令和4年 年頭の訓示

令和4年 年頭の訓示

 明けましておめでとうございます。
 昨年、同僚職員の皆さんにおかれましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止や経済対策をはじめ、住民票・印鑑証明オンライン申請開始、南陽青年団発足、全国青年市長会最優秀施策受賞、GIGAスクールタブレット端末設置、ワクチン接種、ハイジアパーク南陽民間譲渡基本協定・支援協定締結、聖火リレー、新温浴施設整備着工、NHKのど自慢南陽開催、1日市長体験、南陽高校市役所部ジェラート開発、東北総体、令和2年度・3年度成人式、防災講演会、AIチャットボット導入、ラーメンカードラリーなど、とても書ききれないほどの事業に取り組み、成果をあげていただいたことに、心から感謝致します。
 とりわけ、新型コロナウイルスのワクチン接種業務では、私が掲げた「一日も早く、一人でも多く」という方針に沿って、同僚職員の皆さんに土日も祝日もなく携わっていただきました。「市外の人から、南陽市は早くてうらやましいと言われる」「スムーズでありがたい」などの多数の市民の声があったのは、ひとえに皆さんの功績です。

 さて本年は、仕事をする上での原点にみんなで立ち返り、その土台に立って仕事をしていきたいと思い、三つの「添う・沿う・副う」について、皆さんにご確認願います。

 第一に「市民に添うこと」です。
 例えば、「国の方針には添うが、市民の気持ちには反する方法」と、「国の方針には反するが、市民の気持ちに添う方法」があれば、将来を含めた市民の利益を損なわない範囲内において、できる限り市民の気持ちに寄り添って下さい。その実例が、昨年末の18歳以下10万円給付です。最初から国の言う通りに5万円を3月頃にクーポンで給付するしかないと思っていれば、いち早い年内一括給付の決定は困難でした。政府が当初示した方針に岸田総理が拘泥せず、国民感情に寄り添った方針に改めたことには、毀誉(きよ)褒貶(ほうへん)はありますが私は評価しています。その上で、関係する職員の皆さんが、できるだけ市民の気持ちに寄り添いたいと共通の認識を持っていたことが、総理の方針変更を受けての本市の早い決定を可能としました。
 また、何らかの事業を遂行するときに、「職員の仕事量は増えるが、市民の便益が増える方法」と、「職員は楽で、市民の便益が減る方法」があれば、必ず前者を選択して下さい。私たちは、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、職務の遂行にあたっては全力を挙げて専念すると誓約し、地方公務員という身分を保証されています。自分が楽かどうかに添うのではなく、市民の、公共の利益に添って職務を遂行して下さい。

 第二に「目的に沿うこと」です。
 新型コロナウイルスのワクチン接種事業を例に挙げると、政府は昨年、接種する順番を、①医療従事者等、②高齢者、③基礎疾患を有する者や高齢者施設等の従事者、④その他一般、としました(令和3年2月9日第24回新型コロナウイルス感染症対策分科会)。
 ここで問題だったのは、高齢者施設で働く若い方は、自宅に住む高齢者よりも後回しでいいのかどうかです。何も考えずに政府の言う通りにワクチン接種事業を行うのであれば、基礎疾患を有する方や高齢者施設等で働く方の接種は、高齢者の接種が完了した後になります。
 しかし政府が掲げるワクチン接種事業の目的は、「新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らし、結果として新型コロナウイルス感染症のまん延の防止を図る」ことです。大事なのは「まん延の防止」です。まん延のリスクは、集団生活を営む状況でこそ高まることは、介護施設等で多くのクラスターが発生した現実が証明しています。
 結果的に多くの自治体が、高齢者施設等を優先接種しました。本市も、高齢者の接種が始まった5月に先んじて、4月18日から高齢者施設等の利用者と従事者の接種を開始しました。またそれだけに留まらず、幼児施設や小中学校などの教職員等も独自に優先接種対象としました。
 このように実施できたのは、当時の河野太郎ワクチン接種推進担当大臣が、自治体の裁量権を認め、いちいち国にお伺いを立てるのではなく自分の頭を使って工夫することを推奨していたことが大きな要因です。しかし根本となるのは、本市のワクチン接種チームが、目的をきちんと理解した上で事業を遂行していたことです。
 何のためにその事業をやるのか。担当する全員が事業の目的について正しい共通認識を持つことは、目的を達成するために必要不可欠です。
 
 第三に「期待に副うこと」です。
 私たちは、市民から大きな期待を寄せられています。法令やルールを遵守することは言うまでもなく、職務は遺漏なく行われて当然であり、それ以上に公平公正で、私心を脱し、高い倫理性や規範意識、専門知識を持ち、市と市民のため、公共の利益のために全力で職務を遂行することを期待されています。
 期待が大きいだけに、一つのミスで市役所全体の信頼性が大きく毀損されます。
 いかに高い志を持ち全力で職務を遂行しても、人間である以上、ミスはあります。だからこそ、それを補い合うために、私たちはチームで仕事をしています。主事の足らざるところは主任が、主任の足らざるところは係長が、係長の足らざるところは課長補佐が、課長補佐の足らざるところは課長が、それぞれ補い合って下さい。同僚、部下、上司が、互いに補い合い、助け合って初めて、私たちは市民の期待と信頼に応える仕事ができます。
 仕事始めにあたり、全ての部署で、このことを確認し、気を引き締めてまいりましょう。

 上記三つの「添う・沿う・副う」は、改めて言うまでもないことだったかもしれません。しかし今後、コロナ対策や3回目のワクチン接種、6次総やSDGs、DX、新温浴施設整備、南陽高校との連携や民間活力のさらなる活用などを進め、「南陽を世界ブランドに」という壮大な構想を実現し、公正公平で持続可能なまちづくりを進めていくためには、拠って立つ理念が必要です。その理念とは、おおやけ、公のために尽くす、ということです。
 市民に添い、目的に沿い、期待に副って、人のため、社会のために尽くしてまいりましょう。
 遠い将来、私たちの子や孫が、あのときから将来のことを考えていてくれたから、豊かで活力があるふるさと南陽があるんだと思ってくれるように、同僚である皆さんとともに、私も全力を尽くすことをお約束します。
 新しい年が、皆さんにとって、そして南陽市にとって災害がなく幸多い年であることを心から願い、年頭の訓示といたします。

令和4年1月4日 南陽市長 白岩孝夫