令和8年度施政方針

  施政方針とは、市長の市政運営の基本方針として、翌年度の主要事業や予算について方向性を示すものです。 
  令和8年3月2日開会の南陽市議会令和8年3月定例会において、白岩市長が令和8年度施政方針を述べました。(関連ファイルからPDF版をダウンロードできます。)

令和8年度施政方針

1 はじめに

 令和8年度予算案をはじめとする重要な議案をご審議いただく南陽市議会3月定例会の開会にあたり、市政運営に臨む所信の一端と施策の大要を申し上げます。
 はじめに、議員各位並びに市民の皆様におかれましては、日頃より市政全般にわたりご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
 昨年は、全国のクマの出没件数、捕獲数及び人身被害件数が過去最多となり、本市においても、クマの目撃情報が相次ぐ中で、赤湯小学校付近への出没や市職員への人的被害が発生するなど、身近に潜むクマの危険性により、日常生活が大きく改変させられる年となりました。クマの出没に際して、市民生活や子ども達を守るため、連日警戒や対応にご尽力いただいた猟友会、警察、消防関係の皆様をはじめ、関係各位に改めて厚く感謝申し上げます。
 昨年の世界情勢を振り返りますと、ロシアによるウクライナ侵略、イスラエルとパレスチナの紛争が続く一方、冷戦後積み重ねられた米国主導の制度、条約、同盟のいずれもが大きく揺らいだ一年となりました。軍事的安全保障の不確実性の高まりの中、今年1月にはベネズエラの大統領が軍事作戦で拘束、米国内へ移送され、さらにはグリーンランドの領有を巡り米国と欧州が激しく対立するなど、世界は急速に混迷を深め、既存の自由、民主主義、人権、法の支配といった秩序は危機に瀕しております。
 我が国に目を向ければ、賃上げなどによる家計消費の増加や、円安を背景に業績好調な企業の設備投資、10月に誕生した高市政権の「責任ある積極財政」への期待などから、日経平均株価は10月31日に史上最高値である5万2,411円をつけるなど、経済は引き続き回復傾向にあります。また、2025年の年間訪日外客数は過去最高の4,268万3,600人となり、旅行消費額も9.5兆円を記録するなど、人的な交流は非常に活況でありました。一方で、国内の出生数はコロナ禍の急激な落ち込みから回復することなく、2025年の出生数は統計開始以来最低だった2024年の68万6,173人をさらに下回る予測となるなど、加速する少子化の進展により、我が国の経済、インフラ、社会制度などを将来にわたって維持するうえで、非常に難しい状況となっております。また、長引く物価高騰により、実質賃金も2024年12月以来11カ月連続でマイナスを記録するなど、国民全体を取り巻く環境はより一層厳しさを増しております。このような中で政府は、「『強い経済』を実現する総合経済対策」を取りまとめ、物価高への対応や強い経済の実現、防衛力と外交力の強化を柱に、それに紐づく各種施策の展開を進めております。また、人口減少抑制については、12月23日に「地方創生に関する総合戦略~これまでの地方創生の取組のフォローアップと推進戦略~」を閣議決定し、強い経済、豊かな生活環境、選ばれる地方を政策目標に、地方創生の取組をさらに力強く支援する姿勢を示しております。
 本市におきましては、一昨年の林野火災で約122haが焼損した秋葉山において、公益財団法人イオン環境財団と南陽市が主催する復興植樹を実施し、多くの来賓やボランティアの協力のもと、山桜や銀杏など約千本を植樹いたしました。次の世代、またその次の世代に、「心の原風景」である秋葉山が引き継がれるよう、今後も必要な植樹や適切な管理を行ってまいります。また、物価高対策については、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、全市民応援クーポン事業による市民全体への支援をはじめ、クマの出没により影響を受けた飲食業や宿泊業への緊急支援事業、保育施設への支援のほか、経済的に困窮するひとり親世帯の支援等を実施いたしました。さらに、令和8年度当初予算案において、小学校及び中学校の学校給食費の完全無償化や、畜産農家への飼料高騰対策など、市独自に様々な分野で必要な物価高対策に取り組んでまいりたいと考えております。
 令和3年度、新型コロナウイルスによる世界的パンデミックという予測できない状況からスタートした第6次南陽市総合計画は、令和8年度から後期基本計画の5カ年に入ります。コロナ禍を経た世界は、より一層不確実性を高め、新たな世界秩序の在り方を模索していく時代が訪れております。世界が大転換を迎える中、本市のように地方の小さな自治体は、市民の皆様の命と健康、暮らしを将来にわたって守るために、常日頃から取り組むべきことは何か、という非常に難しい問いが投げかけられております。
 昨年、南陽市消防団が「防災功労者 内閣総理大臣表彰」を受賞いたしました。これは、秋葉山林野火災において、発生から5日間にわたり消防団員延べ1,217人が消火活動にあたり、火災鎮圧、鎮火に尽力した功績が認められ受賞したものです。小さなまちで発生した、かつてない規模の山火事に対し、市や県、自衛隊や関連団体等と連携して立ち向かった南陽市消防団は我々市民の大きな誇りであるとともに、経験のない脅威に対して、人や組織が繋がり、力を合わせ立ち向かうことの力強さ、大切さを強く認識いたしました。それは、不確実で混沌とした時代においても、常日頃から我々が育み、未来へと引き継がなければならない地域の力であり、先人達が残してくれた宝でもあり、そして、本市が第6次総合計画に掲げる「つながり つどう 縁結ぶまち 南陽」の将来都市像が目指す姿でもあります。第6次南陽市総合計画の実現に向け、市民一人一人がさらに協働し、補い合い、支え合うまちづくりを目指し、令和8年度からの後期基本計画に全力で取り組んでまいります。
 本年度も、市民生活を第一に、現在の課題を正面から受け止めながら、時代の潮流を的確にとらえ、将来にわたって安心して暮らすことのできる活力ある南陽市の実現を目指し、果敢に挑戦してまいります。

