有者というのは、実際に、山はあるけれども、何年も手入れをしていなくて荒れてしまった。それから、手入れしてきた山なんだけれども、もう年をとって行けない。それから、山を相続してあるんだけれども、どこにあるかもわからない。それから、市のほうでこういう森林計画とかいろいろあります、植林とか下刈り等の手入れに補助制度がありますと言ったけれども、どうやって手続をしたらいいかわからない。せっかく山があるのだから、きのこの原木栽培をするかと思ったんだけれども、何かうまくできる方法はないかと。それから、山はあるけれども、漠然と何をしたらいいかわからない。こういうことでした。
  先ほど市長からあった森林整備計画とかがあります。それから、林野庁でも、森林の機能を発揮する望ましい姿を目指して整備を進める、林道の整備もやりますというふうなことを言われているんですが、今言ったような地元の方と目的の、国、県がやろうとしていることにすごく開きがあるような気がするんです。ここを一つずつ埋めていかないと、森林の荒廃はとまらないのではないかというのが私の感じたところなんです。
  そのようなことに対して、先ほど市長から南陽市の森林整備計画で進めていくと答弁がありました。それから、第5次総の後期基本計画、産業のまちづくり、この中で自然環境の保全・育成ということの中にも、施策の基本方針として、病害虫から守り美しい自然環境を保全します、それから、市民が活動を通じて自然や生態環境の大切さを学ぶ体験学習機会を拡充しますとか、いろいろな施策、計画を立てて発表なさっていますが、私が今申し上げたような基本的なことに対して、どのように対応していったらいいのかという考え方をお尋ねしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  寒河江農村森林整備主幹。
○農村森林整備主幹  ただいまの質問にお答えいたします。
  今、島津議員が言われました国の政策の考えと森林所有者がかけ離れているのではないかということで、私たちも、実際、国の施策を進める上で悩んでいまして、まず、着実に施策を進める上で、森林所有者にアンケートをとって、どういう課題があるかなども研究していきたいと考えております。
  以上です。
○議長  2番島津善衞門議員。
○島津善衞門議員  大事なことを聞くのを忘れました。市長にお尋ねします。
  今年度、農林課の地域産業振興主幹から、農村森林整備主幹という名称に変えられました。その思いをもう一度ここでお尋ねしたいと思います。
○議長  答弁を求めます。
  市長。
○市長  先ほど島津議員から御指摘のあったさまざまな課題が森林の整備にはあるというふうに認識をしております。今年度、森林環境譲与税も市町村に交付されることとなりまして、また、森林経営管理制度によりまして、行政が、より森林の経営に関与する度合いが強まっているという状況もございます。そうした思いから、農村森林整備主幹というものを新たに配置して、より取り組みを強化していこうということでございます。
○議長  2番島津善衞門議員。
○島津善衞門議員  ということでございますので、寒河江主幹、先ほど申し上げた地元の意見と国とか県がやろうとしているところのギャップを埋めていただくのがあなたのお仕事だと思いますので、ぜひそこに汗を流していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。先ほど、多面的機能ということで市長からも答弁がありましたが、山を守らなければならない。やはり、それが災害防止に一番大きいのかと。
  それから、以前、私が三陸に行ったときに、カキの養殖をなさっている方から「森は海の恋人」という言葉をお聞きしました。森から流れてくる自然の水が養殖のカキにとって命なんだと。だから、私たちも森に木を植える運動をしていますというふうなことを昔お聞きしたことがあります。やはり、離れてみてそのよさがわかるということがあるかもしれません。でも、私たちの南陽市は2分の1が森林なわけですから、ぜひ、そこを有効活用するようなことを考えていただきたいと思います。
  有効活用の中で、もう1点だけ話をさせていただきたいと思いますが、今、木材の活用の中でセルロースナノファイバーという言葉が出ておりますが、寒河江主幹、これはどのようなことかわかりますか。
○議長  答弁を求めます。
  寒河江農村森林整備主幹。
○農村森林整備主幹  セルロースナノファイバーにつきましては、木材から得られるパルプなどを原料とし、科学的・機械的に処理して、ナノサイズまで細かく解きほぐした繊維状物質。鋼鉄と同等の強さを持つ一方で、重量は鋼鉄の5分の1といった特徴があるということで資料には記載してあります。
○議長  2番島津善衞門議員。
○島津善衞門議員  すみません、ありがとうございました。
  ナノとつくのだから、非常に細かいということは皆さん承知おきいただけると思いますが、ナノとつくと10億分の1だそうです。そういうふうな、材木から取り出したナノ単位のセルロースというものを粉末にする。それをどういう形で利用するか。今言ったように、非常に軽い。例えば、今やったことの一つには、ディスプレイの基盤に使ったそうです。強度が格段に進歩する。もう開発しているのは透明フィルムだそうです。これもものすごく強度がある。今考えられているのが、自動車分野のドアトリムとかエンジンカバー、そういうものに使おうと。軽量化できる、強度が増すというふうなことで考えられている。それから、環境省のプログラムでは家電製品や建設資材の分野にも使えるのではないかということの開発が進んでいるようです。
  南陽市にはそういう材料がしっかりあるわけですから、では、そういう分野を拡大できないかとか、バイオマスでやれないかとか、やはり、そういうふうなところまで、ぜひ行政として知恵を働かせていただきたいということを、ぜひ検討していただきたいと要望させていただきます。
  最後になりますが、私が小さかったころの金山は、春になると紫のカタクリの花がいっぱい咲いていました。これは森林を整備しないと咲けない植物だそうです。覆われると枯れてしまう。やはり、今は見られないんです。ぜひ、昔のカタクリが見られる里山整備というものについて、南陽市の2分の1の面積が森林なわけですから、そういうふうな里山の回復を市に強くお願いしながら、私の質問を終わりたいと思います。
  ありがとうございました。
○議長  以上で2番島津善衞門議員の一般質問は終了いたしました。御苦労さまでした。
  ここで、暫時休憩といたします。
  再開は2時10分といたします。

午後 1時48分  休  憩
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