令和4年度 新採職員辞令交付式及び年度初め訓示

 おはようございます。まず、新たに仲間となった新規採用の同僚職員の皆さんにお話しします。皆さんの南陽市役所への入庁を心から歓迎します。さて、皆さんに3つだけお願いします。
 1つ目、与えられた場所で全力を尽くして下さい。
 2つ目、素直に先輩職員に学び、市民の声に耳を傾けて下さい。
 3つ目、アンテナを高く上げ、地域に飛び出して下さい。
 あえて簡単な言葉にまとめた3つのお願いをぜひ実践して下さい。そうすれば、必ず公務員として充実した人生となると確信しています。今日から仲間として、共にがんばっていきましょう。
 さて、皆さんに申し上げます。男性は女性より優れている、あるいは女性は男性より劣っている、とお思いの方は、この中には一人もいないと思います。私も思っておりません。この度の人事異動により、南陽市では課長級の管理職23名のうち、5名が女性となりました。割合にすれば21.7%です。私が市長に就任する前、平成26年度は、女性の課長はゼロでした。平成27年度に私が初めて行った人事で、女性の課長が1名誕生しましたが、当時50年近い南陽市の歴史で、女性課長はまだ史上2人目でした。これは驚くべき状況ですが、当時は、と言ってもわずか7年前には、逆に女性が管理職となることが驚かれるような状況でした。
 かつて、私には性別に対する思い込みがありました。それは、いくら何でも建設課長とか総務課長とかは大変だから男性がやるべきだろうという思い込みです。今風に言えばアンコンシャス・バイアス、分かりやすく言うと偏見、無意識の思い込みです。
 それが偏見だと気づいたのは、恥ずかしながらごく最近、平成30年の3月です。海上自衛隊最大の護衛艦いずもなど4隻、合計およそ千人の隊員を指揮する第一護衛隊司令に、初めて女性の司令が誕生したというニュースを見たときです。そのとき、頭をガン!と殴られたような衝撃を受けました。命を懸けて千人の艦隊の指揮を女性が執る組織があるのに、南陽市ではたった10人20人の管理職を「大変だから」という理由で男性に限っている、しかも現在その人事権者は自分である、という現実に愕然としました。
 気づいた以上、行動しなくてはなりません。令和元年度、女性管理職は3名になりました。今年度は5名になりました。そして総務課長は南陽市では初の女性です。
 改めて申しますが、性別を理由にした人事上の処遇があってはなりません。南陽市では、女性活躍推進計画を策定し、女性管理職の割合を長期的に50%にする目標を掲げています。それは女性を優遇するという意味ではありません。最初に、性別による優劣はないと申しました。であれば、職場全体の男女比と管理職における男女比は、等しくなるのが自然だ、ということです。管理職の男女比に差があるのなら、それは公平公正ではない、フェアではない処遇の結果です。だからそれを是正しようとしています。拙速にならないように注意した上で着実に。ちなみに、内閣府男女共同参画局によると、令和3年度の女性管理職割合平均値は、全国の市町村は16.8%、県内市町村は17.3%であり、南陽市は4年度になってようやく県内で上位10位内に入るくらいの位置であり、そんなに高いほうではありません。
 女性管理職割合を50%にすることは、手段であって、目的ではありません。問題は、なんのためにそれを行うのかということです。目的は3つあります。1つ目は、公正な、フェアな市役所にするためであり、フェアな地域をつくるためです。2つ目は、フェアな地域にすることで、高校を卒業して地元を離れた若い人が戻りやすくするためです。3つ目は、若い人が戻ることで、持続可能で生き生きとした地域にするためです。
 男性も女性も、性別を理由とした不当な処遇を受けず、その意欲と能力を最大限発揮できる環境を整えるよう努めることによって、優秀な人材の確保・定着を図り、社会的にも経済的にも地域活性化・持続的発展に繋げること。これは今後の本市のまちづくりの上で、必要不可欠な姿勢ですので、皆さん銘記して下さい。
 今日から新しい年度となり、新しい体制での仕事が始まります。その基本的な考え方については、年頭の訓示がHPに掲載されていますので、見ていない方はご確認下さい。市民に添い、目的に沿い、期待に副い、おおやけのために尽くすという理念に立てば、市の職員としてどう振る舞うべきか、自ずと明らかになるはずです。
 皆さんにこうしてお話しできるのは、私の任期中最後となります。私は4年間の有期雇用特別職職員ですが、皆さんの前には長い坂があります。坂の勾配が急に険しくなり、歩くことをやめたくなるときもあると思いますが、横を見れば同期が、前を見れば先輩が、後ろを見れば後輩が、皆さんと同じように歯を食いしばり、それぞれの場所で必死に歩いています。一人ひとりの、その歩みの一歩一歩が、市のため、市民のため、まだ産まれていない将来の市民のために繋がっています。
 仲間同士で支え合い、補い合いながら、しかし遊び心も忘れず、公務員としての使命を果たしていきましょう。私もどんなに困難でも、自らの職責を果たしてまいりますので、令和4年度も同僚職員の皆様のご協力を衷心よりお願い申し上げ、年度初めの訓示といたします。

令和4年4月1日 南陽市長 白岩孝夫