2 市政運営の基本方針

 令和8年度市政運営の基本方針を申し上げます。
 令和8年度は第6次南陽市総合計画後期基本計画の初年度となることから、新たに横断的目標として位置付ける重点プロジェクト「地方創生2.0の実現」について、国が昨年12月23日に閣議決定した「地方創生に関する総合戦略」を踏まえ、自律的で持続可能な地方の実現に向けて積極的な施策展開を進めるとともに、引き続き市政の柱に「子どもを産み育てやすいまち」・「年をとっても安心して暮らせるまち」・「人が集まり賑わうまち」を掲げ、「身の丈に合った対話のある市政」を基本として、市民が主役となり、何事にもチャレンジする気概に満ちた南陽市を実現し、市民が幸せを実感できる豊かな社会を目指してまいります。
 令和8年度の市政運営にあたりましては、市民の暮らしを守ることを第一に、市民が安心て暮らせる環境づくり、こども・子育て環境の充実、地域を支える人材・産業の育成やDX関連事業など、長期にわたり地域の活力を創造し、持続的な市政の発展につながる施策をさらに推進してまいります。
 以上、まちづくりの方針を申し上げてまいりましたが、急激な物価高により、財政運営は極めて厳しい状況にあります。市政を運営するにあたっては、今後の南陽市の五十年、百年先の姿に責任を持つことを念頭に置き、将来にわたって持続可能で公正であるかを判断基準としながら、市民の皆様の声に耳を傾け、最小の経費で最大の効果を発揮する施策展開を図り、新たな行政課題や行政需要にも臨機応変に対応してまいります。

3 令和8年度予算の編成方針と概況

 令和8年度予算の概況について申し上げます。
 国の地方財政対策では、物価高の中で社会保障関係費や人件費などの増加が見込まれる中、防災・減災対策の推進やインフラ老朽化対策、DX・GXの推進や子ども・子育て支援等の様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、地方交付税等の一般財源総額については、前年度を3.7兆円上回る67.5兆円が確保されました。
 その内訳は、地方税が前年度を2.3兆円上回る47.8兆円が計上され、地方交付税総額については前年度を1.2兆円上回る20兆円が確保されるとともに、臨時財政対策債は昨年度に引き続き発行額がゼロとなり、財源措置の質の改善と総額の増額確保が図られております。
 本市におきましても、国等の財源を有効に活用しながら、市民の安全や安心につながる施策に力を入れるとともに、長引く物価高騰への対応や子ども子育て支援、地方創生の一層の推進を図ることで地域課題の解決を図りつつ、社会情勢の変化と新たな行政需要にも柔軟に対応していかなければなりません。
 令和8年度予算編成におきましては、物価高による行政コストの増大により、極めて厳しい財政状況に苦慮しつつも、第6次総合計画の基本理念や、社会が求める「市民の安全・安心」「物価高対策」「子どもを産み育てやすい環境整備」「地域を支える人材や産業の育成」などの取組を着実に推し進めるための予算を措置し、時勢に合わせた費目への重点配分を行いました。
 一般会計では、行政コストの増加や地方創生の実現につながる事業の推進により、当初予算額は前年比8.4%増の186億5,100万円を計上し、過去最大となる積極的な予算編成といたしました。また、特別会計では、前年比1%増の76億1,601万8千円を計上したところであります。

