埋蔵文化財ニュース

埋蔵文化財ニュースを更新しました!

南陽市内で調査が行われた遺跡について、わかりやすく紹介する「埋蔵文化財ニュース」です。
遺跡が身近にあるということ、その遺跡がどのようなものであるかを知っていただき、郷土の歴史に興味を持っていただければ幸いです。
「埋蔵文化財ニュース」は、年数回更新を行い市内の遺跡を紹介します。基礎的な用語についても随時解説しますので、ぜひご一読ください。
(※右側にバックナンバー(PDF)もありますので、あわせてご覧ください。)

今回は、先日、今年度の調査が終了したばかりの「長岡南森遺跡(ながおかみなみもりいせき)」の最新情報をご紹介いたします。

◎遺跡の概要と調査経過
「長岡南森遺跡」は、南陽市長岡地区「国指定史跡 稲荷森古墳」から南に約150mの丘陵地にあります。
縄文から中世の遺跡で稲荷森古墳に近く、特に古墳時代の重要な遺跡と考えています。また、周辺の開発が進み、遺跡にも影響が及ぶ恐れがあることなどから、平成30年度から確認調査を実施しています。令和4年度は、丘陵の南東部を中心に5月11日から開始し7月19日まで調査を実施しました。


※測量調査による測量図(図の上の丘陵地が長岡南森遺跡、図の右下が「国指定史跡 稲荷森古墳」)





◎今年度の調査結果
 
第5次調査となった今年度は、合計6か所を調査しました。その主な結果は次のとおりです。


※調査区配置図(T14~T18が今年度調査区)

 ①丘陵の南側の頂部(調査区配置図:T16a)で、古墳時代(こふんじだい ※1)の複数の柱穴が確認され、「建物」もしくはそれに近いものがあった可能性があります。
 

※柱穴と考えられる跡(調査区配置図:T16a)

 ②丘陵の裾(すそ)を巡る古墳時代の大きな「溝跡」(調査区配置図:T16b)が確認されました。
 →幅約3m、断面は逆台形で、「溝」を埋めていた土から古墳時代の土器が大量に出土しました。この「溝」は、区画や防御的な溝(濠)と考えられます。


※溝跡(画像中央の掘り込み 調査区配置図:T16b)

 ③何かを焼いたと考えられる古墳時代の土坑(どこう ※2)(調査区配置図:T15)が確認されました。
 →熱を受けた粘土の層や炭化物(たんかぶつ ※3)の多い層が交互に堆積しており、20cmほどの棒状の炭化物や古墳時代の土器が出土しました。もしかすると木炭を作るための土坑かもしれません。これから更に分析検討を行っていきます。


※土坑(どこう)(画面上の黒い範囲 調査区配置図:T15)

 ④遺構として「土塁(どるい ※4)状の盛土遺構」「横堀(よこぼり)・柵列(さくれつ)」(調査区配置図:T16a、T17、T18)が確認されました。丘陵の頂部を四角に整え、柵や溝、盛土等で囲んでいた古墳時代の遺跡である可能性があります。


※土塁(どるい)状の盛土遺構・柵列(さくれつ)(調査区配置図:T16a)

◎今年度調査のまとめ
 古墳を築いた痕跡(盛土)が確認できず、頂部で建物跡の可能性がある遺構が見つかったことなどから、長岡南森遺跡が古墳である可能性は低くなりました。しかしながら、古墳時代の祭祀に関係すると考えられる遺物(器台(きだい ※5)二重口縁土器(にじゅうこうえんどき ※6))が多くの試掘溝から出土しており、祭祀を盛んに行った集落的な性格を持つ遺跡の可能性が出てきました。前述した①~④から考えると、古墳時代の「豪族居館(ごうぞくきょかん ※7)」のような遺跡かもしれません。非常に重要な遺跡であり、更に理解を深めるため、次年度以降も調査を継続したいと考えています。 

◎今年度調査の様子

※溝跡(T16b)から大量に出土した土器片


※出土した古墳時代の土器の上部


※検出された遺構(いこう)の検討


※今年の現地説明会の様子① (7/6実施)


※今年の現地説明会の様子② (7/6実施)


※今年の現地説明会の様子③ (7/6実施)


※今年の現地説明会の様子④ (7/6実施)

<遺跡までのアクセス>
 JR赤湯駅から車で約5分。徒歩約25分です。稲荷森古墳の近くに位置しますが、私有地のため立ち入りできません。 

用語説明
埋蔵文化財 土地に埋蔵されている文化財のこと。具体的には、貝塚・集落跡・古墳・城跡などの遺構と、土器・石器・木製品・金属製品など遺物を指す。
遺跡 文化財が埋蔵されている土地のこと。埋蔵文化財包蔵地。
古墳 3世紀後半から約400年の間に作られた土を盛り上げた墳丘をもつお墓。
前方後円墳 丸い古墳(円墳 えんぷん)と四角い古墳(方墳 ほうふん)をつなげたような形状をした古墳。
遺構・遺物(いこう・いぶつ) 遺構は、過去の人間が残した建物跡や柱穴等の動かすことができないものの総称。遺物は、過去の人間が残した土器や石器等の動かすことができるものの総称。
土師器(はじき) 野焼きで焼かれた茶褐色の土器。弥生時代からの技術を引き継いだもの。煮炊きや食器用として使われたと考えられる。
須恵器(すえき) 元々は古墳時代に朝鮮半島から伝わった青灰色の硬い土器。高温の窯で焼かれ、貯蔵用や食器として使われたと考えられる。
「古墳時代」(こふんじだい)※1 弥生時代に続く3世紀後半から7世紀の時代。大型古墳の建造や鉄器の普及など大きな変化があった。
「土坑」(どこう)※2 人間が掘ったある程度の深さと大きさの掘り込み。墓や貯蔵庫、祭祀に伴うもの等、様々な性格を持つ。
「炭化物」(たんかぶつ)※3 炭素と他の元素との化合物。年代測定に重要な役割を持つ。
「土塁」(どるい)※4 土を土手状に積んだ盛土。防御的な性格を持つ。
「器台」(きだい)※5 祭祀に用いられるお供え用の供物を載せる脚のついた皿。
「二重口縁土器」(にじゅうこうえんどき)※6 古墳時代の前期に多い縁(口縁部)が二重の段になった形態の土器。
「豪族居館」(ごうぞくきょかん )※7 古墳時代に一地域を支配していた「豪族」と呼ばれる有力者一族が住んでいた館。堀や土塁、柵で四角形に囲まれていた。
【更新日 令和4年8月10日】