令和5年 年頭の訓示

令和5年 年頭の訓示

明けましておめでとうございます。同僚職員の皆さんには、昨年中、市政運営にご尽力をいただき、心から感謝致します。

1月1日号の市報が、年内に届きました。「年末年始にごゆっくりご覧いただけるように」と、担当職員が自分で判断し、12月28日に発行したとのことです。これは望ましい改善です。コロナ禍で今まで遠慮していて、3年ぶりに帰省した方も多いでしょう。その方々も、たくさんの笑顔の表紙をご覧になり、明るい気持ちで新年を迎えられたことと思います。こういった、市民にとって良いことは、どんどんやって下さい。

その市報を見たと、大晦日、ある市民の方から電話がありました。その方は、こんな趣旨のことを仰いました。「市長の年頭の挨拶を見て、身の丈に合った市政というスローガンを、今も継続しているんだなと思った。実は、最初の選挙のときは、決して派手とは言えない、ずいぶん地味なスローガンだなと感じた。これで当選するんだろうかと危ぶんだ。だけど、市報を見て、こういうことなんだなと思った。これからもその姿勢を貫いてほしい。」

市報年頭挨拶には、市民生活を第一に考える市政運営の土台の上に立って、多額の予算を投じる派手な事業や、シンボリックなハコモノではなく、御縁の一つひとつを結び付け、積み重ねていくことが、大きな発信力に繋がって活力を生み出していく、という趣旨の内容を書きました。詳しくはお聞きしませんでしたが、「身の丈に合った市政」との表現は用いていなくとも、それを感じ取っていただいたのではないかと思います。そしてその基本姿勢を継続していることを読み取り、ご評価いただいたことに、年も押し迫った大晦日、大変勇気付けられました。

この評価は、私のものではなく、同僚職員の皆さんが、私の基本姿勢に沿って、毎日毎日、現場において一つひとつの事業を遂行し、職務に精励していることへの評価に他なりません。そのことに、心から敬意と感謝を表します。ありがとうございます。

さて、基礎自治体の業務は、年々複雑化し、増大していきます。公務員を見る目は厳しくなり、市民ニーズは多様化しています。そうした中にあっても、同僚職員の皆さんには、市民の信頼や期待に応えるべく務めていただいていますが、なかには常識の範囲を超えた要求や言動に晒される場面もあります。いわゆるカスタマーハラスメント、カスハラです。私は、同僚職員の皆さんの人権と就労環境を守る取組を強化していきたいと考えています。

人格を否定する言動、大声、威圧的な振る舞いなどの行為は、それが市民によってなされたものであっても、重大なゆゆしき問題です。それらの要求や言動に対しては、誠意を持って対応しつつも、毅然とした態度で臨む必要があります。もしこれらの行為を受けた際は、一人で悩まずに上司等に相談報告して下さい。顧問弁護士や警察等とも連携の上、法的措置も含め、組織的に対応します。

司法の判断を仰ぐことになった場合、それらの行為が実際に妥当性を欠く、社会通念上不相当である場合に該当するかどうかだけでなく、私たちの行為に瑕疵がないか、説明責任を十分に果たしているか等が裁判所の判断に大きく影響します。

不当要求行為に毅然として対応するためには、日頃、私たちがどのように働いているかが重要です。私たちは、全体の奉仕者として、法規や上司の職務上の命令に忠実に従い、公共の利益のため全力で職務を遂行しなければならないと地公法で規定されています。市民の皆さんからは、市の職員は高い倫理性や規範意識、専門知識を持ち、公務に邁進することを期待されています。そのことを新年にあたり、思い起こして下さい。

人間である以上、ミスはあります。だからこそ、それを補い合うために、私たちはチームで仕事をしています。主事の足らざるところは主任が、主任の足らざるところは係長が、係長の足らざるところは課長補佐が、課長補佐の足らざるところは課長が、それぞれ補い合って下さい。

「補い合い、支え合う」。市報の市長年頭挨拶の表題です。いかに優れた能力を持っていても、なんでもできる人はいません。とくに私は至らぬ点ばかりです。同僚職員の皆さんに、いつもご苦労をおかけして申し訳なく思うとともに、助けていただいていることに感謝しています。ありがとうございます。同僚、部下、上司が、互いに足らざるを補い合い、支え合って初めて、私たちは市民の期待と信頼に応え、毅然と仕事ができます。仕事始めにあたり、自戒を込めて、全ての部署で、このことを確認し、気を引き締めてまいりましょう。

新しい年が、皆さんにとって、そして南陽市や世界にとって、困難を乗り越え、平和で災害がなく、幸多い年であることを心から願い、年頭の訓示といたします。

令和5年1月4日 南陽市長 白岩孝夫