4 令和8年度の主要施策

 令和8年度主要施策を総合計画の大綱に沿ってご説明申し上げます。

(1)重点プロジェクト 地方創生2.0の実現
 最初に横断的目標である重点プロジェクト「地方創生2.0の実現」について申し上げます。
 旧宮内公民館を解体し、災害発生時等に地域住民が避難できる防災避難地として整備するとともに、地区内の諸行事の際に有効に活用できるトイレや会議室を備えた施設を整備することで、地域の防災力強化と賑わいの創出を図ります。
 人口減少抑制の取組として、結婚推進事業を強化し、市内や置賜地域だけでなく広域的な自治体間連携により、結婚を望む男女の出会いの可能性を高めることで、少子化の大きな要因の一つである非婚率の増加に歯止めをかける取組を推進してまいります。また、小中学校に在籍する全ての児童生徒を対象に、子どもの人数や世帯の所得にかかわらず給食費を無償化し、急激な物価高騰の影響を大きく受ける保護者負担の軽減と子育て世帯への支援の充実を図ってまいります。
 行政のDXについて、昨年度に引き続き外部デジタル専門人材を任用し、職員のデジタルリテラシーの底上げや、デジタルを駆使して業務改革を主導する人材の育成を行い、市全体をデジタル時代の住民ニーズにあった行政サービスを恒常的に提供できる組織へと変革してまいります。また、上下水道事業について、AIによる水道管路診断の導入検討やスマートメーターの実証事業などDXのさらなる活用を進めるとともに、官民連携の可能性を検討し、運営基盤強化・事業の効率化を図り、人口減少下においても安定した事業経営に努めてまいります。
 ゼロカーボン目標の実現について、本市では地球温暖化対策実行計画に基づき、これまで公共施設の再生可能エネルギーの導入や学校及び公民館等の照明器具のLED化、電気公用車導入、住宅用太陽光発電システム設置事業費補助など、二酸化炭素排出量削減の取組を進めてまいりました。令和8年度は、市内保育施設の照明及び勤労者総合福祉センターの照明についてLED化を図るとともに、南陽市ゼロカーボン推進協議会による各種イベントを通じて、市民の皆様や事業者の皆様とゼロカーボン推進を一丸で取り組む機運を醸成してまいります。 

