令和6年 年頭の訓示

令和6年 年頭訓示

 明けましておめでとうございます。同僚職員の皆さんには、昨年中、市政運営にご尽力をいただき、心から感謝致します。

 年頭にあたり、皆さんにお願いしたいことは、「進めること」です。

 私たちの役割は、市民福祉を「維持」することではありません。市民福祉を「増進」させることです。そのことは、私たちの誰もが知っている地方自治法の第一条に「地方公共団体は、住民の福祉の 増 進 を図ることを基本と」すると書いてある通りです。現状維持だけでは、地方自治の本旨に反することになります。

 例えば、何らかの制度変更の是非を問われたときに、変更しない理由として「条例なのでできません」とか「規則なのでできません」と答えるのは、答えになっていません。なぜなら、条例は市が議会に改正案を提案することができるものであり、規則は市が自ら定めることができるものだからです。むしろ、市がやらなければ他の何者も条例や規則を正すことはできないこと、住民自治を執行する唯一の存在としての市の責務の重大さを考えれば、安易に「条例や規則なのでできません」とは言えません。

 ただし、何でもかんでも変えなければならないかというと、そうではありません。条例や規則を定めた際には、そうすべきだった時代背景や理由があります。その背景や理由が現在の状況にも適合するものであれば、それは守るべきです。

 しかし、世界はパンデミックを経験しました。21世紀になってもなお、領土をめぐる戦争が勃発するという現実も目の当たりにしています。人口減少の未来も、徐々に人口に膾炙し始めています。そのようなこれまでの常識が通用しない時代にあって、「前からそうだから」という説明は、とても納得や共感が得られるものではありません。

 なぜ前からそうだったのか、いまはどういう状況で前と比べてどうなのか、そして今後はどう見込まれ、だからどうしていくべきであるか。自らの頭で考え、市民の皆さんや議会に対して誠実に合理的な説明ができるようにしていきましょう。そして現状維持でも漫然と停滞するのでもなく、一歩一歩でも着実に市民福祉が増進していく南陽市を、ともに作っていきましょう。

 新しい年が、皆さんにとって、そして南陽市や世界にとって、平和で災害がなく、幸多い年であることを心から願い、年頭の訓示といたします。

令和6年1月4日 南陽市長 白岩孝夫