令和7年 年頭の訓示
令和7年 年頭訓示明けましておめでとうございます。同僚職員の皆様には、輝かしい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。昨年中は、市政推進にあたり、多大なるご理解とご協力をいただきましたことに、心より感謝申し上げます。
昨年は災害の多い年でした。能登半島地震や7月の豪雨災害では、被災地への応援派遣に快く応じて下さった皆さん、そしてそれを理解し支えて下さった同僚職員の皆さん、災害ボランティアとして汗を流して下さった皆さん、ありがとうございます。そして5月に発生した本市の秋葉山林野火災では、総合防災課をはじめ対応にあたって下さった皆さん、消防団員として消火活動に直接携わって下さった皆さん、ありがとうございます。
本年はぜひ災害のない穏やかな年であってほしいと願う一方、地球温暖化に伴う災害の激甚化頻発化の傾向は明らかであり、基礎自治体として災害対応力の向上は不可欠です。他の自治体が被災した際に応援することは、被災自治体のためになるだけでなく、いざ本市が有事の際にも現場で必要な業務の貴重な経験になるとともに、自治体間連携の強化にも繋がります。また、私たちは行政として地震対策や河川、砂防、雨水排水機能の強化などのハード対策を進めなければなりませんが、いくらハードを強化しても、それを超える自然災害は必ずやってきます。「災害」を防ぐことはできませんが、「被害」を減らす努力をすることはできます。1月18日と19日には、国土交通省山形河川国道事務所のご協力を得て、お天気キャスター長谷川麻衣さんを講師にお招きし、災害時の逃げ方を考えるマイ・タイムライン研修会を行います。市民一人ひとりが自分の命は自分で守る、という意識の涵養に努めていきたいと思います。
さて、昨年末の臨時国会で成立した国の補正予算で地方自治体に追加配分される物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して、全市民に4千円のクーポンを配布する全市民応援クーポン事業を中心とした市の一般会計補正予算2億2637万円を12月27日に専決処分しました。それは、可能な限り早期に予算化するよう政府から求められたから、ではありません。
令和4年から5年にかけて2年間にわたり続いてきた実質賃金の減少局面は、足元で下げ止まりつつある一方、継続する物価高の影響を大きく受ける所得の少ない方や、賃金上昇の対象とならない年金生活者などの方々にとっては、生活の厳しさが増している状況にあります。
私たちが注視すべきはまさにそういった方々です。厳しい状況に置かれている方にとって、一日でも早く支援が届くかどうかが生活を左右します。ですので、できるだけ早く予算を確保し執行するために、専決処分が必要でした。そういう目的があって専決したことを皆さんと共有し、市民生活を第一に考える南陽市でありたいと思っています。
本年は乙巳(きのと・み、いっし)の年です。「乙(きのと)」は、困難があっても紆余曲折しながら進むことや、しなやかに伸びる草木を表しています。「巳(み)」は、蛇のイメージから「再生と変化」を意味します。これらの含意から、秋葉山のことや、災害の被災地を思い浮かべる方もおられるのではないでしょうか。まさしく、困難があっても、しなやかに再生していく年であってほしいと思います。
また、人口減少や人手不足、AIなどの技術革新に伴い、地域のあり方、経済のあり方、仕事の働き方、組織のあり方なども、これまでの慣例や常識にとらわれず、柔軟に見直し、脱皮し、生まれ変わっていく大きな変革の時期であるとも言えます。
そうした認識を踏まえ、令和7年が変化を恐れず、新たな発展の礎を築く年となるよう、共に励んでいただくことをお願いするとともに、皆さんにとって、そして南陽市や世界にとって、平和で災害がなく、幸多い年であることを心から願い、年頭の訓示といたします。
令和7年1月6日 南陽市長 白岩孝夫