(2)健やかで安心な暮らし・子育てを実現する
 次に基本目標「健やかで安心な暮らし・子育てを実現する」について申し上げます。
 子育て支援について、令和8年度から赤湯幼稚園を幼稚園型認定こども園に移行することで、保育機能の向上を図り、多様な保育ニーズに応えるとともに、令和8年4月から医療的ケア児の受入を開始し、日常的に医療的ケアが必要な子どもとご家族の支援を行ってまいります。引き続き保育士奨学金返還支援事業及び保育士等宿舎借り上げ支援事業に取り組み、市内の保育施設等における保育人材の確保を支援し、良好な保育環境を整備してまいります。市内全小学校区で学童保育及び放課後子供教室を運営し、放課後における児童の安全な居場所づくりと、多様な体験を通じた人材育成を地域全体で推進してまいります。また、市内保育施設で実施する給食提供について、物価高に対応するため給食等原材料高騰対策支援事業を拡充し、食材料の高騰による給食費の保護者負担の増加の抑制と、給食の質と量を保つ取組を継続してまいります。
 なんよう健幸ポイント事業の規模を拡大し、新たに1,000人を募集することで、市民の健康づくりの推進はもとより、介護リスクの低減や将来の医療費・介護給付費の抑制、高齢者の外出や社会参画の促進につなげてまいります。
 保健・医療について、健康長寿センターの屋根の防水工事を実施し、施設の長寿命化を図ることで、福祉・保健・コミュニティの核として、また、災害時の拠点として将来にわたり活用を図ってまいります。市内の訪問介護事業所に対し、介護報酬の基本報酬引き下げ影響相当分を市独自で支援し、介護事業者の安定的なサービス提供を支援してまいります。令和8年度から新たに、産婦健康診査の費用助成を行い、産後の母親が安心して子育てできるようサポートするとともに、1カ月児健康診査費用の助成及び5歳児健康診査を開始し、切れ目のない子育て支援を行ってまいります。さらに、令和8年度から小児のRSウイルス感染症予防を目的とした母子免疫ワクチンが定期接種化されることから、対象となる妊婦に対して助成を行ってまいります。HPVワクチンの女性への積極的勧奨を引き続き行うとともに、市独自で行っております男性への任意接種費用の助成を継続し、がん等の疾病予防を図ってまいります。
 障がい児・者の支援について、障がいのある方もない方も、共に支え合い輝ける地域社会の実現に向け、「第8期障がい福祉計画」及び「第4期障がい児福祉計画」を策定し、支援体制のさらなる拡充と共生社会の推進を目指してまいります。令和7年度に開所した、ひきこもりや不登校などの相談支援及び居場所機能を有する施設「Youth+なんよう」について、開所日を増やし、支援対象者の進学やキャリアアップをより一層支援してまいります。

(3)地域に根ざした人材を育てる
 次に基本目標「地域に根ざした人材を育てる」について申し上げます。
 令和8年度は、第六次南陽市教育振興計画の実施5年目にあたり、後期計画の策定に向けた重要な一年となります。本市教育の基盤である「地域総合型教育」をさらに深化・発展させるとともに、「社学融合」の理念の下、地域の教育財産や資源を最大限に活用し、つむぎ・つなぐ取組を一層推進してまいります。そして、高い志を持ち、生涯にわたり学び続ける力と、自立して社会に貢献できる力を備えた人材を育成することで、すべての世代の市民が誇りと生きがいを感じ、安心して暮らせるまちの実現を目指してまいります。
 社会を取り巻く環境の変化が加速度を増す中、地域の宝である子ども達の豊かな情操と、自立的に学び続ける力を一層高めるため、人との関わりや自然との触れ合いなど、本物に触れる体験の充実を一層図ってまいります。また、Society5.0の進展やグローバル化が加速する社会において、地域の子ども達が将来、大きく活躍できる人材として成長できるよう、教育DXの推進を図り、ICTやデジタル技術を効果的に活用した学習を進めてまいります。併せて、国際理解教育や語学教育、異文化交流など、国際化教育の充実に資する施策を展開し、子ども達が多様な価値観や文化に触れ、柔軟で創造的な思考力を育む機会を広げてまいります。学校施設について、老朽化した施設の修繕工事を計画的に行うとともに、教育委員会が令和7年1月に策定した「南陽市小中学校適正規模・適正配置等の基本方針」に沿って、教育委員会と緊密に連携して、児童生徒が快適に安心して学べる教育環境を整備してまいります。また、給食関連設備の更新や修繕により、安全な給食を安定的かつ効率的に提供してまいります。老朽化した赤湯小学校及び宮内小学校のスクールバスを更新し、児童の安全な移動手段の確保を図ります。
 スポーツ交流について、南陽さわやかワインマラソン大会のハーフマラソン部門を今年度も開催するとともに、市民体育館柔道場の畳の全面張替えや中央花公園多目的運動場LED照明の改修などの環境整備を進めることで、スポーツを通じた交流の促進を図ってまいります。
 文化芸術を育てるについて、市の宝である文化財の適切な保全を図るため、埋蔵文化財分室の機能を移転し、歴史に裏打ちされた香り高い文化のまちを将来に引き継いでまいります。
 生涯学習の充実について、魅力ある高校教育への支援事業として、引き続き山形県立南陽高校と地域、市役所が連携した総合的な探究学習を進めるとともに、発足7年目となる南陽高校市役所部の活動を支援し、他地域の高校生との交流事業をより一層深化させることで、地域に定着する人材の育成に取り組んでまいります。

(4)力強い産業の基盤をつくる
 次に基本目標「力強い産業の基盤をつくる」について申し上げます。
 産業の付加価値を高めるため、企業立地奨励金を拡充し、市外からの企業の誘致や市内企業の新たな工場等への投資を推進するほか、国の補助金を活用した新規事業の支援や雇用の場の確保を図ってまいります。新たな産業団地の整備については、候補地の地質調査を行い、具体的な検討を進めてまいります。また、新規創業者について、引き続き赤湯駅交流ラウンジにて創業アイディアの相談を受け、南陽市商工会と連携した支援を行ってまいります。中心商店街の空き店舗等を活用した事業の支援を行うことで、賑わいの創出と地域経済の活性化を図ってまいります。
 後継者を育てるについて、市内企業の人材確保のため、市内へ就職、移住する東京圏の大学生・大学院生に対して、就職面接の交通費や転居費用を支援することで、若者の地元への就職を促進してまいります。
 本市特産のぶどうについて、ワインの原料となるデラウェアや醸造用ぶどうの収量確保に向けた園地継承を支援することで、高齢化や後継者不足による耕作面積の減少を抑制してまいります。
 冒頭で述べたとおり、昨年のクマ出没件数や人的被害等が過去最多となり、市内でも深刻な事態が発生したことから、人と野生動物との棲み分けを図る緩衝帯整備の推進や、不要果樹の伐採・藪の刈払いの支援、電気柵設置等の補助に取り組むとともに、猟友会と連携・協力した捕獲活動を強化することで、平穏な市民生活を守るべく努力してまいります。
 地域の幅広い関係者で話し合いを行い、農地を誰がどう使っていくか農地の未来を描く「地域計画」を随時見直し、地域農業の維持・発展のため、幅広い担い手の確保と農地集約に取り組んでまいります。
 地域おこし協力隊として、中山間地域におけるスマート農業支援員を1名新たに募集し、農山村地域の活性化につなげてまいります。

(5)強くてしなやかなまち・住みよいまちをつくる
 次に基本目標「強くてしなやかなまち・住みよいまちをつくる」について申し上げます。
 災害に強いまちをつくるについて、南陽市自主防災組織連絡協議会を通じ、各地区自主防災組織の活動と組織間の連携による地域防災力の一層の充実強化に努め、「自らの命は自ら守る」ための自助の意識啓発と、共助の精神の醸成、公助の機能強化に取り組み、「自助」「共助」「公助」の連携の輪を広げてまいります。携帯型無線機や背負い式消火器具などの消防団装備を充実させることで、災害現場等における団員の安全を確保してまいります。また、上無川や前川、北川などの中小河川の浸水想定区域や、土砂災害の発生するおそれのある箇所を盛り込んだハザードマップを活用し、出水期前の市民一斉避難訓練に継続的に取り組むとともに、地域での防災研修や出前講座においてハザードマップの周知を図り住民の避難行動を支援することで、地域の防災・減災対策につなげてまいります。最上川流域の浸水被害の軽減を図るため、国や県、関係機関と連携した「最上川水系( 置賜地域 )流域治水プロジェクト」を推進し、官民協働により流域治水を進めてまいります。大谷地排水路の改修整備を促進することで、赤湯市街の雨水排水能力の向上を図るとともに、一級河川前川の堰の改修及び不要施設の撤去を促進し、周辺地域における浸水被害の軽減を図ってまいります。大きな水害を経験した全国の市区町村長の意見交換等の場である「水害サミット」の世話人代表として、全国の自治体と効果的な水害対策を共有するとともに、地域間の連携を深めてまいります。
 公共交通について、山形鉄道フラワー長井線及び市内循環バス3路線の維持と安全運行に努めるとともに、沖郷地区の地域公共交通「おきタク」が持続可能な公共交通となるよう運行協議会を支援してまいります。交通バリアフリー基本構想の抜本的見直しを図り、道路、駅、公共施設などのバリアフリー化の課題に取り組むことで、誰もが安心して円滑に移動できるまちづくりを進めてまいります。
 交通インフラの整備について、市道六角町富貴田線と主要地方道米沢南陽白鷹線の接続については、国の支援策である都市構造再編集中支援事業を活用し、令和8年度末の供用開始を目指して整備を進めてまいります。一般県道赤湯停車場線及び一般県道赤湯停車場大橋線の整備促進、主要地方道山形南陽線板宮工区の早期完成について、山形県に対し強く要望してまいります。東北中央自動車道の効果を一層高めるため、市内へのスマートインターチェンジの設置実現に向けた調査・検討と、関係機関への要望を進めてまいります。
 快適な居住環境をつくるについて、市内への居住の有無に関わらず、子どもを養育する世帯や45歳以下の夫婦に対し、市内の宅地を購入し住宅を建築する際に、新たな市独自の支援を行うことで、子育て世帯や若年層夫婦の市内への定着と経済的支援を図ってまいります。空き家活用事業として、地域活性化や移住・定住を目的とした空き家の改修工事に対する補助事業に加え、住宅の耐震改修事業として、耐震性の低い住宅における部分的な耐震改修や耐震性のある住宅への住み替えに対する補助を新たに創設し、既存住宅の最大限の活用促進と安心して暮らすことのできる住環境の確保に努めてまいります。花見町古堤について、地元住民や関係機関との調整を図りながら、住民のいこいの場となるよう水辺空間を整備いたします。雪対策については除排雪予算を増額し、「きめ細やかな除雪」や「やさしい除雪」に引き続き取り組むとともに、効果的に除排雪を行うことで冬季間の通行の安全を確保してまいります。また、飼い主のいない猫や適正に飼養されていない猫の不妊及び去勢手術費用等の助成について、ガバメントクラウドファンディングを活用しながら支援を実施することにより、地域の人と動物が共生できる環境づくりを進めてまいります。
 公共施設の管理について、公共施設等総合管理計画を改定し、長期的な視点のもと施設の維持管理や更新を行いながら、旧中川中学校の解体による資産の有効活用などを進めてまいります。
 上下水道事業について、暮らしに必要不可欠な生活インフラである上下水道を安定して提供し続けるため、「南陽市上下水道耐震化計画」に基づく施設の耐震化や、計画的な施設の更新を推進します。水道事業では、配水本管の更新工事を行い災害に強い水道施設の整備に取り組み、下水道事業では、未整備地区への管渠整備を着実に進めてまいります。併せて、長期的な経営の基本計画である「南陽市水道事業経営戦略」について、社会情勢や事業環境の変化を踏まえた第2次改定を行い、将来を見据えた持続可能な事業運営の基盤を整えてまいります。
 防犯・交通安全について、通学路や生活道路の防犯対策と交通事故防止を図るため、LED防犯灯への補助を継続してまいります。運転に不安のある高齢者の運転免許証自主返納を促進し、交通事故の減少を図ってまいります。

(6)自然の豊かさを守る
 次に基本目標「自然の豊かさを守る」について申し上げます。
 自然環境を守るについて、秋葉山林野火災の復興に向けた取組として、焼損木等の除去や植栽による焼損森林の更新を行い、継続した森林再生を推進してまいります。森林環境譲与税を活用した市内森林整備や木材の利用促進を図るとともに、「意向調査に基づく集積計画」を策定し、森林経営管理制度の適切な運用を図ってまいります。丸堤について、昨年度に引き続き、繁茂したヒシの除去を行い、水質や水辺環境の改善を進めるとともに、白竜湖のヒシについても引き続き注視し、自然や景観の保全に努めてまいります。
 資源リサイクルについて、資源ごみの売却収入を財源とする「元気がでるまちづくり交付金事業」による地域コミュニティの環境意識の向上をはじめ、ごみ分別の周知徹底と使用済み小型家電回収事業のほか、令和7年度から実施しております生ごみ処理機等設置補助事業の拡充などにより、市民一人一人の行動変容を促し、家庭ごみのさらなる減量化に取り組んでまいります。

(7)人がつながりまちを育てる
 次に基本目標「人がつながりまちを育てる」について申し上げます。
 「赤湯温泉 湯こっと」は、赤湯温泉の魅力を発信するだけでなく、バリアフリー観光を推進し、障がいのある方や介護が必要な方も楽しめる健康増進と交流の場となるよう引き続き運営してまいります。
 南陽市役所ラーメン課プロジェクトは、人気漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボしたラーメンカードラリー等を引き続き実施し、南陽市の知名度の向上や交流人口の拡大を図るとともに、ラーメン課創設10周年を記念したイベント等を開催し、ラーメンを主役にした地域活性化をさらに進めてまいります。
 赤湯駅交流ラウンジは、観光客や学生をはじめ、多くのお客様にご利用いただいており、デジタルサイネージを活用した観光案内や中高生を中心にしたICT教育などを継続して実施することで、赤湯駅を中心とした賑わいの創出と交流人口の増加を図るとともに、赤湯駅周辺の魅力あるまちづくりに向けた検討を加速させてまいります。
 健全な財政運営について、地域活性化に寄与するふるさと納税のより一層の拡大を図るとともに、ガバメントクラウドファンディングや企業版ふるさと納税を積極的に活用し、財源の確保と官民連携の取組を進めてまいります。

(8)発信力のあるまちづくりを進める
 次に基本目標「発信力のあるまちづくりを進める」について申し上げます。
 昨年、米国の有力な旅行メディア「ナショナルジオグラフィック」の「2026年に行くべき世界の旅行先25選」に山形県が選出されたことから、令和8年度はインバウンドを含めた観光需要の増大が見込まれ、交流人口の拡大が期待されます。地域資源のさらなる磨き上げを行うとともに、海外へのプロモーションについても、台湾を中心に地域連携DMO等との広域連携の強化や充実を図ってまいります。
 情報発信について、南陽市公式ホームページのリニューアルを行うことで、利用者が必要とする情報へのアクセスを容易にし、情報の発信力強化やホームページの利便性向上を図ってまいります。併せて、SNS等を活用し、広く効果的に発信するとともに、関係人口拡大に向け、民間事業者が提供する情報配信サービスを利用し、市内外に戦略的な広報を展開してまいります。また、地域おこし協力隊事業により、農業を中心とした情報発信の活性化を図るとともに、6次産業化に意欲のある事業者が全国的な見本市等へ出店する際の支援を行うことで、本市の優れた農産品や農産加工品のPRを図ってまいります。
 観光資源について、烏帽子山公園の桜を多くの皆様に楽しんでいただけるよう、桜の植樹等の整備を進めることで、桜の名所としての魅力をさらに向上させてまいります。烏帽子山公園のライトアップ機材を増設し、桜、紅葉、雪まつりなど、四季折々の様々な場面でさらなる活用を図り、多くの方々に楽しんでいただける取組を進めてまいります。双松バラ園について、花壇の改修やバラの樹勢回復を図ることで、バラ園の魅力を向上させ、誘客の促進を図ってまいります。熊野大社や南陽スカイパークなど観光需要の高い観光スポットと、ワインや日本酒、くだもの、ラーメンなどの食をテーマとした観光コンテンツを結び付け、さらなる魅力向上を目指してまいります。既存の資源と開湯930余年を数える赤湯温泉との連携を図り、体験、宿泊を組み込んだ着地型コンテンツの作り込み等を行ってまいります。

5 結び

 2026年は、60年に一度巡ってくる「丙午」の年であり、1966年には「丙午生まれの女性は気性が荒い」といった迷信により、出生数が前年の182万人から約25%も減少し136万人となるなど、日本の統計史上の「大異変」となりました。それから60年、2025年の我が国の出生数は66万人程度となる見込みであり、「大異変」の半分にも満たない状況となっております。昨今では、国も人口減少を前提とした施策を進めており、地方においても人工知能や最先端の科学技術、DXの活用等により、人口減少を踏まえた持続可能なまちづくりが求められております。
 さて、松下村塾を開いた幕末の思想家、吉田松陰は「山は樹を以て茂り、国は人を以て盛なり」という言葉を、友人の土屋矢之助へ宛てた書簡に記したとされております。これは、山が樹木によって青々と茂るように、国家は優れた人材によって盛んになるという意味です。
 人工知能や科学技術、DXの活用では代替できない、活気ある故郷を未来に引き継ぐため、私たちは、人口が減らない合計特殊出生率2.07への回復の道筋を、真剣に模索しなければなりません。特に、日本の合計特殊出生率低下の大きな要因の一つである婚姻数の減少について、結婚を望む人が出会い、結ばれ、家族となり、子どもを持ち育てるという願いと幸福を、一人でも多くの人が実現できるよう、広域的な自治体同士の繋がりを活かして、果敢に反転攻勢をかけ、人口を維持する未来を少しでも早く手繰り寄せる取組に挑戦してまいります。
 まちづくりの主役である市民の皆様並びに議員各位におかれましては、より一層のお力添えを賜りますよう、心からお願い申し上げます。

(更新日:令和8年3月18日)